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単体

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単体もののまとめ 小説、感想文など
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#青ブラ文学部

小さなオルゴール

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私は人型のオルゴール
背中のゼンマイを巻かれたら切れ目に沿って口がパクパクして歌うの
歌詞はないんだけどね
しかも口じゃなくて私のスカートの下に隠れてるスピーカーから音が鳴るの
可笑しな仕掛け
私は世界に一つしかないんだって
私を作ったお父さんが言ってた
私はいつもはお父さんの他の作品と共にガラス張りのショーケースの中で過ごすの
快適よ
お父さん以外人間

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祈りの雨

“祈り”はWikipedia参照
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祈り・・・世界の安寧や他者への想いを願い込めること。
“利他”の精神。

神への礼拝。
古い、古い、思考病。
奇数の年には女の指を偶数の年には男の指を、毎年10から20の若い指を一本ずつ、村を見下ろせる山にある寺の祠に奉る。
加えて十年に一度、その年に16になる子供を一人祠に奉る。
私は44人目の贄。
私と決まった時、

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朝焼け

昨日は珍しく日の出十分前くらいに起きたので散歩に行った
住んでるとこからすぐ山の道路に入れるとこがあって
大通りほどではないけど一応ちゃんとした道路(車が一つしか通れないのって一車線?)を早歩きで十分弱歩いて畑か放っとかれてるのかわからないとこの脇道に入って朝焼けを見た
朝焼けは中学の時の風景画用に写真撮るためにお寺行ってみたの以外初めてだった
普段は夜中に目が覚めて、起きたらもう明るい
その時の

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雑記

僕と零桜の体験談をちらっと添えて
※一応フィクションです
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日記
久しぶりに見てみようかな
乱雑で、粗雑で、雑で雑でくだらない日記
「ファンなんだけどそれより一歩引いてるというか一途ではないし、他にも推しはたくさんいるし、たった一人に救われてるわけじゃないけど、それでも、救いに変わりない」
推しがいた。
今でも救われている推し。
「同じ人を推しててさ、歳は

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鳥だったら

文ストのゴーゴリが好きです。推しです。
彼に引っ張られています。
どうしても頭から離すことができませんでした
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鳥だったら
白い雲に紛れて青い空に溶け込める?
それは夢の世界のように
本当の自由を手にできる?
でも所詮“生”に囚われる
地上、言葉、知能から抜け出せたら、
新しい檻がそこにある
全ての檻は近づくまで透明で、
だから抜け出すまで気づけない
でも

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花薬

たった一度きりの眠り薬
白い花のカプセルが胃で溶けて
少しずつ少しずつ
ゆっくり時間をかけて
効果を現す
十三時間も経てば薬は血に溶け込み、
その後痛みなく血管を破り出る
そうして骨に絡み筋肉を解し皮膚を破る
鮮やかな出血と、
それに濡れて染まった花々に体は埋もれ、
もう十五時間も経てば咲き誇った花は萎れ、
掴むこともできない塵に変わる
わずか二十八時間の命の時間
茎や根まで花弁の、
花弁しかない

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世界の船

暗い港に電気を消して休んでる船が何隻か
あそこを出る前十二時頃だったから、
今は一時前後くらいだろう
船着場にただ突っ立って風と共に波を待つ
私の他に数人やってきて、
一緒に黒い波を待つ
海からふっと船が現れる
どこかの名作映画で見たような光景で、
それよりは小さな船だけど明るい
半透明の数人が降りようとしているのが見える
やがて数分かけてゆっくり近づいた船から、
半透明のそれが降りてきて足を得る

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世界と人の橋

僕には橋が見える。
どうやらこれは僕だけが見えるらしい。
細い橋は人々の繋がり。
赤い糸みたいな感じ。
大切な関係であればあるほど橋は綺麗で、劣悪な関係であれば汚かったり崩壊しかけたりしている。
特に関わりのない人とは橋が繋がっていない。
細い橋はそんな感じ。
とてもとても人は渡れやしない。
僕には大きな橋も見える。
人間の大人が手を広げて五人は並べそうな太さの道の橋。
それは、別の世界への橋。

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