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【詩】やませ

ここは 夏でも 寒いのですね
ああ それはきっと やませだよ
ぼくらは 夏の盛る時期でも
厳しさを忘れてはいけない
孤独を忘れてはいけない
それを 心の堆肥にして
だから ぼくは 冷たいのだろうね

あなたは 麦わら帽子を 手にかけて
薄明かるい木陰をつくる
肌から流れる水滴は
やませによって 消えている
ごめんなさい なんて いわないで
この地には
あたたかい なんていう言葉は
さいしょっから ないのだから

やませが ぼくらを 吹き荒れる
ここは 夏でも 寒いのだ
だから ぼくは 冷たいのだ

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