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外資・リモート業務で学んだコミュニケーションのヒント

先日、日系メーカーから外資金融に転職して、自律を促され日本企業で学んだホウレンソウ文化とのコミュニケーション・ギャップに驚いた話を『ピッチ3分、ミーティング2分』で書きましたが、今回は補足の話をしたいと思います。


リモート環境でのプロジェクト・コミュニケーション-3つの基本ポイント

わたしの当時の業務はファシリティ・マネジメントで、日本オフィスの改装プロジェクトを、香港にいるプロジェクト担当のアメリカ人上司の統括の元、日本国内のプロジェクトオーナーとして実行: デリバーする役割を担っていました。上司はプロジェクトのKick offや、RFPの業者インタビューなど、プロジェクト期間のうち数回の来日のみ。あとはリモートで週一回のプロジェクトミーティングと必要に応じての不定期なメール・電話でコミュニケーションしていく必要がありました。
日系企業から転職したての私は、この組織体系やリモート環境、英語でのコミュニケーション方法に慣れておらず、香港の上司にお伺いを立てて電話やメールで判断を仰ぐことを続けていたところ、ある時イライラした様子の上司から電話で、「いちいち細かく説明は要らないし、同意を得ずとももっと自分で判断できるところは判断して動きなさい」とのお叱りを受けました。この「判断できるところは自分で判断して」が、新しく入社した、経験の浅い私にとってはとても難しかったです。連絡する回数を減らして不安を感じながら試行錯誤していたある日、プロジェクトで問題が発生しました。私は上司に相談することを躊躇し自分でなんとか判断・対処して事後報告をしましたが、今度は「どうしてもっと早く相談しなかったのか!」とコミュニケーションが足りなかったこと、わたしの対処では配慮が足りなかったことを電話口で叱責されました。(プロジェクトのストレスでいっぱいいっぱいだった私は、悔しさと情けなさで、この後一人、お手洗いで泣きました・・・。) ただこの経験から、リモートでのプロジェクトで報告すべき基本のポイントを学びました。

  • 他部門や事業: ビジネスのリスクにつながる可能性があること

  • コストインパクトが大きくなりそうなこと

  • スケジュールの遅れにつながりそうなこと

上記3点に関しては必ず早めに早めに報告し、自分で判断したとしても方向性やアクションアイテムを確認する。この3点以外はできるだけ自分で決断し進めていく。もし上司から返事が無くとも、報告しておくことは自分の判断の安心材料になりましたし、また後々自分の立場を守ることに繋がる場合もありました。

リモート環境でのコミュニケーション- 相手の期待値の事前確認

もちろん、マイクロマネジメントの方もいるでしょうし、日々の業務の違い、個々の立場や人柄、関係性によって、報告すべき内容やタイミングは異なります。基本のポイント以外にどんなことを上司に相談・確認するべきなのか。言葉や数字にして具体的に確認することはとても重要です。

  • 相手が自分に期待している役割や業務範囲

  • 期待しているコミュニケーションの方法や頻度など 

今でしたら良い関係を築くためにも色々なことを上司とお互いに意見交換し確認していきますが、外資系文化、英語でのやり取りに慣れていなかった当時のわたしは、上司に喰らいついて、何を判断して良くて何を打診・報告すべきなのかをきちんと先に確認する、という基本的なことが思い浮かばず、明確化できていなかったこと、上司との関係が築けていなかったことが失敗につながりました。

リモート環境での信頼構築 - お互いの状況や考え方の共有

今まで外資企業数社での転職を繰り返しましたが、上司やチームが変わることは日常茶飯事です。入社してみたら、面接してくれた直属の上司がすでに居なくなっていた、という経験も2回。頻繁な組織変更や、個々人の異動や転職、リストラなどが多く、今まで色々な上司に巡り合いました。
事業会社の管理部門の私の業務・立場や組織体制上、日本に上司が居たことは稀で、今までほぼ確実に上司は本社や海外の拠点をベースにしている外国人でリモート環境でのコミュニケーションが求められました。
遠く離れた辺境の国、日本のビジネスに全く興味のない上司だったこともあり、ミーティングの機会が極端に少ない、予定の時間になってもオンラインに入っても来ない、という上司のことも有りましたし、毎週欠かさず連絡をくれる上司のこともありました。そんな環境下で、どう信頼度を増やしていくのか。
わたしのお勧めは、ぜひお互いの人となりを知るための1オン1(ワンオンワン・ミーティング)を設けてもらうことです。お互いの人となりを知ることは円滑なコミュニケーションにとても重要です。たとえば家族構成や自身や家族の状況、一日の時間割(朝型なのか、夜型なのか、いつ休憩しているのか、いつどんな方法で日本から連絡すれば繋がりやすいのか)、日々どんな趣味があって、お休みはいつ頃取ってどんなことをしているのか、など。相手の考え方や生活のペースが分かれば、返事が無くとも状況が想像できます。同様に、自分のことや自分の上司に対する期待値も言葉にして伝えます。
また日々のミーティングの時間前に、3分でも5分でも良いので、早めにオンラインに入って待機することもお勧めです。上司やチームのメンバーが早めにオンラインに入ってきたら、雑談するいい機会です。特に相手の状況を聞いたりこちらの状況を話したり。人生は様々、ビジネスに専念できる環境ではない状況も多々あります。相手が遠くにいる環境で一緒に業務する場合、相手の感情や状況をできるだけ理解し配慮しあうことは業務効率やモチベーションの維持や向上にも大きく影響します。

リモート環境でのエレベータピッチ

またこういったミーティング前後の雑談の機会にエレベータピッチを用意しておくこともお勧めです。業務絡みの提案を用意しておき上司やチームの反応を見ることもできます。
わたしの場合、オンラインでのチームミーティング前にたまたま上司との雑談の機会ができたので、勇気を出して「海外でのプロジェクトに興味がある、日本はユニークすぎるため、海外・チームからグローバルなノウハウをもっと学びたい」という意思表示したことが、その後海外のプロジェクトに携われるきっかけとなったこともありました。

リモート環境でビジビリティ・アップ - グローバルスタンダードを理解する

特に日本は海外と比較して独特の文化とビジネス慣習が存在します。そのため日本の担当者がガラパゴス化したものに気づかず、井の中の蛙状態でいることが、海外の本社や拠点とのコミュニケーションを難しくします。業界のグローバルスタンダードを理解した上で日本との違いやローカルの要望を論理立てて説明できる能力が、業務の遂行や承認を得ることには不可欠ですし、自分のビジビリティを高め、キャリアアップに大きく貢献します。そのためには日頃から、海外の時事情報、業界団体のグローバルなニュース、Linkedinなどから海外のビジネス関連情報を得て、用語やトレンドに敏感になっておくことが大事です。そこでもし知らない言葉に出会ったり疑問に感じたことがあれば、ぜひ恥ずかしがらずに上司や同僚に質問してほしいと思います。質問することで自分の理解が異なること、日本での違いも説明する機会を得ますし、距離感を縮めていくチャンスとなるはずです。

リモート環境でのコミュニケーションはなかなか難しいとは思いますが、外資文化や英語でのコミュニケーションの良いところは上司と部下の距離が日本企業に比較し近いこと。ぜひ積極的に会話する機会を利用して、心の距離感を詰めて行ってほしいと思います。


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