見出し画像

そのメロディーは時を超えて

通勤途中の最寄り駅までのまっすぐな道を歩いていたら、子どもを乗せた自転車が横をすり抜けた。
わたしを抜かした後、後ろに乗っていた子どもの歌う声が風に乗って聞こえてきた。聞き覚えのある歌詞は、だんだんと鮮明になり、記憶しているものとリンクしていく。

"月曜日、月曜日、りんごをひーとつ食べました、それでーも、やっぱーり、おなかはぺーこぺこー"

それは、"はらぺこあおむし"の絵本の仲の文章にメロディーをつけたもので、保育園の先生などが読み聞かせの際に歌ってくれるものだった。
わたしが幼児のころからあるものが、今もなお歌われているという事実に、純粋に感動した。

それらの曲、つまり保育園を卒園したり、教育テレビを卒業してから先はなかなか耳にすることのない、幼児向けや小学校低学年向けの曲を、わたしはやたら覚えている気がする。

おそらく、小学校に通いながら保育園併設の学童に通って、園児と先生のやりとりをずっと見ていたことや、親戚の中で年長者だったために従兄弟や弟のために流れている幼児向けのテレビを、目にする機会が多かったからなのではと思っている。

たまに思い出したように"ピタゴラスイッチ"で流れていた曲や、先ほどのはらぺこあおむしのような絵本にメロディーをつけたものを口ずさむと、恋人に"チハヤさんはやたらそういう曲覚えているよね"と驚かれる。

幼児向けといっても全く馬鹿にはできない。今でも忘れないような頭に残るメロディーや、子供でも口ずさみやすいような歌詞は、音楽を身近に感じられるし、長きにわたって愛される秘訣となる。

大人になった今改めて聞いた、教育テレビの某アニメの歌詞にグッときたりもする。

"ねこがねこであるように、いぬがいぬであるように、全身全霊、ぼくでありたい。"

たまたま聞こえた歌詞から、音楽のちからを改めて感じた朝だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?