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仕事を頑張るための、ちょっぴり反抗的なふわふわパーマ。

昨日、パーマをかけた。
柔らかくて、動くたびに太陽の光が髪の間にふわりと透けるような、くるくるパーマ。ずっと憧れていた髪の毛を手に入れて、昨日の夜も、今日の朝も気分は浮かれている。

明日仕事に行ったときの職場の先輩たちの反応は少し気になる。教育の世界で働く私は、周囲の人の反応に敏感な方だ。
思っていたより雰囲気も変わり、鏡に映る自分からは個性派な印象を受ける。でもそんなことより、今は髪型に心が躍っているその気分に浸りたい。

髪型が変わるだけで、普段は腰が重くなるお風呂に入るのさえ楽しみになってしまうのだから不思議だ。それに、ちょっと挑戦的な髪型は仕事や人間関係など嫌なことに対して反抗的な気分にさせる。

もうすぐ春。仕事は嫌なことも多いし、理不尽だと思うこともある。
ちょっと我を出した髪型で、自分を奮い立たせるのもひとつの方法ではないだろうか。

カビの生えた部屋の掃除をしながら、パーマをかけようと決意。

パーマをかけようと決めたとき、私はカビの生えた部屋の掃除をしていた。自分の部屋ではなく、職場のとある部屋だ。

掃除する予定の部屋を思い浮かべ、窓のサンが汚かったな、クレンザーで磨いたらきれいになるかな、窓も拭いとくか、とぼんやり考えながら部屋へ向かう。

その部屋は、フローリングのスペースと畳のスペースのある部屋だ。ほうきで掃いたり、雑巾で拭いたりというのは日常的にしていたので、ほこり臭さはない。問題は畳の下だ。一面に白カビが生えているのを、私はそのときまで知らなかった。

窓を開け、マスクと手袋を装着する。プラスチック手袋の中で手のひらの位置が定まらないのを感じながら、無心で床を拭いた。

床を拭き終わり、白カビ掃除の方法はこれが正解なのだろうかと思いながらアルコール消毒をして、スマホを開く。

「明日か明後日かな」

美容室は意外にも空きがあり、思ったよりも早くに予約が取れそうだった。今パーマをかけないと、我慢して鎖骨下まで伸びた髪をショートカットにしてしまうかもしれない。ストレスが溜まると髪を切る習慣のあった私のことをInstagramのアルゴリズムはよくわかっている。最近ショートカットの女性の写真ばかりが目に入ることには、少し前から気づいていた。

丁寧で真摯な美容師さんに、私は自分を重ねた。

美容室に行って、こんな感じにしたいです、とInstagramのSaved欄を見せる。強めのパーマにしたくて、前髪作りたいんですけど、顔が四角く見えるのがコンプレックスで…と要望を細かく伝えると、わかりました、じゃあ準備してきますね、と美容師さんは席を外した。

突然パーマをかけることにした私の財布には余裕がなかったので、ジュニアスタイリストの方が施術してくれる美容室を予約した。
丁寧に、何度も髪を梳かしながら髪を切ったり、カーラーを巻いてはほどき、を繰り返す美容師さんに、自分の姿を重ねてみたりした。

仕事に真摯に向き合えば向き合うほど、目の前に立ちはだかる壁は高くなるような気がする。課題がどんどん積み重なるし、自分の未熟さがトンカチとなって、自分の自信を砕いていく。

職場は必ずしも優しい場所というわけではない。無意識に傷つけられることもあるし、世代の違いからか理解が難しい職場の文化もある。若さを生かして一生懸命に働くけれど、理不尽を飲み込むばかりだといつか爆発してしまうかもしれない。

ちょっぴり反抗的だっていい。Z世代、自分出してこ!

時計を見ると、6時を過ぎたところだった。彼氏が迎えにきてくれることになっていたので、もう少しかかると思うとメッセージをしておく。

そろそろパーマ剤流しますね~と声をかけられ、シャンプー台から降りると、ぱらりと自分の髪が顔にかかった。ウェーブのかかった髪が頬にあたり、なんだかくすぐったかった。

帰り道、スーパーに寄った。自分の姿が映るものを見つけるたびに、髪の毛を触った。髪の毛を後ろでまとめてみたり、髪に指を通してみたり、とにかく触っていたかった。

ちょっぴり個性が出すぎる髪型だけど、気に入っている。始めは少し、先輩たちの目が気になるだろう。

でも、反抗的なこのふわふわパーマは、どうみられるかより、どうありたいかを表現するきっかけになるかもしれない。どうありたいか、なんて言ってしまうと、少し傲慢な自分に引け目を感じてしまうが、少しの自己主張は、仕事を頑張るバネになる。

主張の強い、それでいて柔らかいくるくるの髪の毛は、4月からも私の気づかないうちに、少しずつ伸びていく。さて明日も仕事に行こう。

サムネイル:UnsplashIvana Cajinaが撮影した写真




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