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小説詰め合わせ

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#女子高生

ねぇ、先生。

ねぇ、先生。

 キッチンの流しに透明なコップを1つだけ置いて、蛇口から細くひねり出した水がゆっくりと淵に近づいていくのを眺めるのが好きだった。

  水がコップの淵にジリジリと迫ってゆく、あの息の詰まるほどに静かな緊迫感がたまらない。表面張力でコップに一瞬だけしがみついて、ほんの少しの間を置いて重力に逆らえなかった水が溢れ出す。わたしは両肘をついて、その光景を眺めている時が一番幸福だった。

 終業のチャイムが

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