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■12. 川を越えていく(7)

「面接と選考に時間がかかっているので、申し訳ないのですが延期させていただき、翌月曜日までに連絡します」
面接官だったその男がそう言うので、私は「はい」と言い、電話を切った。

嫌な週末だな。モヤモヤしながら、過ごさないといけない。できれば受かりたい、という思いと、できれば受かりたくない、という思いが拮抗している。私はひとり、はぁ~とため息をついた。

休憩時間に隣の席の水田から、結果について聞かれた。水田にも連絡が入り、同じく翌月曜日に延期されたようだった。水田はデリケートな性格のせいか、面接日前日から原因不明の体調不良をおこしていたものだから、面接結果が遅くなると聞き、顔が更に青白くなった。どんな気持ちでこの週末を過ごすんだろう。

私はだいたい土曜日は、午前中ゆっくり自宅で過ごす。溜まった洗濯物を洗い、干して、湯船にゆっくり浸かり、体を芯から温める。大好きなホットケーキを焼き、冷凍庫からストロベリーを3粒取り出し、白い大きなお皿に置いた。レモンのジャムとメイプルシロップをそっとかけて、フォークを使って小さくしたホットケーキを1口でガブリと頬張る。ハンドドリップした珈琲を淹れ、お気に入りの洋楽を流す。この時間が至福の時だ。

日曜日は、恋人との時間を何よりも優先している。それは、私にとって、最高に大切な時間だ。毎週ではないが誘われると、飼い主に尻尾を振り、飛びつく子犬のようになる。毎週逢いたいけど、彼の庭で遊んで待っていなさい、と言われるので、従順な子犬の私は、飼い主様とお散歩に連れて行ってもらう時ををいつも待っている。

さあて、結果は如何に。落ち着かない週末を私は過ごすことになったのだった。


(日記です、日記。小説っぽく書いただけ)
(フィクション入ってますけども)


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