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#短編小説 晩景の花火(あらすじ)

あらすじ
 
 令和五年(2023年)の晩秋、東郷ひろしは宮崎県京町温泉宿に投宿していた。
 その旅館の露天風呂で、偶然にも過去にどこかで関わった男に遭遇するが、思い出せずにいたのだった。

 そして、本小説は、主人公の東郷裕が今まで辿ってきた個我の歴史を遡り、長岡と東京での、彼の生きざまが綴られる。

 一転、この物語は、また令和五年の宮崎の京町温泉宿の場面に戻る。
 思い出せなかった男は、ふとしたことがきっかけで、新宿歌舞伎町にあったスナックカサブランカのマスター橋田を殺した男だと思い出したのだった。
 裕はその宿でその男を問い詰め、刑務所で罪を償った男の改悛の情をみた裕は、四十年間沈殿していた記憶が消えていく感覚を覚え、それ以上詰め寄ることなく東京に戻る。

 東京に戻った裕は、お茶の水の小さな探偵事務所に、長岡の夜間
高校卒業後、離れ離れになり、音信不通であった二人の妹の居場所を依頼し、ようやく再会できたのだった。血のつながった兄妹の情の深さをしみじみとしたタッチで表現する。

 原宿から歌舞伎町に車で向かったある日、凛とした富士山が見え、晩景の歌舞伎町のネオンの光が、小さい頃見た長岡の明滅の花火と重なった場面でこの物語は終わる。
 

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