見出し画像

きょうだい、で生きる君へ

『息子の生きづらさ』をテーマに、家族について書いています。
昨日は息子について書きました。

今回は娘の話です。


❁❁❁❁❁


『きょうだい』と言う言葉をご存知だろうか。

『きょうだい』とは、重い病気や障害を抱える兄弟姉妹の居る人のこと

Wikipediaより

ハンディキャップがある兄弟姉妹と暮らす中で、”きょうだい”達はそうでない家庭が体験することがない役割や我慢をしていることが多い。

そして、多分娘はこの“きょうだい“に当てはまる。
息子の特性故に娘は他の子が経験しないような我慢をしてきた。
今でいえば、息子が宿題を終わらせてから保育園にお迎えに行くので遅い時間になることもある。息子の吃音の訓練や学校での相談をする度に娘は後回しにされがちだ。
しかし、娘は「帰りが遅い!」や「お兄ちゃんだけずるい!」とはほとんど言わない。

普段のエッセイでは娘の自由気ままな行動をフォーカスしているけれど、その言動は時々「我慢させたんだな」と感じる。

そして私はちょっと過敏なんじゃないかと言うくらい、娘の言動に敏感に反応してきた。

その理由は、私も『きょうだい』だから。

弟Bが脳の手術をして障害を負ってから、私と弟Aは当たり前に弟Bのことを考え心配して生きている。
自然と弟Bができないことをフォローし、3人で相談しながら生きてきた。
母が弟Bのフォローができなくなる前に私達がフォローを担うのは当たり前だと思っている。

しかし、夫から見るとそれはちょっと違ったらしい。
兄弟姉妹はそれぞれが自分の人生を生きるべきで、フォローとか一緒に生きていくとか考えること自体が普通ではあり得ないことだと言う。
このことを夫が言い始めた頃は「薄情者!!」とイライラしたけれど、実際はそれが世の中の本音かもしれない。
“きょうだい“の当たり前は、世の中の当たり前ではないということ。


娘は息子が大勢の中に行くとストレスを感じることを理解しているのか、買い物に行くと必ず手を繋ぐ。
最近では買い物に行くよと言っても「僕はいい」と行かないことの方が多いが、娘一人で買い物に行っても「これはお兄ちゃんの分ね」とお菓子を買う。
息子が”今は構ってほしくない”という場面ではただそばにいて何も言わない。息子が「一緒にやろう!」と声をかければ断ることなく全力で遊ぶ。
息子にとって娘は一番近い理解者だ。

娘なりに息子をフォローする場面が増えてきて、時々何の理由もなく泣き出したり親にピッタリくっつくような様子が見られた頃
「お兄ちゃんが困ったことは母ちゃんが手伝うから我慢しなくてもいいよ」
と伝えると、娘から言われたのは
「…なんで?」
多分娘の中で息子をフォローするのは当たり前すぎて私が何でそんなことを言うのか理解できなかったのだろう。
それでも5歳では抱えきれない不安やストレスもあるのだと思う。
そっかぁ、気が付くの遅すぎたのかな…
落ち込む母に娘は手を握って
「母ちゃんは弟Aや弟Bのこと助けるから私も大丈夫」
と言った。
長年“きょうだい“として生きる私を娘は当たり前のように見ていた。
そして“障害がある“の有無でなく“自分が兄を助けるのは普通“になっている。
その日は好きなお菓子を買ってあげよう!と意気込んだ。
しかし、あまりにも籠にわんさかお菓子を入れてくるのでその都度ソッと棚に戻す作業を15分くらいやった。
娘、全然気が付かない。結局いつものグミだけ買って帰った。

2人の関係がこれから成長していく中でどのように変わっていくかは分からない。
しかし、息子と関わる中で”生きづらい人は自分のすぐ近くにいる”ということを娘は自然と知ることが出来た。
そして”なんでも手を貸すのが正しいわけじゃない”ということも5歳ながら分かっているのだと思う。
娘もまた、息子とはちょっと違う優しさを持ち合わせて育っていた。

私自身も弟Bの障害と向き合い続けたことで、今の仕事や息子との関りをポジティブに考えることが出来るようになった。
”きょうだい”と呼ばれる人達は何となくネガティブな環境だと思われがちだけど、実際は他の子が知ることはない経験を通して学ぶことも多い。
私は弟が障害を持って生きていることをネガティブには考えていない(多少困ることはあるけど)
彼と生きてきた人生の中で知ったことは数限りなくあるから。

家族に生きづらい人がいるということで、辛いこともあるかもしれない。
娘にはできるだけ幸せに生きていて欲しいから、辛いことはない方がいい。
だからこそ相談しながら、気持ちを打ち明け合っていけたらと思う。
娘が何を思い、兄である息子とどう関わっていくか。。年齢や状況に応じて変えていけばいい。

弟の障害について考える時、私がいつも思うのは
『家族みんなで堂々と生きていきたい』
それは息子や娘についても思うことだ。
堂々と、それぞれのペースで生きていってくれたらと思う。


明日は夫編。
この人、ホント曲者だなぁという話。


いただいたサポートはみなさんによりときめくエッセイを届けるため、作業机周辺に配置するときめきアイテム(主にコーヒーとお菓子)購入代にさせていただいております! もっとみなさんに楽しんでいただけるエッセイを目指していきます。ありがとうございます♡