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入場料がある本屋

割引あり

◉LIFE HACKERに、書店に関する興味深い記事がアップされていたので、ご紹介を。なんと入場料がある本屋さんだそうです。しかも立地は六本木という、東京でも地下が高い超一等地で。気になるお値段ですが、平日は1650円で、土日・祝日は2530円、本は読み放題の上に、コーヒー・煎茶は飲み放題という、漫画喫茶よりも 待遇が良さそうな感じです。なにしろ、品揃えが違いますから。

【ほかの本屋とどう違う?日本初「入場料がある書店」に人が集まる理由】ライフハッカー

六本木にある「文喫(ぶんきつ)」は、1日中滞在できる新しい形の書店です。

平日は1,650円、土日祝日は2,530円で本は読み放題、珈琲、煎茶は飲み放題。1人で過ごす人もいれば、友人とゆっくり過ごす人もいます。

若者の本離れが深刻だと言われていますが、文喫に訪れる客層は20~30代の女性が中心で、ヘビーユーザーも少なくありません。

2018年のオープンから着実にファンを増やし、コロナ禍も乗り越えて人気を維持している理由は何でしょうか。文喫 六本木の副店長である中澤佑さんに話を伺いました。

https://www.lifehacker.jp/article/2312-hatawarawide-bunkitsu-roppongi/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、本屋で検索したら出てきた素敵なイラストです。

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■サブスクリプション時代■

自分自身は本好きが昂じて日本文学科を出て、出版社に勤務して編集者になり、ついに作家になってしまった身ですが。本屋は映画館と一緒で、都会の贅沢品に近い将来になると思っています。本屋の存続とかいうと、都会人の視点でしか語られませんが。地方の本屋なんて、本当に貧弱で。たぶん地方では、1万人に1軒ぐらいの存在になると思っています。本屋での本との出会いとか、都会の大型書店に慣れた人間の発想でしかないです。

それでも本好きとしては、本屋の文化は都会の象徴として、残って欲しいですし。そういう意味では、この「入場料がある本屋」はひとつの可能性だと思います。音楽方面では、月額定額料金で聞き放題のサブスクリプション・サービスが盛んです。Spotifyの世界的な成功を皮切りに、AmazonやGoogleも参入し。音楽以外の他の分野でも、本にゲームにと盛んですね。

Amazonだと書籍でも、Kindle Unlimited読み放題というサービスが有り、沢山の本が無料で読めますからね。そういう意味では、普通の本屋ももう、ある意味で有料立ち読みを始めたわけです。というか、立ち読みでさえなく、ちゃんと椅子で読んで楽しむサービスに。これも必然ですね。渋谷に昔、病的なまでに立ち読みを嫌う本屋がありましたが、隔世の感があります。

■出版社と作家の取り分は■

現実問題、本を読む人は偏っていて、読みたい本は多数あり、こういうサービスは確かにありがたいですね。都会の、ある程度 品揃えの多い大きめの店舗でないと、田舎の本屋では難しいですが。しかしミュージシャンの方では、サブスクリプションへの怨嗟の声が、時々上がってきます。サブスクリプションのせいで儲けが少なくなった、と。

入り口の企画展示コーナーから階段までは無料スペース、階段を上った先の2階が有料スペースで、約3万冊の在庫があります。

でも、本の場合はまた違うかも知れません。そう思って記事を読み進めたのですが……残念ながら、この入場料のある本屋さんの収益が、出版社や作家にどう還元されるかは、書かれていませんね。レンタルショップのように、すべての蔵書に対して、何らかのレンタル料的な支払いがあるのでしょうか? けっきょく図書館法と一緒で、クリエイターの懐はあまり、気にしていないのでしょう。

日本の図書館でも、利用客を増やそうとベストセラーの本を購入して、利用者にただで読ませていますが。それによって著者に生じる不利益に対しては、何の補償もありません。出版社の場合は文化事業ということで、税金的な免除がいろいろあるのですが。明治時代に作られた図書館法の問題点は、過去にも言及しているので繰り返しませんが。図書館や本屋がクリエイターの、懐具合を気にしないのは悲しいですね。

■貸与補償制度がある欧州■

これがヨーロッパだと、例えば図書館から著作が借り出されることによる著作者側の損失を補償するために、貸与補償制度(著作権補償制度)があります。貸し出された分に応じて、一定の保証金が入ってくるわけです。金額的なことは分かりませんが、ないよりはずっとマシです。Wikipediaには公共貸与権の見出しで項目があります。

1946年、デンマークが世界で初めて導入した。1979年にはイギリスで20年間にわたる議論の末、法律が制定・公布された。以後、カナダ・フィンランド・スウェーデン・ノルウェー・ドイツ・オランダ・ベルギー・オーストリア・イスラエル・豪州・ニュージーランド等で導入されており、欧州委員会(EC)では1992年に全加盟国での導入を義務付ける内容の「貸与権及び貸出権並びに知的所有権分野における著作権に関係する権利に関する1992年11月19日の欧州理事会指令」が成立。イタリア図書館協会は導入に反対を表明しているが、こうした動きに対しECがイタリアやルクセンブルク政府を指令違反により欧州裁判所へ提訴する事態となっている。

Wikipediaより

また、フィンランドには書館助成金も、存在するそうです。2019年には約270万ユーロが約360人の作家と翻訳家に授与されているとのこと。日本版CNCを、などと言ってる人たちのような、利権化を疑うような主張はともかく。文化を守るというのは畢竟、そういうことではないのでしょうか? 国会議員になられた赤松健先生などには、こういう部分での提案を期待したいところではあります。

■地方と電子書籍の可能性■

しかし、こんな入場料のある本屋は、人口数万の市町村では、成立し得ません。日本の図書館法では、必ずしも 入場料を取ってはいけないわけではないのですが。多くが公共の図書館なので、無料が当然だと思われています。しかし、もし可能性があるとすれば、それは電子書籍ではないか……と自分は思っています。

例えばAmazonと提携して、漫画喫茶などでKindle Unlimited対応のタブレット型を用意し、それを有料で貸与するというスタイル。これならば、漫画喫茶側は何万冊という本を収納するスペースが不要です。ひょっとしたら、もうそんなサービスを開始しているところがあるのかもしれませんが。この電子書籍の対応は、地方の図書館で蔵書数も、スペースも足りていないような図書館にも有効でしょ。

1階の無料スペースは気軽に入っていただけるように開放的な空間にして、入り口の企画展示は1~2カ月の頻度で新しいものに切り替え、フェアも行ないながら常に新しい話題とお店の個性を伝えられる場にしました。

でも、そういう手法が伸長した結果、音楽のサブスクリプションサービスと同じように、クリエイターの側が儲からなくなる状況が、生まれるかもしれません。でも、そこをクリアする方法論が、作家の側にいないわけでは、ないんですよね。その方法とは……。

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以下、ネタバレを含むので有料とします。ただし内容的には大したことは書いていませんので、興味があって著作権法を遵守できる人だけどうぞm(_ _)m ただ投げ銭を出すよりは、お得感があった方がいいでしょうから。プレゼントがわりに100円や200円ぐらい恵んでやろうという、心の広い方だけお願いします( ´ ▽ ` )ノ

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