ABA(応用行動分析)について④ABCモデルについて

今回は、行動問題を解決するためのABCモデルについてお話ししましょう。

このモデルは、行動問題の背景を深く理解し、それに基づいた対策を練ることを目的としています。

まず、行動問題を探るためには、ABCモデルを用います。
応用行動分析(ABA)では、このモデルに沿って進めます。
目標行動(改善したい行動)を明確にし、その根底にある原因を探ります。評価から仮説を立て、どのように改善するかを考えます。

このプロセスの初めには、行動を記録し、グラフにして変化を追いかけます。
改善後も、その行動の変化を記録し続けることが大切です。
行動の変化を視覚化し、基準を設け、改善が見込めるかを見極めます。
十分な改善が見られなければ、再度評価し、新たな仮説を立てて改善策を試みます。

具体的な行動問題の例を挙げて、どう対処するかを考えてみましょう。

例えば、友達を叩く、物を投げる、大声を出すなどの行動です。

行動分析では、行動の定義が大切です。
行動は目に見えるもので、受動的な「しない」という行動も考慮します。
例として、「叩かない」という行動も特定の状況下での選択として扱います。

行動分析では、個人の幸福感や生活の質、スキルの成長を優先します。
障害者の権利と尊重も大切な視点です。
障害者支援では、一般的な環境への適応だけでなく、個別の環境に応じた支援が欠かせません。

最終的に、特定のケースに基づいて行動を改善する方法を模索します。
行動問題の原因を掘り下げ、利用者の行動記録、日常活動のパターン、事例を参考にして効果的な方法を考えます。
その後、改善戦略を立てて実践に移します。

これで、行動問題へのアプローチの概要をお伝えしました。

アイさんはジェスチャーを使ってコミュニケーションを取ります。
言葉でははっきりとした意図を示しませんが、何かが不快な時は頭を振ったり、手を振ったりします。単純な指示やジェスチャーにも反応します。

アイさんの行動問題は2019年に始まりました。
特に引き金となる出来事はなかったのですが、1月下旬にインフルエンザが流行し、周囲の人々が罹患したため、彼女は異なる場所に移動しました。
ある時期の部屋変更とその後の行動問題の増加は、環境の変化が原因かもしれません。

対応として観察を行いましたが、変化はありませんでした。
スタッフの指示による行動修正も試みましたが、効果はありませんでした。
スタッフが不在の時に行動問題が起こることから、常時監視は適さない可能性があります。

空腹が原因かもしれないと考え、朝食前にスナックを提供しましたが、問題行動は変わりませんでした。
また、朝の退屈を解消するためにダクトテープを用意しましたが、これも効果はありませんでした。

また、車の駐車場所を変更しましたが、他の車に問題が広がる可能性があるため、中止されました。

行動問題の原因を探り、評価を行うことが大切です。
衝動的な反応や叱責は問題を悪化させることがあります。1ヶ月間の行動記録を取り、分析します。
これにより、問題行動が頻繁に起こる傾向が明らかになります。

消去の法則によれば、環境の変化がなければ、行動は徐々に弱まります。
しかし、消去を始めると、一時的に行動問題が激しくなることがあります(消去バースト)。
この時、反応を止めないことが重要です。

最終的に、ABCモデルにより、行動問題を引き起こす前兆と、その後の行動に影響を与える結果が明確になります。
これにより、問題行動の原因を正確に理解し、適切に対応することが可能になります。

アイさんの朝の行動を詳しく観察しました。
特に朝食前に行動問題が多いことがわかりました。
これは朝食前の空腹や退屈によるものかもしれません。
また、彼女は十分な睡眠を取っているようですが、完全に眠れない日もあり、睡眠と行動問題の関連を考慮することもできます。

1週間または1ヶ月の行動記録をグラフ化することは、行動問題が発生する時間帯や曜日を把握するのに役立ちます。
記録を取ることは、問題行動の傾向やパターンを理解し、対応策を考える手がかりを提供します。

ABCモデルでは、行動問題を引き起こす前兆と、その後の行動に影響を与える結果が明確になります。
問題行動は特定の前兆によって引き起こされ、結果によって強化または弱化されます。

例えば、スーパーマーケットで子供がキャンディーを欲しがる場合を考えます。
子供がキャンディーを求めて親が与えない場合(強化されない)、子供は要求を諦めます(消去)。
しかし、泣いたり叫んだりしてキャンディーを手に入れることができれば、その行動は強化されます。

最終的には、行動問題の原因を特定し、適切に対応することが重要です。
問題行動の背景を理解し、個別のニーズに応じた対応を考えることで、効果的な介入につながります。

あるケースについて話しましょう。子供の大きな声が常勤スタッフの話題となりました。
調査したところ、子供が叫ぶときにいくつかの共通点がありました。

まず、母親がいないときに子供は叫びます。
これは母親の不在に対する反応と考えられます。

次に、欲しいおもちゃで遊べないときも叫びます。
これは欲しいものが得られないという反応です。

また、他の子供たちが遊んでいるおもちゃを取ろうとすると、それを止めるために叫びます。
これらの状況は、子供の行動問題の引き金となっています。

それでは、結果(後続事象)はどうでしょうか?母親が戻ると、子供は叫ぶのをやめます。
これは母親の帰還を予期しての行動です。
友達が遊びたいと思っているおもちゃのために子供が叫ぶと、保育士が介入して子供に遊ばせます。

つまり、子供は叫ぶことで望む結果を得ています。
このように、子供の叫び行動は環境と結果的な出来事によって影響を受け、周囲の大人によって無意識に強化されています。

したがって、子供の行動問題を改善するためには、環境の変更と適切な対応が必要です。
ABCモデルを使用して問題行動の原因を特定し、それに応じた対策を講じることが効果的です。
例えば、子供に安心感を提供する環境を作り、コミュニケーションのサポートを提供することなどが重要です。

また、子供の行動を誤って強化しないように注意する必要があります。問題行動の原因を理解し、適切に介入することで改善につながります。


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