見出し画像

人事部は見ていない。

人事部が評価を決めている。気をつけろ、常に見られているぞ。

どの会社にもいる?(自称)人事情報通

こんにちは、正直人事です。

評価について、皆さんもこう思ったことはありませんか?
「現場を見ていない人事部はわかっていない。」「人事部はもっと現場に入って、評価の精度を上げるべきだ。」

まことしやかに語られがちな「人事部が評価を決めている。」という話は、間違いではありませんが、正確ではありません。

”誰が自分の評価を実質的に決めているのか?”
を正確に認識することは、私たちのキャリア形成上、とても重要です。

今回は、ビジネスパーソンなら避けては通れない「評価」について、
誰が決めているのか?という側面から書いてみたいと思います。



1.評価における人事部の役割

「職務権限」というワードを耳にされたコトはありますか?その会社において重要な事項を誰が決めるのか、を定めたルールです。会社によって呼び名は多少異なるかもしれませんね。

私の所属する会社では評価の職務権限は、人事部が持っています。
しかしこれは、事務局として「公平性の担保」や組織間をまたぐ「調整」を行うための権限であって、正直なところ、一人ひとりの評価の妥当性まですべてチェックしているわけではありません。

つまり、皆さんの評価を直接人事部が決めているわけでは無いのです。現場から提出された一次案を基本路線としつつ、全体のバランスを調整する役割を担っているのが人事部です。

なお、ここで言う調整とは、人事制度運用上のバランス(評価の異常な偏りがないか)や、例外的な運用検討(特段の業績を挙げた個人を人事制度の枠組みを超えて処遇する)などのことを指します。

2.では、評価は誰が決めているのか?

言わずもがな「直属の組織長(部長や局長レベルの役職者)」です。

大きな組織では、部長代理のようなポジションの方が、タレントマネジメント担当という怪しい肩書をセットされている場合もあるかと思いますが、彼らはあくまでもサポート役です。

あくまで業務ライン(例:課長→部長)を通じて皆さんの評価が集約され、組織長(部長や局長)が所属員の評価を調整し、決定します。個別社員の評価に対する人事部の関与度は「ほぼ0%」、と考えて頂いて問題ありません。

なお、評価における実質的な決定権者のレイヤーは、所属員200~300名クラスの組織長(※)と考えて頂ければ、一般論としても大きく外さないはずです。

この一階層上にはさらに担当役員がいますが、どちらかというと彼らの役割は人事部に近く、自身の管掌する複数の組織をまたぐ調整がメインです。

(※:ご参考)
一般的にも私の実務感覚としても、50名を超えると人材マネジメントの難度がハネ上がり、300名を超えたあたりから一人の組織長が全員を認識することが困難になります。よって、皆さんの会社でも、それくらいの組織サイズ(20~30名程度で課レベル、200名程度で部レベル)でデザインされていることが多いかと思います。

3.組織評価→個人評価

余談ですが、まったく同じ個人業績をあげたAさん、Bさんであっても、彼らの評価(昇給や賞与の金額)が違う場合があります。これは、それぞれが所属している組織に対する評価によって、大元の原資(予算)配分に違いが出るためです。
この「組織評価」は、各組織のミッションの達成度やその他定性情報に基づいて、社長が決定することが一般的かと思います。

よって良い評価を獲得するためには、個人業績だけでなく、育成やサポート、業務改善などを通じた組織パフォーマンスへの貢献も、実は重要です。
(そして、これは昇格、いわゆる出世に効くのですが、このあたりの話題はまた別の機会に書きたいと思います)

この組織評価をどう勝ち取ってくるかが、組織長の社内政治力も含めた”ウデ”の見せ所ですね。
なお、組織評価や原資(予算)配分を調整する役割も、事務局である人事部が担っています。会社によっては経営企画局が担っている場合もあります。

「人事部」は感情と理性のバランスが大事

4.人事部は「全体」を見ている。

ここまで書いたように、評価における人事部の原則的な役割は「事務局として全体を調整すること」です。最終的には人事部が評価をまとめ上げて決定するので、確かにその権限は強大ですね。

そのため、評価において人事部にまず求められる性質は”公平性”や”客観性”です。
人事部が現場に入り込みすぎてしまうと、人によってコミュニケーションの濃淡が起こるので、どうしても公平性や客観性に歪みが生じます。少なくとも、社員からは、癒着しているように見られてしまいます。
「あの人は人事部と仲が良いから、評価が良いのだ。」「人事部から”えこひいき”されている。」
このように言われてしまっては、健全な評価運用ができなくなってしまいます。

個人を評価する権限は現場に移譲し、ある程度現場から切り離された遠い存在である人事部が全体を統括する。大きな組織の場合は、「現場の組織長」と「人事部」この2つのバランスによって、評価をなるべく健全に運用する仕組みになっているのです。

「人事部は現場から遠い」「もっと現場を見るべきだ」
と一部の社員から批判されることは、評価制度への誤解や、上長が評価をフィードバックする際に人事部を悪者にしてコミュニケーションしている、といったことが影響しています。

評価制度の理解促進やフィードバックの精度向上は、人事部として常に取り組んでいることですが、不満の矛先として人事部が一定程度機能していることも否定しません。

「嫌われ者」のように認識されることは、個人の感情としてはちょっと苦しいですが、人事部の在り方としてはある意味正しいのです。

5.まとめ

・評価を決めているのは直属の組織長(部長や局長)。
・人事部は全体の調整役。個人はほぼ見ていない。
・なので、しっかり自分の上司と向き合うことが重要

正直人事

6.今後のトピックス

今回、初めてnoteを書いてみたのですが、人事について書きたいことが沢山出てきました。結構自分の仕事が好きなのかもしれません(笑)

  • 人事部は「聞いている。」

  • もっと高く評価されるためには?

  • どうしたら出世できる?

  • 配属ガチャ、について

  • 異動/配置のメカニズム

  • 「JOB型雇用」の誤解

  • 人事部の経営戦略上の役割

  • 人事部員ってエリートコースなの?

  • 人事部が持つ最強の権力とは

などなど。
だいたい1週に1本のペースでチャレンジしたいと思っています。

応援していただけると嬉しいです!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?