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島に住む哺乳類の過適応と絶滅

◉動物の進化に関して、面白い話題が出ていたのでご紹介を。島という閉鎖的な環境で、極端に大型化したり小型化するという進化をした生物は、そこに人類がやってくると絶滅しやすいという研究を、東京大学新領域創成科学研究科が、発表しました。大陸だといろんな生物が行き来するため、極端の進行はあまりないのですが。島嶼化と言って、島に住む生物が小型化しやすいというのは、以前から知られていました。

【島に棲む哺乳類は体サイズが極端に変化すると絶滅しやすいことが明らかに-島にヒトが到来すると絶滅率は10倍以上に増加-】東京大学

◆島に生息する哺乳類について大規模なデータを収集し、体サイズの変化率と絶滅しやすさを調査したところ、体サイズの変化が大きい種ほど絶滅しやすいことが明らかになりました。
◆絶滅率は現代人(ホモ・サピエンス)の島への到来で10倍以上に増加し、極端に巨大化あるいは小型化した哺乳類はほぼ絶滅してしまいました。わずかながら現存している、島で特殊化した哺乳類に対し、より優先的な保全策を講じることが重要であると指摘できます。
◆今後、「島嶼化」に伴う体サイズ以外の変化についても分析を進めることで、絶滅に対する脆弱性を高めた生物学的な背景についても明らかになると期待されます。

https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/10107.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、コモド島っぽい、インドネシアの何処かの島らしいです。

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■島嶼化と進化■

日本の場合だと、例えばニホンオオカミはタイリクオオカミの亜種ですが、やはり体格的には小柄なんですよね。鹿児島県だと、種子島や屋久島、奄美大島とか島嶼部が多いのですが。ここに住むヤクシカやヤクザルなどは、本土と比較しても小型です。餌は決して豊富な環境とは言えませんから、どうしてもエネルギー消費量を減らすために小型化する傾向はあるようです。

人類でも、フローレス原人と呼ばれる東南アジアの原人の一種は、小柄な体格で知られます。これとは逆に、コモドドラゴンは、大型化する方向に進化したタイプです。どうも頂点捕食者だと、大型化する傾向があるのかもしれませんね。天敵がいないためどんどん大型化してしまう。ただ大型化も小型化も、環境に対する過剰適応という面はあるでしょう。そうなってしまうと、環境の変化に耐えられなくなってしまうんですよね。

■過剰適応と絶滅■

有名なところでは、マダガスカル島の飛べない鳥ドードーなど。ドードーは鳩の仲間らしいのですが、かなり大型化して飛べなくなり、そこに人類がやってくると簡単に捕獲できると、激減してしまったようです。何しろハトの仲間ですから、肉は美味しかったでしょうし。そういえば、アホウドリも翼開長で言えば、最大級の鳥類ですね。こちらも洋上を長時間飛行するために進化した結果、陸上では離陸に手間取り、人間に簡単に捕獲されてしまったんですよね。

生物の進化というのは、カール・マルクスやアドルフ・ヒトラーが誤解したような、優勝劣敗の結果ではないんですよね。様々な偶然の積み重ねの結果、環境に適応した者が生き残ってきただけで。カンブリア時代の生物ピカイヤに酷似しているナメクジウオも、シーラカンスも進化しなくても生き残っているのですから、少なくとも現時点ではそれが正解なのです。正解とか不正解という表現もまた、誤解を呼びそうですが。

■過剰蕩尽する人類■

そして人類というのは昔から、環境破壊する生物ですから。どうも過去の遺跡などを見ても、実際に食べる量よりも過剰に獲物を殺す傾向がはっきりしています。パチンコの大当たりで依存症になってしまうタイプと一緒で、大量に獲物を殺すことで快感を得るように進化してしまったどうでしょう。結果的に人類が絶滅に追い込んでしまった生物は数限りないですし。そもそも農業が、人類の最初の環境破壊であるという、指摘さえあります。

本来は多種多様な植物が入るべき場所を、人類に都合のいい植物だけを、集中的に植えるのが農業ですからね。とはいえ、今更人類が農業を放棄するわけにもいきませんし、この過剰に獲物を狩る性質も簡単には改められないでしょう。人類にはそういう面があるというのを自覚した上で、科学的に折り合いをつけていくしかないのでしょうね。そんなことを考えてしまいました。人類が利己的に生存するためには、利己的な部分を押さえないといけないという逆説。

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