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スターバックスの店舗拡大計画について


 スターバックスの店舗拡大計画について解説します。
 私はお酒はほとんど飲まないのですが、コーヒーは毎日2~3杯は飲んでいます。コーヒーなしでは生きられないという生活を送っています。

スターバックスの影響とその戦略

 私がコーヒー好きになったきっかけも、スターバックスの影響が大きかったかもしれません。そうした日本人も多いのではないかと思います。そういう意味で、私は完全にスターバックスの戦略にはまっているわけです。
 スターバックスは、今後1万7,000店舗の店舗数を拡大し、2030年に世界の店舗数を5万5,000店舗にする計画を打ち出しています。スターバックスの戦略を理解することは、ブランド戦略から始まり、世界の飲食業界で起こっていることを学ぶことができる非常に興味深いものとなっています。

スターバックスの事業戦略

 スターバックスという会社は、1971年に設立されたコーヒーショップです。売上規模は世界で3万8,617ドル、日本円で5兆円に迫る規模になっています。ただのコーヒーショップを売上5兆円の企業にしてしまったというのが、このスターバックスのすごいところです。

スターバックスの価格戦略と雰囲気

 スターバックスのコーヒーはトールサイズという最もオーソドックスなサイズで、日本でも400円近くすると思います。決して安くはありませんし、より安いコーヒーを売っているお店もたくさんあると思います。日本ではコンビニでもコーヒーが買えますが、それでもスターバックスに行く人がたくさんいるわけです。
 私は、日本でも海外でもスターバックスに行くことが多いです。なぜわざわざ高いコーヒーを買いに行くのか、スターバックスの雰囲気が落ち着くというのが大きいと思います。スタイリッシュで落ち着いた空間、コーヒーを飲む時は一息ついて落ち着きたいわけです。そのニーズを、スターバックスという空間が満たしてくれます。

スターバックスと他のコーヒーチェーン

 イギリスで私がよく行くスターバックスは、隣にコスタというイギリスのコーヒーチェーンがあります。コスタは値段がスターバックスより安いですが、そうしたこともあり、店の中はガヤガヤしています。柄の悪いお兄さんたちがでかい声で話したりしていて、どうも落ち着かない。そのため、わざわざ値段の高いスターバックスに行きます。

スターバックスの価値創造

 私はスターバックスの、コーヒーを高く売る戦略にまんまとはまっているわけです。ただのコーヒーに価値をつけて売る、物を高く売るというのは、アメリカ人はとても上手で、日本人が苦手な分野です。どうすればたくさん売れるかだけではなく、どうすれば高く売れるのか、日本人、日本企業はもっと真剣に考えなければいけないでしょう。
 
高いコーヒーを売っているという点もそうですが、新たなニーズを生み出しているというのも、スターバックスの無視できない点でしょう。私は元々そこまでコーヒーは飲まなかったです。飲み物としてのコーヒーが好きになったというより、1日の中でコーヒーを飲んでゆっくりする時間を持つようになった、コーヒータイムを大切にするようになりました。
 それまでコーヒーを飲むニーズがなかった、飲み物としてはお茶で十分だと思っていた私が、コーヒーを飲むようになったわけです。このように、新しいニーズを生み出していくという面も、スターバックスが成功してきた要因でしょう。

スターバックスの店舗拡大計画について

 アメリカを中心とした北米でも店舗を拡大する計画ですが、中国、インドでも拡大するとしています。中国、インドではまだコーヒーを飲む人は多くないらしいですが、今後もっとコーヒーを飲むようになるだろうと、スターバックスに限らず、ネスレなどの飲料メーカーも注目している状況です。

スターバックスとコーヒー需要

 食品飲料メーカーは、北米やヨーロッパはすでに市場が成熟していて、大きく売上が伸びていくような商品は、健康思考の高まりなどから、そういう意識の高いの人たちが好む健康にいい食品だけで、その他のものはそこまで売れるようになることが期待できる状況にはありません。先進国では健康食品を売り、新興国で売上を伸ばす、これが10年以上前からこの業界のトレンドになっています。
 経済が成長してくると食の多様化そして欧米化もあり、徐々にコーヒーの需要が生まれてくる。スターバックスはそうした中で新たな需要を掘り起こし、アジアでのビジネス拡大を狙っている形です。

スターバックスの中国展開

 現在、スターバックスは中国でもすでに約6,000店舗を展開していて、すでに軌道に乗っている状況です。2025年までに中国での店舗数を9,000店舗に拡大することを計画しています。

スターバックスのインド展開

 一方でインドは、中国とは経済の発展状況にも違いがあるので、当然のことだと思いますが、スターバックスのインドの店舗数はまだ300~400店舗程度しかないという状況です。ここまで拡大するのに10年かかっているということです。元々インド人はチャイというミルクティを飲むのが一般的です。日本人や中国人も元々コーヒーは飲まず、お茶を飲む文化でしたが、日本人や中国人のようにインド人もコーヒーを飲むようになるのか、非常に注目されています。スターバックスの推計では、インドの家庭で、コーヒーを飲む割合は11%であり、紅茶の91%には遠く及ばないとしています。
 
チャイは安いものだと1杯数円ほどということもあり、まだまだ国全体として収入が低い人が多いインドで、スターバックスが大量に売れるというのは難しい状況にあるでしょう。

スターバックスの今後

 イギリスも元々紅茶文化でした。今でも、お客様をもてなそうとする時は紅茶だったりします。しかし、スターバックスが顧客にしようとしているビジネスマン層はコーヒーを飲む人が増えてきました。そうした層がインドでも増えてくれば、コーヒーの需要も伸びてくるのではないでしょうか。スターバックスの今後の成長の鍵になっていくかもしれません。


ご参考

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