知識は恐怖を救う。かも。

幼い頃からドのつく怖がりなのに、たまたま見ていたテレビ番組で、予期せず心霊写真特集なるものが始まってしまう。
チャンネルを変えようとしている間に、テレビ番組はどんどん進んでしまい、心霊写真が映し出された。

男性2人が街中で写真に収められている。
日中だというのに、1人の男性の顔が真っ黒に潰れているのだ。もう1人の男性の顔はちゃんと写し出されている。
怖い。怖すぎる。真っ黒な顔が脳裏に焼きつく前に視線を反らしたいのに、怖くて目が離せない。真っ黒な顔がアップで映り、もう完全に焼きついてしまった。これはお風呂にもトイレにも就寝にも支障が出ちゃうな、と腹をくくる。

すると一緒に見ていたつれあいが、
「黄色や白い服を着て写真を撮ると、明るい色のところにフォーカスするから顔が黒く潰れることはよくある。逆に黒い服を着ていると、周りを明るくしようとカメラが認識するから、顔が白飛びすることがあるんだよ。赤い服だと顔が青くなるし、青い服だと顔は黄色がちになる。ホワイトバランスとかそういうのでね。今のカメラは顔認識がついてるから、頻度は減ってるだろうけど。写真は光や物との反応作用で写し出してるものだから、写したときの服の色とか天気とか光の量とか色んなものに左右されて、妙な写り方をすることはあるよ。」
というようなことを、至って真面目に説明をしてくれた。

実際、黒い顔の男性は白服の上に黄色のシャツを重ね着しており、顔が写っている男性は真っ黒な服を着ていた。
心霊写真を見る際は、カメラ経験豊富なつれあいと見るに限るなと深く納得した。

何においても、『わからない』ことが不安となり恐怖に繋がる。
道だって、知っている道なら暗くても無意識で歩けるし、ちゃんと家に帰れる。
お金のことだって、人付き合いだって、仕事のことだって何でもそうだと思う。
漠然とした恐怖のひとつひとつを冷静に噛み砕いていけば、本当に不安に思っていることは何についてなのか、その不安が現実化したら自分はどうして困るのか、つまり自分が譲れないポイントは何なのか、などということが明確化され、それならそれを回避するためには手離さないためにはどうすればいいのか、という解決策が見えてくるはずだ。
足下までいっぱいに溜まりに溜まった洗濯物(=漠然とした不安)を、ひとつずつ洗っていけば(=分析して明確化)、いつかは確実に綺麗になるし必ず終わる。

漠然とした不安や恐怖を抱いているときは、紙に書き出すなどして、今抱えている問題や不快感は何か、自分はどういう特性の人間だからこの件について困っているのか、自分が快適になるためにはどこを削ぎ落としどれを掬い取ればいいのか、などを自分自身と話し合っていきたいなと思っている。

ちなみに就寝時、妙に緊張感を抱いたままになっていたのだろう、案の定金縛りには遭った。

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