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神の遣いは静かに暮らしたい第2話‐1

2-1 天使てんし

 なんだかふわふわする。でもそれはベッドとはちが感覚かんかくだった。まるでそれはくものようで……。
 まさか、とおもっておそるおそるけてみると、視界しかいにはよくれたそらのようなあおえた。自分じぶん寝転ねころんでいるはずのベッドをると、それはくもだった。一緒いっしょにベッドにいたはずのミルクも見当みあたらない。
 わたしんだのだろうか?だれかにころされた、ということはありえない。もし部屋へや侵入者しんにゅうしゃがいたとしたら、ミルクとココアが絶対ぜったいづくはずだ。
 ということはやけにリアルなゆめだろうか?わたしなぞにパジャマのネグリジェをたままである。なんで?ゆめならもっとマシなふくよ?
 まあかんがえてばっかでもらちがかないし、そのへんあるいてみることにした。がるときにくもがへこんだりしてバランスをくずさないか心配しんぱいだったけど、そのへんは配慮はいりょされてるらしい。
 まわりを見渡してみてわかったことは、どっちを向いてもず〜っと雲と空、それからボロボロになった神殿の柱のようなものが倒れていたり、傾いていたりするものがあった。雲は大きさが足首くらいまでの高さしかないものから、私の腰ぐらいの高さまであるものなどさまざまだった。ここはどこ?私は誰?マジでどこなん?
 しかしよく観察してみると、柱のようなものが規則正しく並んでいるように見えた。あたかもそこに道があったかのように。
 その道をたどっていくと、しばらくした頃にボロボロの神殿のようなものが見えてきた。屋根の上になにかの影が見える。なんだろう?
 不思議に思いつつも神殿に近づいてみると、影から声がした。
 「おはよう。君が『神の遣い』だと人間の世界で噂になっている子だね?」
 「そうですが何か?」
 「冷たいなぁ〜腐ってもこっちは神様だよ?」
 「すみませんでした。知らない人とは話すなと言われていたもので。お姿も影になっていてよく見えませんし。」
 「ごめんごめん、今降りるね。」
 そう言って降りてきた彼には天使のような羽がついていた。
 「自己紹介が遅れたね。僕の名前はアウリエル。さっきは神様だって言ったけど、ほんとはただの使いっぱしりの天使さ。」
 彼の姿は天使と言われれば納得するようなしないようなよくわからない見た目だった。簡単に言えば金髪のくせっ毛でチャラそうである。首にも手首にもアクセサリーをジャラジャラさせてるしピアスもしっかり開いている。天使がこんな見た目でいいのか、神様。
 「ねぇ今チャラいって思ったでしょ!?なんなら一瞬天使かどうかも怪しかったでしょ!?ちゃんと羽ついてるから!それで判断して!」
 ほんとに天使がこんなんでいいのか、神様。
 「もしかして心の中でも読んでます?そんなこと一言も言ってないですけど。」
 「……なぜバレた。」
 いや反応見てればわかるでしょ。それより考えてること丸聞こえなの気持ち悪いからやめてほしいんだが。
 「気持ち悪いって…そこまで言わなくても…それにこの世界の仕様なわけだし、不可抗力だし…」
 仕様…?人の心の中が読めるなんて、どうなっているんだろう、この世界は。
 「ここは神々の世界と人間の世界の間の世界なんだ。ここに君を呼んだのは君が『神の遣い』と呼ばれていることについて用があってね。」
 どうやら秒でメンタルは回復したらしい。そして案の定、その話のことだったか。
 「その話がどうかしたんですか?私個人としては地味に迷惑なのでなにかしらの形で否定していただけると嬉しいのですが。」
 「それがそうもいかなくてね。君が『神の遣い』であることは本当なんだ。君は人間の世界にフレイ様のお告げを伝えてもらうために神々が送り込んだ使者なんだよ。」
 マジか。終わったな、私の平穏な人生。


 話末あとがき
 『神の遣いは静かに暮らしたい』2話‐1です!本当は分けずに書きたかったですが、前回との文字数となるべく差をつけたくなかったので、いい感じのところで分けました。
 前回の話末あとがきで予告したお友達…でませんでしたね…次回こそはきっと!必ず!たぶん!ご登場いたしますと思われますので、どうか気長にお待ちいただけると嬉しいです!
 
 おまけ

小話のゴシップ
 フレイ神とは、主人公のレアの国で古くから信仰されている神様のことです。どうやらイケメンだという噂も…。
 それに、アウリエルはああ見えて結構優秀な天使らしいですよ。

唯ノ砂糖猫の脳内より出典

 それでは最後に、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。また次の機会にお会いしましょう!


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