日本人の大人はアジアで一番勉強していないって本当だろうか
最近、こんな記事を見た。
「リスキリング」という言葉は広がっているが、実際に勉強している人は少ないというもの。
要約すると、こんな感じ。
日本人はアジアで一番勉強しない?
3年前の記事でちょっと古いけど、日本人の大人はアジアで一番勉強していないんだそうだ。
日本はアジア14カ国で一番「学んでいない国」 | キャリスパ (career-spice.info)
パーソル総合研究所レポートへの疑問
この記事で引用されているパーソル総合研究所のレポートにたどり着く。
なかなかセンセーショナルなタイトルだ
そして自己研鑽についてのまとめは以下のとおり
「勤務先以外での学習や自己啓発について、日本は「特に何も行っていない」が46.3%で、14の国・地域で最も高い。2位のニュージーランドと比べて24.2ポイントも差があり、断トツで自己研鑽していない。」
データはこれ。確かに数字に出ている。
例えば、日本は通信教育を受けている人の割合が7.7%。中国は32.7%。
資格取得のための勉強では日本は13.6%。中国は35.9%。インドネシアに至っては50.7%。 負けてるね。
分析コメントも手厳しい
だが、私が一番着目したのは、実はそういう分析やコメントではなく、以下の「調査手法」の欄だ。
よく見ると、日本と他の国では同じ調査ではないことがわかる。
条件はそろえているように言っているが、本当にそうだろうか?
調査サンプル属性サマリを見ると・・・
この調査対象では、日本は最終学歴の大卒割合、正社員比率、管理職の割合が相対的に著しく低い。
ちょっと待てよ?
中国の管理職割合が62.3%って何??
インドの最終学歴、93.5%が大卒以上だって??
普通の会社の中での管理職比率はせいぜい1割か、2割ぐらいだろう。6割というのは明らかにサンプリングに偏りがある。そもそも中国で管理職になるような人は人一倍勉強するのは当たり前だよな、と言いたくなる(私も何度か中国に出張して現地を見てきたからわかる)。
インドの大卒比率に至ってはもっと偏っている。インド全体で見たら大卒の割合ってどうなんだろうか?
(もっとも、大卒だから社会人になっても勉強するとは言うつもりはない。あくまで、サンプリングに偏りが大きいという事実を言いたいだけ。)
勉強する人たちをわざわざ選んで回答してもらったとは言わないが、海外在住者へのアンケートは、ネット環境に恵まれ、それなりに情報リテラシーの高い人が回答した結果、このような偏りが生じたのではないかな?
言いたいこと
私は別に、日本人の大人を擁護するつもりはさらさらない。周りを見ても、自己啓発に励んでいる人は一部にとどまっているように見えるし、自分も他人のことをとやかく言うほど勉強していない。だから、国民全体のレベルを見ても、やはり日本人は勉強していない人が多いのかもしれない。
日本は長い間終身雇用・年功序列が続いてきたし、資格を取ってもそれを活かせる場面は少ないと思う。転職することもあまりないから、対外的に自己アピールする必要性を感じることもないだろう。そういうことよりも、目の前の仕事に専念するとか、社内の人間関係を大事にするとか、そういうことのほうが昇進にはプラスになることが多いので、自己啓発のモチベーションは上がりにくいんじゃないかな?
とは言うものの、パーソルの調査をもって、「だから日本人はアジアで一番勉強していない」と性急に結論付けるのはいかがなものか? 国際比較するならば、調査対象の属性を揃えるのがフェアな調査というものではないだろうか? よって現時点、私の中では判断保留。
コロナ騒動で思ったが、統計データはその調査手法やデータの切り取り方で如何様(いかよう)にもできる(つまりイカサマ)。言いたいストーリーありきで、それに見合うように都合のいい数字を並べれば、たいていの人を騙すことは簡単である。
要するに、ネットやテレビで流れる様々な言説や、統計データなるものは、注意して中身を見ないと判断を誤ることもあるんじゃないかということだ。
ポジショントークになってない?
最初に戻るが、冒頭に紹介した記事では、調査したのは教育産業のベネッセ。なるほど、「勉強しなきゃ」と焦る人が増えれば、Udemyなどのネット通信教育やってみようかという人たちも増えるかもしれない。それはそれで悪いことではないと思う。
それでも、コロナを煽ってmRNAワクチンを推進してきた連中の影がちらついてしまうのは、私が偏屈者だからかな?
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