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キャロットケーキを作るの巻

わたしはお菓子作りが大の苦手である。
しかし数か月前。ドラマ「きのう何食べた?」でシロさんが作るバナナケーキを見ていたら、「これならわたしにもできるのでは」と思い立って、何年かぶりにお菓子作りをした。

材料はバナナ、ホットケーキミックス、バター、砂糖、卵のみ。手順も混ぜて型に入れて焼くだけの簡単レシピ。

“何食べ”に出てくる料理はどれも簡単でわかりやすい。

材料を混ぜて型に入れ、オーブンで焼くこと数分。

中身が溶岩みたいにドロドロと勢いよく流れ出てきてパニックになる。どうすることもできない。諦めて時間通り焼くと、真っ黒に焦げている。型から外そうとしてもくっついてしまって取り出せない。大パニック。どうやら型にオーブンシートをひき忘れていたらしい…。

分量を細かく量る、手順を違わずに作る、そういった細かい作業がとにかく性に合わないのだろう。やはりお菓子は買って食べよう、そう心に誓った。


ある日。

「今度お菓子作り一緒にしたいな」

近所に住む友達の一言で、一筋の光が見えた。
よくお菓子作りをしている頼もしい彼女と一緒なら、きっとうまくやれる。
一人じゃなくて誰かとやればいいのだ。すぐに日にちを決めた。

わたしが彼女に提案したのは、クッキーでもドーナツでもなく、「キャロットケーキ」だった。難易度が高そうと思いながらも、なかしましほさんのおいしそうなレシピをみつけて作ってみたい(食べてみたい)と思ったからだ。

当日。近所のスーパーで材料を揃える。きび砂糖は普通の砂糖、太白ごま油はサラダ油で代用することにしたが、ベーキングパウダーは絶対に必要だからと大きめの缶に入ったものを買う。

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気分を高めるために前日に桜の木を買った。家でお花見しながらお菓子を作る至福の時。

料理も得意な彼女は、手際良くミートソースパスタを作ってくれた。
その間にわたしはお菓子の材料をボールに入れて混ぜる係を担当。

レシピを見ながら材料を量ってボールに入れていく。

ミキサーの調子が悪くニンジンを茹でてフォークで潰すことになったり、「ふるい」がなくて「茶漉し」で気が遠くなるほど粉をふるったり、くるみを炒らずにそのまま入れそうになったり…。

ちょっとしたハプニングがあったが、それもいいスパイスのように思えた。今回はオーブンシートをひき忘れず型に流し込む。余熱もバッチリで35分に設定。よし、完璧!

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オーブンで焼いている間に、作ってくれたミートソースを食べながらおしゃべり。人に作ってもらうと、ご飯のおいしさもひとしおだ。

パスタを食べ終え、ケーキの様子が気になりオーブンを見にいくと、事件が起きた。

え?膨らんでない。
焼き始めて20分経ったのに膨らんでない。なんでなんでなんで…。

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ふとオーブンの上を見ると、置き去りにされたベーキングパウダーを発見。
ベーキングパウダーを入れ忘れたのである。
お菓子作りにとって一番といっていいほど大事だからと買ったはず。
それなのに全く使われなかった(恐らくしばらく使われることはないであろう)彼が、さみしそうにこちらを見ている。

「ベーキングパウダー無しのレシピもあるよ、うん、大丈夫」と、友達が励ましてくれる。

そ、そうだよね。大丈夫だよねきっと、味はおいしいよね…。

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気を取り直して、友達がケーキの上に塗るクリームを作ってくれることになった。
ミキサーもない上に、泡だて器もやたら小さいものしかない。(ごめん…)

「生クリーム ミキサー なし」グーグル先生に聞く。
レモン汁を入れたらいい、氷水に塩を入れて冷やしながら混ぜるといいなどと、いろんな方法を教えてくれたので試してみることにした。

氷水に塩を入れようとした時、またしても事件が起きた。

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塩が入った100均の容器がすっからかん。なんで…?

「え!それ塩だったの?砂糖かと思って全部入れちゃった!」

生クリームに大量の塩を入れていたことが判明。

試しに少しクリームを舐めてみると、死ぬほどしょっぱかった。(塩の力、すごい)

友達と顔を見合わせて、ぷぷっと吹き出す。自分たちのとんちんかんぶりに、ケラケラと笑いが止まらなくなってしまった。

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さて、焼きあがったキャロットケーキは見事に膨らんでおらず。
ペタンとして中身がぎゅっと隙間なく詰め込まれた羊羹のようなケーキ(?)になりました。

まさか塩を入れてないよな?と思いながらも、恐る恐る食べると、味は問題なし。

しかし甘さ控えめがいいからと砂糖の量を勝手に減らしたりしたので、良くいえば素朴な味(とても薄味)で、キャロットケーキというよりゴロゴロしたニンジンとくるみが入った蒸しパンのような感じの食べ物に。

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お菓子作りは奥が深い。
思ってもみなかった物が出来上がってしまうのだから。

ケーキ屋さんやカフェ、お菓子を作る全ての人へのリスペクトがより強くなった。

それにしても、初回で「キャロットケーキ」を作ろうとしたのが間違いだったのではないか。

次はチーズケーキあたりでリベンジしてみたい。

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