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【読書記録#4】「売る」から、「売れる」へ。 水野学のブランディングデザイン講義-水野学

概要

くまもんのキャラクターデザインや中川政七商店のブランディングに携わった水野学氏が慶應義塾大学にて行ったブランディングデザイン講義を編集、再構成したもの。
デザイン専攻をしていない学生を対象とした講義であるため、デザイン視点や考え方を自身の携わったプロジェクトの経験も交えわかりやすく解説している。

感想

ブランドとは、その商品や企業の「らしさ」のことです。
商品や企業が本来もっている思いや志を含めた特有の魅力で、それは現実にモノとして存在するわけではなく、イメージとして消費者の頭のなかにあります。

p.96

そのブランドの「らしさ」を見つける手法としてグッドデザインカンパニーで実践しているのが次の方法だそうです。

いろいろ調べたうえで、「らしさ」を探るときは時間を決めてやる、ということ。(中略)グッドデザインカンパニーでは、だいたい30分で30個を目安に考えています。

p.150

この「らしさ」を探るなかで大切なのは大衆が聞いてわかるものを見つけること、とありました。

人の意識の比較的浅いところにあって、なんとなくは知っているがまだ、フォーカスされていないようなものを見つける。
わかりやすい「らしさ」を見つけた上で、アウトプットの完成度の高める工程に時間をかける。

あらゆるものの技術が高度に発展し「売れる」ために差別化のし難い現代において、重要なのは気を衒った発想ではなくそのブランドの「らしさ」を追求することで差別化をはかっていく。

企業のブランディングは、じつは社員のモチベーションを上げる効果にもつながります。かっこいいブランドで働いているほうが、誇らしい気持ちになれますからね。

p.122

第3講にて、ブランディングは社員のモチベーションを上げる効果にもつながると述べられていた。

ここまでブランディングというものを売り上げや知名度向上など、対お客様という目線で考えながら読んでいたので目からウロコでした。

たしかに、自分が転職活動のなかで企業選びをする際を思い返すと採用サイトやHPがいい感じにイケてる企業は志望度も高く就職活動にあたっていたように思います。

服だってインテリアだってダサいものよりセンスのいいものの方がいい。
働く企業がイコールその人の実力ではないですが、でも本書の例で言う中川政七商店に勤めていると聞くと、なんだか普段の暮らしからセンス良さそうと思ってしまうかもしれないです。

ブランディングデザインという言葉を知って手に取ってみましたが、自分では知らず知らずのうちに内面化していた価値観に改めて気づかされ、ブランディングのもつ効果の大きさを感じました。

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