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いただいたコメントの振り返りと深堀り


 YouTubeのコメント欄、すべて拝見しています。コメントの中には、非常に興味深いものが多くあります。この記事ではそうしたコメントを4つ紹介し、解説していきたいと思います。

リーマンショックについて

 まず、いただいたコメントの中で印象にあるのが、「リーマンショックはまだ終わっていない」というものです。リーマンショックはまだ終わっていないと言うと、少し違和感がありますが、恐らく言いたいことは「リーマンショックの危機は続いている」ということだと思います。

リーマンショックとバブル

 サブプライムローンを裏付けとした証券化商品のバブルが崩壊し、リーマンブラザーズが破綻してリーマンショックが起こったわけですが、これを乗り切るために量的緩和政策と大規模な財政政策を行ってきました。これによって新しいバブルを引き起こすことで、バブル崩壊を乗り切った。しかし、問題を先送りしてきたことにより、むしろ潜在的な問題はより大きくなっているということです。

 リーマンショック前は企業や家計がたくさんの債務を抱えていましたが、その後政府が債務を拡大することでバブルを引き起こしています。これも結局は持続可能ではないため、そういう意味では危機は続いていて、いずれまた問題になるということです。「リーマンショックはまだ終わっていない」というのは、そういう主張だと私は理解しています。これは確かに最もな主張です。

リーマンショックの理解

 リーマンショックというと、サブプライムローン問題をきっかけにリーマンブラザーズが破綻したことによって起こった金融危機と一般的には理解されています。それがまだ終わっていないと言うと、違和感がありますが、問題意識自体は十分に理解できるものです。むしろ、あえてそういう言い方をされたのかもしれません。そういう意味でも、興味深いと思いました。

デフォルトについて

 次に、「ドル・デフォルト」や「米ドルのデフォルト」というコメントがあります。これもよくいただいています。

 デフォルトというのは、債務不履行、つまり契約通りにお金が返せない、利払いができないということを表す言葉です。債務の契約があって初めてデフォルトが起こるわけで、そういう意味で通貨がデフォルトするというのは、どのような契約において誰に何を払えなくなるのか、分かりづらいです。

言葉の選び方

 「ドル・デフォルト」や「米ドルのデフォルト」は、言葉として正しくはないです。デフォルトという言葉を「破綻」や「紙屑になる」というイメージで使用しているのだろうと思いますが、言葉の選び方が適切ではないという気がしています。こういう風に考えると、言葉の選び方はすごく重要だと感じています。

逆イールド解消と景気後退について

 次に、「逆イールド解消で米国経済崩壊」というコメントです。これも以前からすごく多くいただいています。イールドカーブの逆イールドが解消されると、深刻な景気後退になるといったコメントです。

 景気が悪化したときにFRBが利下げを行うことで、短期金利が低下して逆イールドが解消されるということが過去に度々起こっています。しかし、逆イールドが解消されたからといって、景気が悪くなったわけではありません。この因果関係を逆に理解している人が多いようです。

逆イールドが解消されたら景気が悪くなったのではなく、景気が悪くなったから利下げをして逆イールドが解消されています。逆イールドの解消から景気後退を予想するのは因果関係が逆で、逆イールドの解消が必ず景気後退を意味するとは言えません。

イールドカーブの動きをどう見るべきか
トランプ氏が勝利した場合の金利の動き

新しい金融商品と金融危機について

 最近一番興味深いと感じたコメントを紹介したいと思います。それは、「金融危機はいつも金融当局が注目していない新しいところで起こる」というものです。これは非常に重要な視点だと思います。

新しい金融商品

 新しい金融商品としては、後払い決済のBNPLや金融商品と呼ぶべきではないかもしれませんが、暗号資産などがあります。

BNPLの成長
 「BNPL(Buy Now Pay Later)後払い決済」について解説します。BNPLは、2021年頃から注目されてきました。注目が薄れた時期もありましたが、海外での利用者はその後もじわじわと増えて続けています。

BNPLの利用者の増加とその背景

 また、新しくはないものの、金融危機の後に残高を急速に増やしてきているという意味では、プライベートデットやETFなどもそれに当たるかもしれません。このあたりは一つ一つ掘り下げてみる価値があると思います。

私の考え

 私は崩壊論や金融危機、リーマンショックの再来など、様々なことが言われていることについて、「そこまでの問題ではない」という理由を解説することが多いです。しかし、これは決して楽観視しているわけではありませんし、全くリスクがないと言っているわけでもありません。リスクは常に存在します。真面目な人や賢い人ほど、リスクが心配になります。しかし、実際には、リスクの中にもすぐに顕在化しないリスクもあれば、すぐにでも警戒すべきリスクもあります。その影響もそれぞれです。

マーケットの展望
 景気が悪化してきている兆しはあるものの、リーマンショックのような事態にはならないと見ています。その理由を説明します。

アメリカの住宅ローン債務不履行急増問題

私の経験

 投資家の場合、リスクを警戒ばかりしていると、結局何もできない場合があります。場合によっては、取るべきポジションの反対のことをしてしまって大損する場合すらあります。私自身も、過度にリスクを警戒しすぎて失敗した経験が多々あります。どう対応すべきリスクなのか、リスクを正確に認識しようとすることは、投資家にとっては非常に重要です。そして、それは投資家だけでなく、経済を見ていく上でも非常に重要だと思います。
 常にあるリスクについて、全く警戒しなくていいと、そういうことを言いたいわけではありません。なるべく正しい認識をお伝えしたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。


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