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2021年4月の記事一覧

4/29 『掟上今日子の鑑札票』を読んだ

面白かった。が、なかなか難しい。 掟上今日子の過去に迫り、その驚愕の秘密が明かされるも、しかし最終的には「人違いですよ」で収められてしまう……だがそれを否定できるものはいない。今日子さんには今日しかないから。逆に言えば、今日このときだけ今日子さんが今日子さんでいれば、それはもう今日子さんなのだ。今日子さんの昨日が、あるいは明日が今日子さんでないとしても、今日さえ今日子さんならば、それで困る人はいない。せいぜい常連でお世話になっている稀有な依頼人がちょっと疑心をもたげる程度で

4/24 『天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ〔上〕』を読んだ

面白かった。 面白いと評判のシリーズであるということはたびたび耳にしつつもなかなか手が出せず、そうするうちに完結してしまっていた。何かのタイミングでいずれはと思いつつ、結局特にどういうタイミングでもないタイミングで手を付け始めた。しかし第1巻時点で既に全10巻と銘打たれているのはすごいな。いろんなところに伏線が潜んでいるのではと思って読んでしまう。 遥か未来で、植民した惑星で、乗ってきた宇宙船がそのままプラントになっているというゴロっとした大野菜のようなSF世界観をいきな

4/18 『ぼくらのグリム・ファイル探険 上』を読んだ

面白かった。 ページ開いてすぐ、章のはじめにイラスト、それもマンガ形式のイラストが入っていてびっくりする。なんと作中にキーアイテムとして出てくるマンガの一部が、各章のはじめにイラストとして出てくるという形式をとっているのだった。昔に一度読んだことがあった筈なのに全く憶えてなかった。ただそのことに触れられるのはこの上巻の後半で、それまでは本文と関係なさそうなマンガが飛び飛びで掲載されてるだけなので、当時の自分はあまり理解できてなかったのかもしれない。しかし、急にこんなことをや

4/16 『ショウリーグ』を読んだ

面白かった。 すべてシナリオ通りに展開する野球の試合、それらを観る観衆の存在までもがシナリオに組み込まれているのかも、と匂わせながら物語が進んでいくので、その様子を読む俺さえもシナリオに組み込まれてるのでは、と考えて、常にこちらの想像を裏切ってくれないと物足りなくなってしまう部分はままあった。そうした展開の動きの楽しみはもう少し欲しかったところだが、一方で、いろんな人物がいろんな立場の視点からショウリーグという奇妙なシロモノを眺めることで、たとえばスポーツ観戦という興業のあ

4/9 『ザ・サード【完全版】 6』を読んだ

面白かった。 ファントムにカーライル、昼顔など、前の話に出てきた敵が再登場してくるが、いずれも前回登場時とは立場だったりコンディションだったり役回りだったりが異なっている。超科学の産物であろうと、いやそうであればこそ、この砂漠では不変ではいられない、諸行無常なりということなのか。前の話でフェードアウトするように退場してしまったカーライルが、今回もまたスィっと消えてしまった、それもなんか邪念のようなものに乗っ取られた上で更にそこから消息不明になっているので、二重にフェードアウ