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164. その分岐にて③

私は
下る。
下る。
下る。

下る。
下る。
下る。

急がなきゃ。
彼が心配するかも。

下る。
下る。
下る。

トコトコ歩いていく。

「危ないから、足元気をつけてね」
彼の声が聞こえてきそう。

しっかりゆっくり確実に歩を進める。

下る。
下る。
下る。

テクテク歩いていく。

ゆっくり急げ


沢沿いを滑らないように。
足をくじかないように。

あ!
LINEがきた!
彼からだ。

圏外ではなく、
アンテナピクトはやっと1本立っていた。

「まっすぐコースにいるみたい。
分岐を見失った」

やっぱり!
そうだったか。

彼は分岐には戻らず、そのまままっすぐ進むことにしたらしい。登山口まで戻ったらLINEするとのこと。

その後すぐ「健闘を祈る」と書いてあって、力が湧いた。またその後すぐに「怪我をしないように」とも書いてあって、彼のLINEは終わった。

私はスマホをしまい、前を向いた。よし、これで安心。登山口で落ち合おう。なんとしても先に行かねば。


沢沿いは涼しい

続く。

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