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BAEに共感

以前にもこの「パラドックスライブ」をネタに少し書きました。
昨年末で終了したこのアニメ、改めて正月休みに見直しながら、この3人の生い立ちと生き様に共感しました。

このアニメに出てくるいくつかのHIP-HOPグループ(幻影ラッパーたち)はそれぞれに事情を抱えていて、そのどれもが苦悩に満ち、それを糧としバネとしてラップに込めて唄う、というモノで単純に音楽がカッコ良いだけだったらここまでのめり込まなかったと思います。
そのきっかけは音楽のカッコ良さでしたが。

それらグループの中でも特にこの3人「BAE」のエピソードは、時折胸が詰まるような苦しさも感じまして。

朱雀野 アレン(真ん中の彼)は両親が高名な音楽家。
幼い頃からクラッシックの英才教育を受けており、数々のコンクールで優秀な結果を出し、特に父親から認められることに喜びを感じていた。

成長するにつれ「自分の音」について悩み、ある日HIP-HOPと出会ったことから「自分の音」に目覚め、HIP-HOPに傾倒していくが父親に全否定され、レコードを目の前で燃やされてしまい家を飛び出す…

燕 夏準(左の彼)は韓国では有名な財閥の御曹司…ではあるが実は、その跡取りとして子供が出来なかった財閥社長夫妻に養子として入ったが、その親に男の子が生まれた途端「お前はいらない子」としてその後の生活は保障されるも家を出されてしまう…

アン・フォークナー(右の彼女)は厳格な母親の元で育つが、この母親は彼女を「男の子」として、自分好みの着せ替え人形のように育てる。
(そのために彼女の一人称は「僕」)
自分の存在と周囲の違いに惑いながら大人になっていく…

そんな3人がそれぞれの事情を抱えながらグループとなり、共同生活をしながら曲作りをしている…という感じなのですが、それぞれが抱える事情はもう機能不全家庭で育ったアダルトチルドレンそのもの。
それでも彼らはそれぞれの事情と向き合い、時に苦しみながらもお互いに励まし合い、他のグループたちとのラップバトルの中で鍛えられ、常に次を見つめながら、忌まわしい過去を乗り越えていこうとする姿は少し爽やかに描き過ぎかな、と思う時もありましたが、その苦しみには共感出来るところも多々ありました。

このアニメを観ていて思い出したことがあり。
数十年前、私がアダルトチルドレンに関するホームページを運営していた時、寄せられたメールの中に「アダルトチルドレンなんて結局は甘えだし、お互いに傷を舐め合っているだけで気持ち悪い」といった内容のモノが時折送られて来たり、掲示板やチャットが荒らされたことがありました。
(今もそのホームページはアダルトチルドレンを知らせる意味で、必要最小限の残骸のみ残っています)

もちろんそんなメールばかりではなく、多くは共感してもらえたり、アダルトチルドレンを知る事で楽になれた、というモノも多かったです。
ですが反面、アダルトチルドレンを「言い訳」として利用していた人がいたのも事実です。

自分はアダルトチルドレンで苦しい想いをして来ているから、その苦しみを他人にも味合わせると言って他人を傷つけるような発言を繰り返したり、その境遇を憐れんでくれた相手に擦り寄って、相手の愛情を搾取するような人もいました。
サイコパスと言っては言い過ぎかも知れませんが、それに近いモノがあると感じられる人も居ました。
これらも事実としてありました。

このアニメでは親に対する憎しみは描かれていたものの、それ以外のところにそのような恨みをぶつけるというようなことは無く、お互いの苦しみを理解し、分かち合い、唄のチカラとして昇華させてくれたのは救いだったなぁ…と感じています。

もし興味がある方は是非、観て下さい。
それぞれのグループの楽曲もなかなかカッコ良いですよ。

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