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2023年私的年間ベストアルバム
1位 Sigur Rós『ÁTTA』
人生は無常だ。きっと見つからないとわかっていながら、この酷い世界で生きていく理由を探している。前作『Kveikur』から実に10年ぶり、キャータン・スヴェインソン(Key)が復帰してから初のアルバムである。場所はアビー・ロード・スタジオ、ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラを招いての素晴らしいレコーディングである。多くの曲がドラムレスに近い構成になってお
mekakushe『あこがれ』
“失くしたいから 愛したいから 人は旅にでるの”
(ジオラマ)
“転びそうになったのは宇宙に向かって背伸びをしたから”
(COSMO)
“あなたがドライヤーをしてくれる間に 戦争が起きた”
(スイミー)
mekakusheは素晴らしい音楽家であると同時に、魅力的な詩人でもある。彼女の言葉は物悲しいが純粋で、夜空を流れる星のように煌めき、それでいてドキリとさせられる鋭さがある。透明感のある声質
2022年私的年間ベストアルバム
1位 寺尾紗穂『余白のメロディ』
寺尾紗穂が耳を傾けるのは小さな声、忘れられていく声、軽んじられる声。つまりこの社会の列からはみ出してしまった者たちの声である。彼女が福岡でライブを行った際に、共演者やお客さんから「今日のライヴには河童が来ている」と言われたことで生まれたという「歌の生まれる場所」。私は幽霊も妖怪も信じない人間であるが、しかし彼女のライブでこのエピソードを聞いた時には微笑ましい気持
ギリシャラブ『魔・魔・魔・魔・魔』
闇の儀式の詠唱かと思った。<魔魔魔魔魔〜>という男女混声コーラスから始まるこの音楽は、素晴らしいことに、そしてあるいは不気味なことに、これまで以上に“ダンス”の要素が際立っている。もちろん、歌われる歌詞はこれまで通り軽薄なまま。どうせ<ぼくらはただの物>なんだし、どの道<快楽だけが人生>なのだから、この空虚な一生を踊り明かそうじゃないか。心なんか悪魔に売っちゃってさ。というサジェッションが聴こえて
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