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台湾有事とTSMCと北朝鮮と

◉台湾有事を、半導体産業の面から捉える記事が、日経クロステックにアップされていました。ロシア連邦軍のウクライナ侵攻によって、天然ガスや石油やレアアースの輸出輸入が、大混乱をきたしているのですが。今や台湾の主力産業に育った半導体産業もまた、アメリカや日本を始め先進工業国にとってはなくてはならない、産業の米状態ですし。さらに北朝鮮と中国の関係も、そう一筋縄ではいかないですし。

【「台湾有事は必ずある」、半導体30年停滞でTSMCは垂涎の的に】日経クロステック

 米中半導体摩擦を背景とした新たな半導体サプライチェーンを巡り、各国が岐路に立たされている。その渦中にあるのが、世界の先端ロジック半導体の9割を生産する台湾積体電路製造(TSMC)だ。同社は高まる地政学的リスクを分散するため、日米にロジック半導体の新工場を設立し、ドイツでも検討を進める。今後の行方を、世界の半導体状況に詳しいインフォーマインテリジェンス シニアコンサルティングディレクターの南川明氏に聞いた。(聞き手=中道 理、久保田龍之介)

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02258/012000010/?i_cid=nbpnxt_sied_under

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、台湾九份の画像だそうです。風情がありますね。

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■安全保障とリスクヘッジ■

半導体と一口に言っても、現在はいろんな分業化が進んでいます。メーカーでも演算処理をするCPUや、データを一時的に保存するDRAMやSRAM、長期的に保存するフラッシュメモリ、他にもマイクロコントローラやプログラマブルロジックデバイスなどなど、多岐に渡ります。台湾のTSMCは、Appel社の高性能チップ──iPhone や iPad 用のAシリーズやMac用のMシリーズなど──の生産を一手にに引き受けています。

もちろんこれらの半導体はいろんなメーカーでも使用されており、それこそ白物家電でも自動車でも、大量に使われていますね。アメリカとしては、自国の各種産業の利益に直結する部分でもあります。自由主義陣営の国である台湾の趨勢といった政治的な部分だけでなく、産業など経済的な部分でも大きな問題になります。もちろんこれは、小型のアメリカと家で経済構造の日本にしても同じです。地理的に近いので、問題はさらに切実です。

TSMCが熊本に工場を建設するということで、日本経済は落ちぶれたの何のと、日本批判の文脈で語る左派も多いですが。問題はそんな単純な話でもなく。台湾企業の生産拠点を他国に移転するのは安全保障の面からも、重要な側面があるようで。日本とアメリカに工場を建築するという方向はまさに、リスクヘッジの面でも悪くない選択でしょう。日米台の3国関係の強化にもなりますし、現地工場の出現でその国に雇用を生むというメリットもありますから。

■■北朝鮮の恐怖と不信感

そして、昨年からミサイルをぶっ放し続けて怪しい動きをしている北朝鮮ですが。もし中国が台湾有事で動くとしたらその前に、北朝鮮が陽動作戦を仕掛ける可能性もあると、個人的には思っています。日本の海上自衛隊や在韓&在日米軍を、北朝鮮が南進にするかのような動きを見せて牽制しておいて、半島に釘付けにしておいて台湾侵攻が最も中国軍にとっては有利ですからね。しかし北朝鮮は北朝鮮で、思惑があるようで。

【金正恩氏「中国人は嘘つき」「在韓米軍は中国牽制に必要」 米前国務長官が証言】産経新聞

 【ソウル=時吉達也】北朝鮮の非核化に向けた2018年の米朝交渉当時、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長(現・総書記)が在韓米軍について「中国を牽制(けんせい)するために必要だ」とする趣旨の発言をしていたことが明らかになった。米国のポンペオ前国務長官が、24日に出版した回顧録に当時のやり取りを記載した。
 北朝鮮はこれまで、米韓軍事演習への対抗措置としてミサイル発射を繰り返すなど、在韓米軍への敵意をあらわにしてきた。ポンペオ氏の証言からは、表向きには中国との友好関係を強調しつつ、2大国間で「バランス外交」を図る北朝鮮の思惑が浮かびあがった。

https://www.sankei.com/article/20230125-WTOWW26TJ5K5FISA3X4C6WHD5M/

韓半島の歴史を見ても、中華帝国や北方の騎馬民族によって、蹂躙されてきた歴史ですからね。特にモンゴル帝国と後に清王朝となる後金国などには、本当に酷い目に遭っていますからね。もちろん半分以上は自業自得なんですが。韓国人の崔碩栄氏なども指摘していますが、この恐怖感は、韓国や北朝鮮の文化にも根深く刷り込まれているようで。それは現代でも、貿易額の多さを利用して、無理難題をふっかけてきますから。

半島の文化からすれば、あるとすれば台湾有事によって在韓米軍や自衛隊の注意が台湾に向かったところで、火事場泥棒的に南進は、あるのかもしれませんが。現在の北朝鮮はもう、そんな野望を持っていないのかもしれません。金日正一族とその王朝を維持することが自己目的化し、韓国に対しては部分的な軍事行動で、体面を作れればそれでいいと思ってさえいるような。そういう意味では、第二次朝鮮戦争の可能性は非常に少ないでしょう。

■北朝鮮崩壊へのシナリオ■

もし北朝鮮が崩壊するとしたら、シナリオは三つか四つぐらいしかなくて。ひとつは金日正一族の求心力が衰えて、内部からの軍事クーデターによる自己崩壊。もうひとつは、中国の介入による外部からの崩壊。三つ目は、偶発的な軍事衝突から戦線が拡大して、韓国軍の北進による軍事的な南北統一。最後の案はかなり可能性は低いですが、体制維持を諦めた北朝鮮側による、穏やかの連邦国家を経ての韓国側への吸収。

アメリカが金日成一族の身の安全を保障するなら、ありえそうですが。江戸川柳に、「売家と 唐様で書く 三代目」なんて傑作がありますが。四代目の継承はかなり難しいでしょうし。三代目がすでに死亡している、あるいは植物状態にあるという噂もありますし。今は金与正女史が3.5代目として踏ん張っていますが。どうにも、山口組の四代目継承問題もそうでしたが、独裁国家は継承問題でもめるのが常。

山口組の場合は、三代目の文子未亡人がかなりの人物でしたが、それでも後継者指名で揉めましたからね。北朝鮮は二代目の急逝からの、泥縄的な三代目擁立で、その三代目も死亡説や植物状態説が流れる状況ですから。もし可能性があるとしたら、軍部へのカリスマ性を高めるための、乾坤一擲の南進と部分的な勝利しかないでしょう。そこで軍への睨みを利かせて数十年の延命を手に入れるか? いずれにしろソフトランディングはないでしょう。

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