曽野綾子『晩年の美学を求めて』より
「人はいいことだけをするのではない。
いいことだけをしようとしてもむりだ。
(いいことだと思ってしたことが、そうではないことも多くあるから)
時には悪いこともする、
と考えればあまり追い詰められた気分にならなくて済む。
人の優しさもいろいろな形を取る。
人間の残酷さも表現は様々だ。
そのからくりを死ぬ前に知って、
私は大人になって死にたい。
それゆえにこそ、
簡単に人を非難せず、
自分の考えだけが正しいとも思わず、
短い時間に答えを出そうとは思わず、
絶望もせず
落胆もせず、
地球がユートピアになる日があるなどとは決して信じず、
ただこの壮大な矛盾に満ちた人間の生涯を、
実におもしろかった、
と言って死にたいと思う。」
・・・
いいことをしようと思っても上手くできないこともある。
いいことだと思ってしたことで、責められるようなこともある。
悪いことと分かっていても、そうしなければならないこともある。
悪いことだと思ってしたことが
転じて良いことをしたようになることもある。
・・・
なかなか思うようにはいかないのが人生。
・・・
人の優しさ
人の残酷さ
も
同じように
様々であるという。
・・・
だからこそ
思考を単純化することなく
人を安易に責めることもなく
よく考えることなく答えを出してしまうこともなく
すべてを否定することもせず
すべてを肯定することもせず
複雑な人の感情に対して理解しようと努め
その結果
すべての事から学ぶことができると考え
人間として成長できることを喜びとする。
・・・
限られた人生の時間を
自分の成長に使うことで
自分自身を
肯定する。
肯定することで
生きてゆくことができる。
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