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不幸比べ

カウンセリングをためらう方にその理由を訊くと「自分よりも深い悩みを抱えている人がいるから、そんな人と自分の悩みを比べたら自分のなやみなんて…」と話される方が少なからずいます。
同様に心療内科や精神科を受診するのに二の足を踏んでしまっている方も多いんじゃないかな、と思います。

一見するとこの理由は、他の誰かを思いやる優しさにも見えます。
確かにそんな理由もあるのでしょうが、実は他にもこんな想いを持ってしまう理由があります。

他人の悩みと自分の悩みを比べて、まだ自分の悩みの方が軽いと思いたい、だからまだ自分は大丈夫だ、と思いたい。

これは今の自分の状況を正当化して、心療内科やカウンセリングなど必要ない、と思いたいココロ(潜在意識)の動きです。
またそこには「あの人に比べたら私の方がまだマシ」と思い込むことで、無理矢理自分を奮い立たせようとしていることもあると考えられます。

これらココロの動きは、今の自分を変えようとする自分自身に対して、そんなことをする必要なんてない、と潜在意識が作用していることからその矛盾が生じます。

もしこのようなことを想っている方がいたとしたら、それは自分で「自分」を苦しめているだけだと、気付いてください。

不幸は他人と比べるものではありません。
その不幸や悩みはその人それぞれにとって重く、苦しいモノです。
他人のそれを比べて「自分はマシ」と考えようとすることは、今の苦しくつらい自分を「そのままで良い」と思い込もうとしているだけです。

そしてこの「比べるクセ」はその人が子供の頃に、他の誰かと比べられてきた結果によるものである可能性もあります。

お兄ちゃん(お姉ちゃん)はあんなに優秀なのにあんたは…
お隣の○○ちゃんはあんなに出来るのに、あなたは…

こんな風にいつも誰かと比べられていたとしたら、それはそのまま自分の中でクセとなり、いつも誰かと自分を比べる「自分」になってしまいます。

自分と他の誰かを比べることに、全く意味も価値もありません。
生まれた家も違えば育った環境も違えば、受けてきた教育やしつけも違う。
これまで生きてきているベースが違う、それが「他の人」です。

双子や三つ子は一定の年齢まで同じ環境の元で育ちます。
見た目がどれだけ似ていたとしても、それぞれに違う「個性」となることは、皆さんもご存じだと思います。

同じ家に育ったとしても個性が変わるんですから、全く違う環境で育った「他人」と自分を比べることに意味がないことは、これでお分かりいただけると思います。

もしどうしても誰かと比べたいのであるなら、その時は「昨日の自分」と「今日の自分」を比べるようにしてください。

昨日は出来なかったことが、今日は出来るようになったとか、昨日まで出来ていたことが今日は出来なかったとか、自分で「自分」を比べるようにしてください。

そして成長出来ている自分、まだ学びが必要な自分…という感じで、自分の成果と課題を常に「自分」で正しく評価出来るようになってください。

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