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2019年11月の記事一覧

11/26 西塔鼎『いつかここにいた貴方のために/ずっとそこにいる貴方のために』を読んだ

電撃文庫で「四月に降る雪」をやるとはいい度胸だ、と、あらすじに出てくるフレーズを見た勢いだけで買ってみた作品。戦場の少年と兵器として用いられる少女というモチーフはまた別のシリーズになっちゃうが。 中を開いて見れば四月に降る雪とは、兵器として造られた少女が用いる秘蹟の能力の一環であり俺の知ってる四月に降る雪とは違うな、と序盤では思っていたが、最後まで読むと、しかしあながち全然別物とも言い切れない。少年・レンカは少女・四月を救うために必死に行動を起こすが、しかしそのどれ一つとして

11/18 九岡望『地獄に祈れ。天に堕ちろ。』を読んだ

面白かった。 九岡望という作家はたぶん俺の何かを好きだと思う気持ちが少しずつ溢れ出ていたものが集まって実体化して小説家の姿をとったもの、あるいは俺と似た趣味の人の以下同文が集まって以下同文したものだと思うので、たぶん読んでて好きだったところを挙げていくだけでそれなりの感想文になる。 まずは年号。「霊破(れいわ)十一年」といきなり出てきて、今後いろんな作品で令和をもじった年号が出てくるんだろうけど、こいつよりインパクトある年号はなかなか出ないだろうなと思った。その他にも「東凶屠

11/16 川上稔『境界線上のホライゾンⅩ〈中〉』を読んだ

面白かった。 未来談義、艦艦決戦、からの敗戦、そして哀しみ死、はては蘇生へと、かなり展開が激動して飽きなかった。安土を撃墜したというのにその多くから新型戦艦登場だなんて卑怯だーと思うも大和なんて名前を出されてはひとたまりもない。 気に入ったシーンとしては、十本槍と武蔵勢が過去と未来のことでヤンヤしているところにウニが突っ込んできてただこの現在を一生懸命するところ、そして正純と点蔵がバチンと手を打ち合わせる扉絵。なんかレアだったので。

11/8 宗田理『自殺同盟』を読んだ

面白かった。 小学生の頃に『ぼくら』シリーズを読み始めたことが我が読書人生の最初の1マスであったと今は認識しているが、それだけに、宗田理という作家について己はある程度精通していると思っていた。べつに著作を全部コンプリートしてたり人となりを知悉しているわけでもないけども、どこか自分という存在と融合しているというか地続きであるという無意識があったように思う。 だからこの、『ぼくら』とは切り離された、いち作家としての宗田理の短編集を読んで、ある意味、他人行儀な目で見つめてみることで