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淡い紫の呪い

淡い紫の呪い

 雪原にほんの一滴、ブドウのジュースをこぼした時のようなはかない淡い紫。その色をミサキはこっそり持っている。きっと誰にも見せてない、でも私は知っている。だって私がつけたんだもの、あの華奢な左の手首に。

 「先輩って、かっこいいよね」ミサキがそう言うのと、私がカメラのシャッターを切ったのはほぼ同時だった。

 「え?先輩??」

 わざと聞き返す。先輩と呼ばれる人物にはあらかた予想がついていた。

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