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投資の目的は決めても目標額は決めない方が良いと思う

この話は長期での投資を前提に伝える話だ。もし君が短期間にリスクの高い取引でサクっとスマートに儲けたければ関係ないハナシであることをあらかじめ断っておく。

投資をする目的(動機と言ってもよい)は人それぞれだ。老後資金を貯めたい人もいるしFIREのために頑張る人もいるだろう。

また、小遣いが少なく配当金を足しにしたいとか、あるいは壮大な目的があるかもしれない。

そういった目的があることは良いことだと思うし、目的達成のための動機が強いほど行動に繋がるので実現可能性は高くなるはずだ。

そして目標が決まると目標額や到達時期をシミュレーションしたりして具体的な計画に落とし込む人が少なくない。

これはサラリーマンも自営業でも仕事をする場合の基本だ。「デキル」人ほどそうやって進めていく。

人によってはWBSや課題管理表、進捗管理表も作成してしまうかもしれない(君も働くようになればわかると思う)

例えばFIREをするという目的があったとすると、目標を20年後1億円として年利何パーセントだから投資額は月の給与からいくら、賞与からいくら・・・といった具合だ。

逆にこういったことがササッと出来ないとサラリーマンの世界などではやっていけない。

余談だがタチの悪いアクティブファンドなどではこうした人々の習性をよく分かっているので、インデックスファンドへの積み立て投資は「思考停止」とか「出世しない」などと煽ったりする。

しかし、目標額やその時期についてはあまりガチガチに決めない方が良いかもしれない。

理由は二つある

ひとつは目標額にとらわれすぎて投資を継続することをあきらめたり、焦って身の丈以上のリスクの高いアセットに投資してしまったりするからだ。

投資先が株式であれ、債券であれ、また不動産やREITであれ共通するのは価格が予測不可能で時に残酷なほど無慈悲な動きをすることだ。

目標額に到達する直前で市場の暴落が発生することだってある。

そしてそれは人生でも同じだ。自分や家族の病気や事故、失業などで泣く泣く投資資金に手をつけることだってあり得る。

その時に焦って遅れを取り戻そうと無理をしてしまう投資家は少なくない。ペースを倍速にするためレバレッジのかかった投資信託に手を出したり、異常に高配当な投資先に投資したりして帳尻を合わせようとするのだ。

そういった投資先は得られるリターン以上にリスクが高いことが多く、運まかせのギャンブル要素が高くなる。

目標があるがゆえに目標にとらわれて不正や事故を起こしてしまう企業と同じだ(最近では日野自動車やダイハツ工業の事例が記憶に新しい)。

焦りや不安や怖れは正確な判断力を奪い以下の記事で書いたようにダークサイトに落ちてしまう可能性が高い。

投資家はジェダイの騎士のように沈着冷静でなければならない。目の前に見える目標にとらわれすぎて感情を乱されないことが大切だ(意味が分からなければスターウォーズEpisodeⅤを観るとイイ)

二つ目は長期的な投資では目標額自体が陳腐化してしまう可能性があるからだ。

デフレの世界ではお金の価値は変わらないか、むしろ高まることが多い。そのため20年間デフレが続けば20年後の1億円は現在の価値と同じかそれ以上だし、FIRE後もしくは老後の生活費としても充分だ。

しかし、これが現在のようなインフレだとそうはいかない。毎年インフレが進行するとそれは複利で効いてくるからだ。

複利の計算では100万円を倍にするには3%で24年、6%では12年必要だが、もしインフレ率がこのくらいで進行するとそれぞれ12年後、24年後に100万円の価値は50万円になってしまう。

インフレ率6%だと12年後に1億円の資産を構築したとしても12年前の半分、5千万円の価値しかない。そこで無理にFIREしてそのままインフレが進めば生活が行き詰まることにナル。

目標金額と到達時期を決めること自体が悪いわけでないが、それに振り回されて自分の最適な投資スタイルを乱され自滅しないように気をつけてほしい。

※掲載する情報は投資勧誘を目的としたものではありません。株式などの金融商品や不動産の取引は損失を出す恐れがあります。

掲載する記事は個人の趣味として記載しているものであり、提供される情報は読者の方々にとって適切であるとは限りません。またその真実性、完全性、正確性、いかなる特定の目的への適時性について保証されるものではありません。投資においては全て自己判断、自己責任でお願いいたします。いかなる損失が出た場合でも責任を負うことはできません。

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