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朝日新聞の部数減は批評性を失ったから?

◉……と、内田樹氏が言っていますが。確かに朝日新聞は、2001年にピークの832.4万部もあった部数が、2011年に771.3万部、2021年には457.5万部。確かに、大きく部数を落としていますが。んな訳ないですよね。そもそも、2001年にピーク部数の4755万9052部あった一般紙の部数は、2011年には4409万1335部と350万部近く減し、さらに2021年には3065万7153部にまで落としています。10年で1400万部減です。全盛期の64%の部数で、約36%も減らしてるのですから、朝日新聞もその波に飲まれただけでしょう。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、

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■新聞の部数減は時代の流れ■

この傾向は、読売新聞も同じ。全盛期の2001年は1028万部もあった部数が、704.4万部に。68.5%に減っています。全体の減り方から言えば、まだ踏みとどまっていますね。朝日新聞は、54.9%ですから、大激減ではあります。毎日新聞は、2001年に396.4万部あった部数が2021年には198.2万部で、50.0%の部数減です。朝日新聞よりもっと酷いですね。ちなみに、毎日新聞のピークは1973年の488.3万部です。西山事件の影響は大きいんですねぇ……。保守系の産経新聞は2001年にピークの201.9万部で、2021年は109.1万部に。54.0%で朝日新聞と大差ないです。

朝刊全国紙5紙の最後、日経新聞は2001年に306.2万部で、2021年は183.9万部。60.0%ですね。ちなみに、日経新聞のピークは2002年の307.3万部です。全盛期と比較すると59.8%ですから、読売新聞が頑張っているけれど、他の全国紙は軒並み40%かそれ以上、部数を減らしています。保守系の産経新聞と、朝日新聞が恐ろしく近似した部数減のパーセンテージは、それが新聞の内容にはあまり関係ないことを、示しています。せっかくなので見やすいように、一覧にまとめてみましょうか。

・読売新聞/1028万部→704.4万部 68.5%
・朝日新聞/832.4万部→457.5万部 54.9%
・毎日新聞/396.4万部→198.2万部 50.0%
・産経新聞/201.9万部→109.1万部 54.0%
・日経新聞/306.2万部→183.9万部 60.0%

出典は下記にまとめて

■新聞雑誌は黄昏のメディア■

スポーツ紙も2001年には612.1万部あったのに、2021年には236.9万部で、なんと38%の大激減。ほとんど3分の1に減ってるということです。スタンド売が中心だと、そうなってしまうんでしょう。新聞の部数減は時代の必然であり、その傾向は何も新聞だけではなく。かつては653万部もあった週刊少年ジャンプが200万部をとっくに切って、132万部に。405万部あった週刊少年マガジンが、50万部を切って48万部に。もう、新聞どころの落ち込みではありません。5分の1や9分の1に縮小しています。

というか、朝日新聞の天敵であった週刊文春は、80万部近くあった部数が50万部を切りそうです。紙の媒体自体の限界は明らかです。宅配制度に支えられた新聞は、まだまだ持ちこたえている部類といえそうです。でも押し紙の問題など歪みが出てきて、もう限界でしょう。スポーツ紙の凋落を見れば、 朝日新聞を将来的には200万部どころか100万部をも割り込み、全国紙でなくなるでしょう。繰り返しますが、これは内容の問題ではなく、時代の流れです。いち新聞社が抗えるものではありません。新聞も雑誌も苦境なのです。

■若者の〇〇離れは責任転嫁■

そのような時代の変化を無視し、批評性を失った云々と主観丸出しの意見を言って、何になりましょうか? 新聞雑誌は、黄昏のメディアです。そのことをまず、認めるべきでしょう。しかし、それは少子化とか、活字離れとか、若者を批判するのもまた、筋違いです。活字離れどころか、若者はむしろ情報に接し、それを読む時間は、昔より増えているというのが、日本だけでなく海外の研究でも明らか。むしろ、情報を多様に接種して、朝日新聞や産経新聞の偏った意見を、右も左も若者は見抜いていて、あんがいニュートラルな意見に着地しています。

昔は、それしか情報がなかったから、仕方なく新聞や雑誌を買っていた、という側面もあるでしょう。でも、インターネットの出現で、情報のルートが多様化しましたから。新聞や雑誌の信頼度って、確かにあるんですが。でも、大手新聞社や大手出版社が放射線やワクチンについてデマ情報を垂れ流し、その信頼感もすっかり落ちてしまい。どんな碩学でも、ミスは在るので、けっきょく複数の専門家の情報を突き合わせるのが、インターネット時代の若者。それは、テレビもそうなんですけれどね。若者の〇〇離れなんて、半世紀前から言われてる、老人の責任転嫁です。

■新聞の生き残り戦略とは?■

では、新聞雑誌はこのまま滅びるのか? それもないと、断言できます。映画館とスクリーン数の減少と同じで、どこかで下げ止まり、低音安定期に入るでしょう。そもそも、若者の数は減っても、需要は実はあるわけで。スマートフォンの普及と巣ごもり需要で、電子書籍の売り上げが爆上がりしたのを見ても、デジタル化が進んで売れなくなったというより、値段に見合っていない情報は、売れなくなったと言うだけです。新聞にとって必要な生き残り戦略とは、安価な大型タブレットを契約した家庭に貸与し、電子化の促進でしょうね。

でもそれは、明治時代以来の宅配制度の否定であり、ビジネスモデルの大転換です。上手くソフトランディングさせる方法論を新聞業界が構築できなければ、新聞業界自体が一気に斜陽化するでしょう。日経新聞とか、専門性の高いところはある程度成功していますが、朝日新聞の有料記事とか、見出しとリード部分でデタラメだとわかるものが多く、まさに内田樹氏が想定してるであろう、意識の高いと思ってる守旧派老人に迎合した記事。今は売れても、10年後には全共闘世代が激減し、商売にならなくなるでしょう。

■アメリカの新聞化する日本■

そもそも日本は全国紙が多すぎて、部数も異常に多かっただけ。アメリカに比較して、地方紙に多様性がなかったんですよね。だからこそ、ミニコミ誌的なものがカバーし、いまはそれらがネットに移行し、一定の支持を得ていますし。早ければ10年で読売新聞以外は、ブロック紙になる運命。その全国紙も、アメリカとの比率を考えれば、100万部行けばいい方では? 新聞や雑誌のマネタイズの手法は、これから大きく変わらず、ただ広告依存のビジネスモデルが変わるでしょう。つまり、記事本来の価値で、売り買いされるようになるでしょう。

そうなったら通信社の配信記事を、わざわざ朝日新聞で読む必要はないですから。より専門性を高め、それをデジタルで配信し、契約した家庭には専用のTablet型を貸し出し、ムダに多い社員の数は減らし、地方局はプロ野球球団かプロサッカー球団が在るところ以外は閉鎖し、ブロック紙のローカル版という形で、転換するしかないでしょうけれど。なんのことはない、アメリカの新聞社と同じに。でもたぶん、その決断はできずズルズル行きそう。経営判断がシビアな産経新聞や、機を見るに敏な日経新聞は早めに移行し、読売新聞は部数を減らしながらも持ちこたえ、朝日と毎日がズルズル行きそう。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

■参考資料一覧■

参考資料は以下にまとめておきますね。量が多いので、じゃまになるので。まずは部数全体の推移。

読売新聞の推移。

朝日新聞の推移。

毎日新聞の推移。

産経新聞の推移

日経新聞の推移

2021年の部数はコチラから

週刊少年紙の部数はコチラ。

最近の部数はコチラ

週刊文春の部数はコチラ

おしまいですm(_ _)m

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ