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【対談note】拡がる音声広告市場、その可能性とは?~後編~|Spotify 藤井哲尚×Modern Age 高野修平

2回にわたってお送りしていく、スポティファイジャパン株式会社 広告事業統括藤井哲尚氏と、株式会社トライバルメディアハウス モダンエイジ事業部長 高野修平による対談。後編では、モダンエイジでの取り組みと音声広告市場の未来についてお話していきます。

▼前編はこちらから

スポティファイジャパン株式会社 広告事業統括 藤井哲尚氏
1999年より 2017年まで、株式会社博報堂 および株式会社博報堂DYホールディングスにて、統合コミュニケーション・デジタル・グローバルビジネス・事業開発の領域で活動。2017年10月より現職にて、Spotifyのフリービジネスの統括を担務。人の生活活動に関心を持ち、哲学・文化人類学・経済学・経営学などを修めつつ、フィールドワークも続けている。最近は、開墾と登山が趣味。

株式会社トライバルメディアハウス Modern Age/モダンエイジ事業部 事業部長/レーベルヘッド
トライバルメディアハウス内にある日本初のブランドマーケティングと音楽マーケティングを融合させたマーケティングレーベルを設立。ナショナルクライアント、テレビ局、音楽配信会社、映画配給会社、レコード会社、アーティストといった幅広いエンターテインメント業界を支援している。最新刊は『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』M-ON番組審議会有識者委員、尚美学園大学非常勤講師。

音声広告と音楽に取り組む各社の取り組み

高野:音声広告の価値を高め、特性に合わせた使い方を広めることに取り組んでいるのが、われわれトライバルメディアハウス内のモダンエイジ事業部 です。モダンエイジは、音楽を中心とするエンターテインメント業界のマーケティング支援と、ブランドとエンターテインメントを掛け合わせたコミュニケーションデザインを専門としています。モダンエイジでは、音声広告と音楽の上に立脚していて、音声広告がこれからのマーケティングに必要であり、重要であるととらえるとともに、エンターテインメントとしての音楽がもたらす価値を重視しています。

▼Modern Age/モダンエイジ

藤井:音声広告と音楽に取り組んでいるのは、私たちSpotifyも同じだと思います。

声優を活躍する「Voicebird」は「三方よし」の取り組み 

高野:モダンエイジの使命は、音声広告の価値や必要性を論理的、かつ体系的に伝えるとともに、「売れる」ためには音声広告が重要ということを、企業に理解してもらうことにほかなりません。そこで取り組み始めたのが、声優を活用した音声サービスである「Voicebird」 なんです。これは、簡単にいえば声優×音声広告×インフルエンサーマーケティングの掛け算です。

voicebird概要

藤井:声優は、それ自身がブランドであり、コミュニティも持っていますからね。ファンの熱量も大きいですよね。

高野:そうなんです。ただ、「Voicebird」は、「声優は人気だから」「SNSのフォロワー数が多いから」という理由で音声広告を読んでもらう、というものではありません。声優やアーティストの力をもっと表に出したい、スポットライトをもっと当てたいという考えから取り組んでいるものです。加えて、音声広告を最大活用きるサービスでもあり、企業の課題も当然解決するものです。

藤井:アーティストを大切にするのは、Spotifyも同様で、創業の理由の一つにもなっています。広告収入や、海賊版対策で守られた利益を、アーティストやミュージシャンに還元したり、マーケットプレイスをつくって、活動の場を整えたりして、アーティストが新しいチャレンジをできる環境を提供しています。音声広告を広めることも、その一環といえますね。

高野:声優の声に救われた人や、楽しみにしている人は非常に多いはずですから、「Voicebird」によって、声優が活躍できる場をつくることで、そうした人にいっそう力を与えることができ、企業の課題解決にもつながります。理想論すぎるかもしれませんが、声優をはじめとしたクリエイター、消費者、企業の誰もがポジティブになることができる「三方よし」の取り組みなんです。「Voicebird」によって、ボクたちがミッションとして掲げている未来をワクワクするものにできるなら、音声広告をやってみたいというフロンティア精神のある企業や社員、藤井さんのいうヒーローは間違いなく増えるはずです。そうなると、日本の音声広告市場は第2コーナー、第3コーナーに突入していくことになりますね。  

▼Voice Birdのサービス概要資料

音声広告の効果実証がこれから解決すべき大きな課題

藤井:ただ、そうなるには音声広告が本当に「売り」につながっていることを実証し、どのようにビジネスに役立っているかを、具体的に説明できるようにならなければなりません。その部分を今後は拡充していく必要があります。

高野:そうですね。音声広告は、消費者の理解を促す力や、消費者の態度変容を起こす力に優れ、売りに貢献する可能性は高いといえますが、あくまで可能性にとどまっています。効果を実証できるようにし、広告手法として確立することが、これからの大きな課題といえます。BtoCのコモディティ化している業界、つまりA社もB社も、C社も同じように見える業界で、差別化を図る上で音声広告は力を発揮すると思いますが、その効果が実証できれば、その他の業界やBtoBへと利用は広がるに違いありません。そして、その結果も僕らの中ではついに出てきました。

▼デジタル音声広告の特徴と強みはこちらから

藤井:通販業界も有力候補ですね。何しろ話す、説明する、納得させるといったことに関しては、これまで積み上げってきたリソースが豊富にあるので、音声広告との組み合わせで、新しいものを生み出る可能性があると思います。まさに、ブルーオーシャンが広がっているかもしれません。

高野:たしかに、通販業界には「耳に残っている資産」がいっぱいありそうですね。

音声広告の領域を広げる実現させたい取り組みとは

藤井:個人的に実現したいのは、新型コロナ感染症の問題でも、何でもいいので、音声広告を使って、困っている人や悩んでいる人を助けること。音声広告の働きで、世の中を1ミリでもよくしたいと考えています。

高野:私自身は、実現したいことが2つあって、ひとつは、当然のことながら「Voicebird」の価値を、より多くの人や企業に感じてもらい、利用してもらうことです。もう一つが企業の音をデザインすることなんです。冷蔵庫や電車のモーター音といった機械音が、社会にはあふれています。そういった無機質な音を、もっと魅力的なもの、個性的なものにデザインできないかと考えています。たとえばパソコンの起動音やスマホの着信音なども、なんてことのない音ですが、時には気分を高揚させてくれたり、仕事に向かうスイッチを入れてくれたりしますよね。音には感情を動かす力がありますが、どうも軽く見られがちです。そこを見直したいと思っています。

藤井:音のデザインによって、音声広告の領域が広がるかもしれませんね。

高野:Alexa(アレクサ)やGoogleアシスタントなどのAIアシスタントの声も、いかにもロボットという無機的な声ですね。それが好きなミュージシャンや声優の声で返事されたら、どうでしょうか。そんなことも考えています。たかが音ですが、されど音。取り組むべきことは少なくありませんね。

藤井:今考えているのは、音のアセットの再編集です。音には、使われずに資産として眠っているものがあるはずで、それらを掘り起こして再活用することで、音声広告の可能性も広がるに違いありません。もう一つ取り組みたいのは、音声広告の裾野を広げること。例えば、新聞には突き出し広告がありますね。その音声広告版があれば、どのようなものになるだろうとか、袋とじ音声広告があればどうだろうとか、そんなことを考えています。

高野:袋とじ音声広告はおもしろそうですね。音声広告は可能性がまだまだあり、音声広告市場は成長中です。その中で、Spotifyとしては、音声広告をやってみよう、あるいは興味があるという企業に対して、どのようなメッセージを届けますか。

藤井:企業としては、広告効果を担保し、ブランドセーフティに対応し、ビューアビリティを守ります、といったことになると思います。音声広告、あるいは音声メディアに関していえば、疑問、心配、懸念など、何でも引き受け、すべて解決しますということになるでしょうか。また、マーケティングに音声効果を加えることによって、加えない場合に比べて、高い効果を確保します。費用対効果は必ず満足させますよ。

高野:ボクたちはエージェンシーでもあるので、音声広告も含めたデジタルクロスメディア戦略について、目標の整理・設定、戦略策定など、一から皆さんの相談にのりますし、一緒に作業を進めます。

藤井:音声広告は新しいフォーマットですから、当然のことながら新しい手法が必要です。高野さんたちには、ファーストムーバーとして、時には横紙破りといわれるような斬新な方法で、音声広告の価値を周囲の企業や人に広めてほしいと思います。






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