主人公のバックグラウンドが移り変わってる件

だいたいの漫画やゲームにおいて主人公というのはオンリーワンである。実は英雄の子孫だとか、なんらかの伝承者だとかのバックグラウンドがあるからだ。
ただ、そういうのって結構後から明かされることであって、一番最初から「特別感」はあんまり出してこない。

ドラゴンボールの孫悟空は「なぜか尻尾がある少年」くらいだったし、擬人化した動物がたくさんいる世界ではそこまで異端でもなかった。
ワンピースのルフィだって、最近こそスペシャルな設定が出たものの、もともとは世界に多数存在する悪魔の実を食べてるくらいのもの。
チェンソーマンのデンジはいきなり悪魔に殺されて悪魔と合体するという点ではかなり異端だが、悪魔自体はあまり珍しい存在でもないという世界設定。デンジ自体も世の中のことを何も知らないので己に特別感を持っている感じではない。
ちなみに「デビルマン」も悪魔と合体するんだよな。何かオマージュ的な意味があるんだろうか…。

そういったわけで共感を呼ぶためかあとでの盛り上がりのためか、スタートは比較的抑え目のものが多いのだ。と、思いきや「いきなり特別」なものも増えている。いわゆる「異世界転生」ものだ。
「最初から無敵」「最初からチート」「最初から世界の謎を知っている」「最初から結末を知っている」などなど。
いわば「主人公が成長して、実は特殊なバックグラウンドがあったりもして、段々と唯一無二の存在になる」という前段階をすっ飛ばした状態。
出始めのころはそれこそ「急に無敵」というのが「根性・修行」が当たり前のものに対してのアンチテーゼになっていたんだと思う。ただあまりにも乱発されすぎたので、逆に最近じゃあ「修行とかしてるほうが珍しい」状態になってきたんではないか。
転生ものについてはあんまり詳しくないのだが、たまたま見たアニメとか人に聞いた感じでいうと、「主人公的には普通のことが異世界では凄いこと」みたいなパターン多いなーと感じる。
戦いでいえば力入れてないけど倒せました、という話になるが、それ以外の部分でもよくある。「家臣に休みを与えただけで大感激された」とか「命を救ってもらった仲間に礼を言うだけで惚れられた」とか。
なんか~、俺的には全然本気じゃないんだけど~、なんか勝てちゃって~」みたいなノリ。これも努力へのアンチテーゼか。
要は「10の努力をして10の結果」よりも「1の努力で100の結果」といった感じ。
こういうのがラクをしたい今の若年層世代に響いているのだ…みたいな社会派っぽいコメントをする気はないのだが、世相の反映というのはあるかも。

そのうち転生に飽きて「転生が無理なので現世で妥協した社畜おっさん」みたいな話も出てくるかもしれない!いやこれ普通の暗い話か…。
まあ転生モノじゃなくてもワンパンマンみたいな例もあるが。

「漫画の中まで苦労した話見たくねえよ」というニーズがあるのかもな。最近復讐ものもよく見るし。みんなとにかくスカっとしたいということでしょうか。

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