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『ただいま神様当番』&『鎌倉うずまき案内所』by 青山美智子

今まで青山美智子さんの本は7冊読んだが、そのうち5冊(1冊目から4冊目と6冊目)は感想を書いてきた。


今回はまだ書いていなかった2冊を。

ただいま神様当番
青山美智子さんの本、5冊目。

木曜日にはココアを」や「お探し物は図書館まで」のパターンをイメージして、舞台がカフェや図書館ではなくて、神社にでもなるのかな、なんて想像したらだいぶ違った。
ちょっと漫画チックなキャラも登場して、ファンタジーぽい部分も。
とあるバス停の、いつも同じ時間に出会う年齢も性別も違う男女5人、それぞれが主人公となる短編が5編。互いに深くはかかわらないが、ちょっとずつ交錯する。
その5人とは、OL、小学生の女の子、男子高校生、外国人の大学非常勤講師、中年の零細企業社長。
登場人物がバラエティに富むだけでなく、この順番で登場するのが絶妙だ。
皆、完璧な人物というわけではなく、いろいろ困難にぶつかりながら、自部の進む道を見つけていく心温まる話。話の展開にしても、根底にあるテーマとしても、やはり青山さんの小説、という感じ。

著者ご本人の記事。
小説を読んでから記事を読むことにしてよかった!
順序を逆にしてしまうと、どちらも楽しさが半減すると思うのでご注意を。


鎌倉うずまき案内所』 
青山美智子さんの本、7冊目。


古ぼけた時計屋の地下にある「鎌倉うずまき案内所」。
螺旋階段を下りた先には、双子のおじいさんとなぜかアンモナイトが待っていて・・「はぐれましたか?」
会社を辞めたい20代男子。ユーチューバーを目指す息子を改心させたい母親。結婚に悩む女性司書。クラスで孤立したくない中学生。いつしか40歳を過ぎてしまった売れない劇団の脚本家。ひっそりと暮らす古書店の店主。
平成時代を6年ごとにさかのぼりながら、6人の悩める人々が「気づくこと」でやさしく強くなっていくー。
うずまきが巻き起こす、ほんの少しの奇跡の物語。

―内扉の解説より

難しくはないけど、今までの本に比べると、一話の分量がやや多めで、時代をさかのぼっていく分、すぐに同じ人が登場するわけではなく、読むのにやや時間がかかったかな。
主人公の6人以外に、ほとんどの話にずっとちょっとずつ登場する、SF小説家の黒祖ロイドと、女優の紅珊瑚、ほかにも何人かダブっている人がいるかな?と思いつつ読み終えて、返す前にまたちょっとずつメモと思って読み返したら、なんとたくさんの人物が何度も登場することか!
青山さんのほかの本と同じパターンといえばそうなのだけど、ちょっとファンタジーっぽいつくりに気を取られて気が付かなかった!
2度目を読み終えてから、また最初の話を読み返したら、また更に発見!

初めから気を付けてしっかり登場人物を把握していくのもよし、ザクっと呼んでまた読み返すのもよし。
ストーリー以外にも、時代に沿った懐かしい話題なども出てきて、通過してきた身としては、そうそう!と言いたくなる。

著者ご本人の記事。



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