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2022年ライオンズ前半戦の戦いを振り返る(投手編)

ヘッダー画像はライオンズ公式HPより拝借しました


7月24日をもってプロ野球は前半戦が終了。コロナウイルスが形を変えながら拡大し続けて、各チームで10人以上の感染者が出た結果、試合を延期せざる負えなくなるなど、チーム運営に苦慮しながらもペナントレースを続けているといった状況です

ライオンズは93試合を終えて、48勝43敗2分けで2位


日本野球機構HPより


首位のホークスとは0.5ゲーム差の2位と好位置に付けています。昨シーズンの振り返りnoteでも書きましたが、2020年は3位になりながらもチームの総得失点差はマイナス64点。そして最下位となった2021年はマイナス68点と”福岡”ライオンズ以来となる二年連続総得失点差マイナス50点以上とリーグ優勝からわずか二年でチームは弱体化していました

※総得失点差と勝率はかなり強い相関関係があり、プラス5点で貯金1、マイナス5点で借金1と言われています

引用元:日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめblog
https://ranzankeikoku.blog.fc2.com/blog-entry-4549.html

それが今シーズンは得点308点/失点278点=得失点差プラス30点と100点近く改善できており、これは奇跡的と言っていいぐらい


昨年も書きましたが、今年も全選手を100文字前後で振り返ってみたいと思います


各選手に対する寸評


#11 今井達也


開幕直前に右内転筋を痛め、二軍で復帰に向けて調整した際に今度は左足首をひねり、一軍登板は7月までずれ込む羽目に。しかしその間、身体を鍛え復帰時には胸板が更に厚みを増し、ユニフォーム姿が窮屈に見えるほど。復帰後は3試合全てQSクリア、後半戦はフル回転が期待される


#12 渡邉勇太朗


開幕ローテ入りするも2試合ともふがいない投球で二軍落ち。二軍でも目立った成績は残せていなかったが、内海哲也兼任コーチに投球フォームのアドバイスを貰い、AS前の9連戦で先発に抜擢され初勝利を挙げる。地元期待の星として何とか頑張ってもらいたいところ


#13 髙橋光成


バテずに一年間投げ切る為、省エネな投球フォームで開幕を迎えたが、ボールまで”省エネ”してしまい軌道修正。負け越してはいるが、イニング数、QS数などチーム内ではトップとエース級の活躍。ただ相手がスーパーエース級だと中々勝てない。この差をどう埋めるか


#14 増田達至


捲土重来を期した今シーズンは見事に復活。ライオンズ歴代1位となるセーブ数を更新するなど、個人としても結果を残し、好調なブルペン陣をまとめたリーダー役としても、前半戦投手のMVP。7月13日にコロナウイルスに感染。一軍復帰は8月以降の予定


#15 宮川哲


昨シーズンは最適な投球フォームを探す旅に出て、迷路に迷い込んだ挙句、140キロそこそこしか投げられなくなったが、ようやく復活。150キロ近いストレートを武器にハマったら三振を奪えるが、コントロール難が改善できておらず、安定感に欠ける為、中々序列が上がらない

#16 隅田知一郎


デビュー戦では7回1被安打無失点で勝利投手となり、これからいくつ勝つのか?と期待に胸を膨らませていたが、そこから7連敗と苦しんでいる。しかし高い奪三振率を誇るなど投球内容にそれほど問題があるわけではなく、援護の少ないだけ。いたずらに考えすぎないで欲しい


#17 松本航


スッキリ勝てる試合と、頼りない試合が2~3試合周期で訪れるなど、試合を任せきれない”もどかしさ”が常に付きまとう。その為、ノーノーペースで投げた試合を除き、5試合でイニング途中に降板するなど、首脳陣も任せきれない様子。先発3番手から評価を挙げることができるか


#19 佐藤隼輔


中継ぎ起用も検討されたが、新外国人投手や今井達也が開幕に間に合わないこともあり、全て先発で9試合に登板。隅田と比べ、カウントが取れる変化球が少なく、長いイニングを投げ切れずにいる。また、左打者対策も考えていきたい。後半戦は二軍で先発の準備をするか、一軍で中継ぎ起用か


#20 浜屋将太


昨年オフに左足を手術したため、実践復帰は4月17日の練習試合。5月からは二軍の公式戦で投げ続け、5月25日には139球を投げ、9回完投勝利を記録もしたが、ストレートの球速が頭打ちしており、コントロールや変化球の質など一軍で勝負できる武器が欲しい


#21 十亀剣


開幕戦で悪癖と言ってもいい守備のミスを犯すなど、投球内容以上に印象が悪く、5月末に二軍落ち。二軍ではモチベーションの維持が難しいのか、1イニングで大量失点を喫するなど浮上の糸口が見えない。今年で3年契約が終了。このままでは厳しい立場になる可能性も


#23 公文克彦


実践復帰は4月17日の練習試合。そこから投げ始めたが、4月末から約二か月の離脱。6月末に復帰すると、7月8日に一軍登録。しかし今度はコロナウイルスに罹り、再び離脱と立て続けにコンディション不良が訪れる不幸に見舞われている。左の中継ぎが不足しているため、早期の復帰が求められる


#25 平井克典


開幕は中継ぎでスタート。5~6回と序列の低いところで投げていたが、松本航の離脱を受け、5月28日から先発転向。5回を2失点以内に抑える安定した投球を見せ、見事に穴を埋める。ただ以前と比べ三振が奪えなくなっており、今後に不安が残る。あと、自分にカッカしすぎないように


#26 佐々木健


昨シーズンは先発即危険球退場など公私に散々だったが、秋季キャンプ時に豊田投手コーチから「2シームorシュートは投げられないのか?」「オフの間に練習してこいよ」と言われ取り組み、中継ぎでは唯一の左投手として居場所を確保する。次の課題は1イニング任せられる投手になること


#27 内海哲也


兼任コーチとなった今シーズン、二軍での調整登板を経て、5月7日と5月21日に一軍登板。勝ちは付かなかったがローテーションの谷間を埋める。気になるのは6月17日に2回6失点を喫して以来、登板から遠ざかっていること。怪我なのか、コーチ業に重心を置きつつあるのか


#28 森脇亮介


怪我があり、4月下旬にようやく一軍へ。昇格当初は序列も低かったが、7月に入るとホールドが発生する場面での登板が増えている。好調の要因として、四球率が大きく減っていることが挙げられる
【11.2%→12.0%→4.3%】※2020年から


#34 佐野泰雄


一軍でも2試合に登板しているが基本的には二軍で穴埋め要員となっている。ゆったりとした投球フォームから140キロ中盤のストレートで打者を差し込ませるのが売りだったが、いまや140キロ前後に落ち込んでおり、目に見える変化が無いと、一軍で復活するのは難しい


#40 田村伊知郎


一軍の救援陣が充実しており、付け入るスキがなかったこともあって長い二軍生活を余儀なくされる。二軍では高い奪三振率&低い与四球率を記録しているが、昨シーズン147~148キロあった球速が143~144キロに激減しており、心配なところ


#41 井上広輝


今シーズン、二軍の公式戦はおろか、練習試合でも登板なし。仮に肘が悪いのであれば、トミー・ジョン手術や遊離軟骨(ネズミ)の除去を行い、球団から発表されるはずなので、何も発表が無いということは肩の痛みなのか。とにかく心配


#42 ボー・タカハシ


一軍で投げ始めたころは力みまくって、ストレートが抜けることが多く、コントロールもままならなかったが、登板を重ねるごとに力の抜き加減を覚えたのか、ロングリリーフ枠ではあるが安定感が出てきた。2~3年後が楽しみな掘り出し物になりつつある


#43 羽田慎之介


高校時代の怪我もあり慎重に育成した後、6月10日に二軍の公式戦デビュー。最速151キロのストレートを投じるなど、オーバーな表現にはなるが「衝撃のデビュー戦」を飾る。6月25日にコロナ陽性反応。またうなりを上げるストレートが見たい


#44 與座海人


良い意味で予想を大きく裏切る大活躍。ライオンズファンであってもここまでの活躍を予見した人はいないのでは。与四球率が減り、ストレートの平均球速が2年前から約4キロ増すなど、トミー・ジョン手術から約4年が経ち、靱帯が肘に馴染んできたのが大きい


#45 本田圭佑


昨シーズンまで頭打ちだったのが、代理とは言えオールスター出場まで果たすなど、與座同様、ビッグサプライズを見せる。二軍では154球を投げるなど常に100球以上投げ、怪我人が多い投手陣のしわ寄せと思われていたが、本人にとっては良い効果だった模様


#47 松岡洸希


二軍は開幕から怪我人が多くブルペンに3人ほどしかいない状況が続く中、ほぼ2試合に一度のペースで投げ続けるが、制球難から打ち込まれるケースも多く、投げさせるのは本人にとってプラスなのかと心配になるほど。6月以降は怪我なのか調整なのか登板が減っている


#48 武隈祥太


開幕から二軍スタートで3月27日の登板を最後に投げていない。ライオンズの公式TwitterやInstagramでは元気な姿を見せているが、長年にわたる中継ぎ稼業で肩やひじなど相当に疲労がたまっているのではないか。つかみどころのない飄々とした姿を見たい


#54 バーチ・スミス


デビュー戦でいきなり7回ノーヒットに抑えるが、次の試合では右わき腹を痛め緊急降板。約2か月後の復帰戦で6回1失点と結果を残すも、次の試合で右手指先の違和感で再び緊急降板と順調に事が進まない。ベルーナドームでは結果を残しているので、限定的に起用するのもアリでは


#57 黒田将矢


今期入団した高卒ピッチャー三人衆の中では最も登板機会を得ている
公式戦:6試合(22.1in)/練習試合:3試合(13in)
しかし力不足は明らかでプロの壁にぶつかっている。しかしこれは分かっていることなので、全て勉強だと思って頑張って欲しい


#59 大曲錬


2年目にして開幕一軍入りを果たすも、2試合目に大量失点を喫し、その後は投げる場所もないことから二軍落ち。パ・リーグの平均ファーストストライク率が49.7%に対し、34.6%しかなく、これでは抑えることはできない。更なるレベルアップを望みたい


#61 平良海馬


今シーズンも開幕から絶好調でイニング数を大きく上回る奪三振数を記録するなどセットアッパーとして大車輪の活躍。しかし6月まで36試合に登板した影響か、7月に入り打ち込まれることが多くなり、最後も3試合連続失点。プロ入り後、初めてのスランプをどう解決するか


#69 水上由伸


開幕前は決まっていなかった「7回」の座を勝ち取り、増田達至の離脱後は「8回」、平良海馬の不調により最後は「9回」を任されることに。ハートの強さが売りで、タイガースファンでいっぱいの甲子園球場でも「自分の応援に変えてやろうと思った」と言ってのけるほど、いまや頼もしい存在に


#75 ディートリック・エンス


ほとんどローテを外れることなく投げ続けてくれた貴重な新外国人左腕。ただ90球前後で交代となり、球数を多く放らせる日本のスタイルもあって、イニング数が”食えない”課題が残る。また古賀悠斗との相性が良く、与四球率が激減しており、良いパーソナルキャッチャーを見つけた模様


#111 斎藤大将


昨年5月20日にトミー・ジョン手術を受け、長きにわたるリハビリを経て、6月19日に復帰。計3試合に登板しているが、まだ内容を問う段階には達していない。ただストレートの平均球速は2018年以降では最も速い。もう一年育成で様子を見たいとフロントに思わせることができるか


#112 粟津凱士


昨年4月5日に鏡視下骨棘切除術及びトミー・ジョン手術を受け、6月26日に復帰。まだ2試合しか投げていないが、ストレートの平均球速が
2019年(一軍):136.7キロ→2022年(二軍):142.2キロ
とアップしているのは好材料


#113 伊藤翔


昨年10月18日にトミー・ジョン手術及び右肘後方クリーニング術を受け、今はリハビリの毎日。自身のTwitterやInstagramでの発信を見ると、地道な作業でストレスもたまっている様子だけど、とにかく焦らずに来シーズンの完全復帰を目指して頑張って欲しい


#114 上間永遠


昨年11月22日にトミー・ジョン手術を受け、現在リハビリ中。伊藤翔同様、実践復帰は来シーズン以降となる。同郷で同じくトミー・ジョン手術を受けた與座海人が今シーズン活躍しているのは刺激になっているはず。現在21歳、まだまだ時間はあるので焦らずに


#116 ジャシエル・ヘレラ


5月14日に育成契約を結び来日。コントロールが良く、大崩れしない投球内容で3試合目の登板からはほぼ7回以上を投げるなど、外国人投手としては珍しいほど安定感がある。課題はストレートの平均球速が140キロほどしかなく、怖さを感じないこと。今後、スピードは上がるのか?


#120 出井敏博


育成3年目となる今シーズン、西口二軍監督の方針もあるのか、130球を超える試合が3試合あるなど、多くの球数を投げているがインパクトのある結果は残せていない。6月以降は長いイニングを投げる機会も減っており、今シーズン中の支配下登録は難しそう。果たして4年目は?


#121 赤上優人


今シーズンも序盤はショートイニングでの登板が多く、三振より四球が多い不安定な投球を繰り返していたが、5月末から配置転換で長いイニングを任されるようになり、力みが消えたのか結果を残せるようになる。期限ギリギリでの支配下登録も予想されたが、来シーズン以降に持ち越しか

※7月30日追記:7月28日に支配下登録。おめでとう!


#124 豆田泰志


昨シーズンは練習試合では抑えるものの、公式戦では打たれるなど力の差を感じたが、今シーズンはストライクゾーンへの投球が【37.5→46.0】を大幅にアップしており、与四球率も激減した結果、公式戦でも抑えられるように。平均141キロほどのストレートをアップさせたいところ


#126 菅井信也


4月17日の練習試合に投げた後、4月29日の公式戦で初登板を果たす

一球速報などのデータサイトと連動が出来ておらず、データ上は球速が不明だが、まずますのデビュー。じっくり育てていきたい



まとめ


前半戦を終えてチーム防御率はまさかまさかの1位!それも12球団で!!

これに関しては様々な角度から分析がされており、DELTAのメールマガジンでも2回に渡り取り上げられていた

有料コンテンツなので、詳細は公表しないが、「〇〇というデータがあり、必然の結果です」と言いたいところだが、実のところは運に作用される部分が多く、恵まれすぎているというのが実情

例えば開幕から10試合で6HR放った選手がいて、このペースでシーズン80本近く打つかと言えばそんなことはなく、30~40本ほどに落ち着く「平均への回帰」であったり、これは人生訓に近い話だけど、ギャンブルであり日常生活でもラッキーな出来事が続けば、その後アンラッキーなことが続く「運のプラマイゼロ説」など、落ち着くところに落ち着くのが世の常です

つまり現在、出来過ぎているorツイているということは、今後悪くなる可能性が高く、それが一番怖い

先発は完投数ゼロが示すように長いイニングを消化できず、救援陣にしわ寄せがくる。平良海馬が7月に入り打たれているのも無関係ではないはず。その為にも髙橋光成と並び、球数が投げられる今井達也には頑張ってもらわないといけないし、髙橋光成も無理をさせない配慮があるとはいえ、120球以上投げた試合が1試合のみ【※チームとしてもその1試合のみ】では物足りない

この2人に平日と週末のカード頭を任せ、1試合120球で7回まで投げることをノルマに引っ張ってもらいたい。3番手以降は松本航とD.エンス、そして與座海人が控え、さらにコロナウイルス陽性反応から体調が戻れば、隅田知一郎と佐藤隼輔のルーキー左腕コンビ、先発の穴を埋めてくれた平井克典、怪我が続いているもののB.スミス、7月にようやくシーズン初勝利を挙げた渡邉勇太朗、この10人から先発を任せたいところ

前半戦、大活躍だった救援陣に関しても、増田達至の離脱に平良海馬の不調と7月に入り、足元がぐらつき始めているが、森脇亮介、本田圭佑、水上由伸の活躍により踏ん張っている。今後は先発陣からあふれた投手をブルペンに回すこともあるだろうから、ここまで来たらシーズン最後までラッキーが続くことを願いたい


野手編は後半戦が始まるまでに書き上げたいな~



では👋👋


参考資料








ライオンズを中心にあれこれ思った事を書いてます。