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アイスバーンからのアイデンティティー考察

最近よく聞くポッドキャスト、安住紳一郎の日曜天国。

日本語っていいなぁ、面白いなぁ、と再発見させてもらっています。ある時の、安住さんの「アイスバーンは英語じゃなかった」コメント、アイスバーンときたらきっとドイツ語だ!とピンときた瞬間に、安住氏が「ドイツ語なんですって」

そこから展開される安住さん節というか話術にすっかりはまらされて、大笑いさせられたのだけど、その根底にあるのが日本人が思うドイツ語は、硬くてガチガチしているイメージがあるという日本人の大半が持つ共通認識。

たしかにね〜子音が多いもんだから滑舌のいいわりにすべらかじゃ無い言語であることは、確実です。

例えば、昨日子供のフランス語の語彙学習に付き合ったら出てきたこの言葉

hübsch

なんだと思いますか?

まずその前に、どう読むと思いますか?って言ったほうがいいのか。

ヒュpシュ がわりと近いかしら。

üは、ueとも書くんですが、狭〜い「ウ」をイメージしていただくとわかりやすいです。pで表したサウンドは、「プ」というほどもない破裂音のみなんですね。schは奥歯にモノが挟まったような「シュ」です。これ、6コのアルファベットの言葉なのに、そのうちの5コが子音ですからね。苦虫噛み潰したような顔で言ったらうまく言えそうなこの言葉、その意味するところはナント!

かわいい🩷 

なんですよ〜〜〜笑
ドイツ語まじかーと思う前に、しかし経験から言えることは、実際にこの言葉をネイティブがいうと、びっくりするくらい柔らかい音になるんです。

ドイツ語 = 硬くてガチガチ

という概念って、わりとハリウッド映画とかのドイツ人が敵役のそういう役での話し方から来てるんじゃないかな~と、潜在下でアメリカ文化至上主義で育って来た自分を、日本を離れて、アメリカに匹敵するかつての世界のジャイアン英国にて再教育され、そしてその後ジャイアンから、EU諸国の長兄的存在で苦労が耐えない(実は過去はめちゃくちゃ突っ張って暴走したんだけど)今は出木杉くんなドイツに移住した身としては、冷静に見るのです。

無意識ジャイアンアイデンティティーを振りまく英国人夫に、20年近くジャイアン文化こそ世界一と洗脳させられていた私。日本語講師として、本格的に働き始めて、段々と目が覚めてきたように思います。安住さんの日天ポッドキャストを聞いて、お腹の底から笑えること。語彙や文化的時差なく理解できること。母語の力って、すごいんです。アイデンティティーという名の言葉を超えた社会的概念や習慣や共有文化的背景がばーーーっとその背後にあっての言語力。どれだけ外国語がネイティブレベルに近くなっても、母語に絶対に適わないのは、その部分なんです。ドイツで、家庭語英語でドイツ語バイリンガルで育つ我が子たちが、将来自分のアイデンティティーをどう考えるのか、アイスバーンが'Eisbahn'(ドイツ語本来の意味はアイスリンク)でない国をアイデンティティーに持つ私との関わりはどうなるのか、安住さんの軽妙なトークでひとしきり大笑いした後に、妙に神妙な気持ちで考えさせられました。




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