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埼玉西武ライオンズ2021年の振り返り

※ヘッダー画像は埼玉西武ライオンズ公式Twitterより拝借いたしました


あけましておめでとうございます🎍

本年もよろしくお願いいたします🐯


本当であれば2021年の振り返りは2021年のうちに書き上げたかったのですが、前回のnoteにも書いたように体調を悪くした末の緊急入院と年末にバタバタとしてしまい、準備が間に合わなかった故、年を越しての振り返りとなってしまいました

いまさらと言われそうですが、自分にケリをつける意味でも書いていこうと思います



2021年のライオンズは所沢に移転した初年度、1979年以来42年ぶりとなる最下位に転落

思えば前年の2020年にチームの得失点差がマイナス64点にも関わらず、Aクラスに入ったことでチーム強化に対する危機感が薄れてしまったのか、ほぼ現状維持のまま2021年を迎え、開幕直後から主力級の選手にけが人が続出、それでも6月まではギリギリ耐えていたのですが、7月以降は勝ち越すこともままならず、沈んでいきました

チームの得失点差は2020年をさらに下回るマイナス68点。二年続けてチームの得失点差がマイナス50点以上となるのは、福岡に籍を置いていた1976年から所沢に移転した1979年以来

1976年(太平洋クラブ):得失点差マイナス144点/チーム順位6位
1977年(クラウンライター):得失点差マイナス130点/チーム順位6位
1978年(クラウンライター):得失点差マイナス85点/チーム順位5位
1979年(西武):得失点差マイナス161点/チーム順位6位

コロナ禍で補強費が満足に使えなかったり、選手やその家族の入国など制限が多く、新たに選手を獲得するのが難しい側面がありましたが、チームそのものが弱体化しているのは由々しき事態です


野手編


野手陣においては近年、「選手層が薄い」、「若手の台頭が少ない」ということが問題となっており、なかなか改善できないでいる

「レギュラー=規定打席クリア」を基準にすれば、ここ数年は森友哉が最年少となっており、いつまで経っても「森の後輩」が出てこない

森自身、DH中心とはいえ、高卒2年目にはすでに規定打席クリアと早くからレギュラーを獲得、その後はキャッチャーかコンバートかで方針がブレた時期もありましたが、2017年からは完全に正捕手としての起用が定まり、2018年には炭谷銀仁朗からその座を奪い、いまに至っています

しかし2018年、森が23歳となるシーズンで同い年もしくは年下の選手が打席に入ったのはわずか3人で36打席。翌2019年は5人で174打席。昨年2020年は8人で275打席と束になっても規定打席に到達できない


2018年【森友哉:1995年8月8日生まれ(23歳)】
山田遥楓(22歳):19打席
金子一輝(23歳):14打席
愛斗(21歳):3打席
合計:36打席(0.6%)

2019年【森友哉:1995年8月8日生まれ(24歳)】
佐藤龍世(22歳):63打席
愛斗(22歳):57打席
鈴木将平(21歳):28打席
戸川大輔(23歳):25打席
高木渉(20歳):1打席
合計:174打席(3.1%)

2020年【森友哉:1995年8月8日生まれ(25歳)】
鈴木将平(22歳):157打席
柘植世那(23歳):43打席
高木渉(21歳):40打席
愛斗(23歳):14打席
戸川大輔(24歳):9打席
山田遥楓(24歳):5打席
西川愛也(21歳):4打席
岸潤一郎(24歳):3打席
合計:275打席(6.2%)

※()内はライオンズ全選手に対する打席数割合

そして2021年は主力選手の相次ぐ怪我もあり、起用せざるを得ない状況になったのが追い風になり13人で1263打席。ようやく形になりつつあります


2021年【森友哉:1995年8月8日生まれ(26歳)】
岸潤一郎(25歳):335打席
愛斗(24歳):316打席
山田遥楓(25歳):170打席
若林楽人(23歳):161打席
ブランドン(23歳):80打席
柘植世那(24歳):69打席
鈴木将平(23歳):42打席
西川愛也(22歳):27打席
戸川大輔(25歳):18打席
渡部健人(23歳):17打席
平沼翔太(24歳):13打席
佐藤龍世(24歳):12打席
綱島龍生(21歳):3打席
合計:1263打席(24.4%)


とはいえ、森も一歳ずつ年齢を重ねていき、26歳となりましたので、ある程度増えるのは当然と言える。2022年こそ規定打席をクリアする選手が一人でも出てきてほしいところ

ちなみにパ・リーグで26歳以下の選手が規定打席をクリアしたのは、森を含め、宗佑磨(B)、紅林弘太郎(B)、小深田大翔(E)、栗原陵矢(H)、淺間大基(F)の6人。セ・リーグだと、村上宗隆(S)、中野拓夢(T)、佐藤輝明(T)、岡本和真(G)、松原聖弥(G)、坂倉将吾(C)、小園海斗(C)、牧秀悟(DB)の8人。
※松原聖弥は1995年1月26日の早生まれ

こう見るとハードルはそこそこ高いのかなと思いますが、とはいってもライオンズから若手のレギュラーがそろそろ出てきてもらわないと

若手の台頭無くしてチームは強くならない。今シーズンこそ一気にブレイクし、レギュラーを獲得してもらいたいものです


投手編


一方の投手陣は毎年、くそみそに言われ続けながら、いまだ改善できずにいる

その要因として「三振が奪えず、四球が多い」と投手としてシンプルな数字であり、能力が向上しないところにある

ここ2年の奪三振率(K%)、与四球率(BB%)、K%-BB%は全て12球団ワースト

2020年:16.7%(12位)/10.4%(12位)/6.3%(12位)
2021年:17.4%(12位)/11.0%(12位)/6.4%(12位)

ホークスも与四球率は9.6%と11位で決して良くないが、奪三振率は22.9%とリーグ1位。K%-BB%では3位となっており、ライオンズ投手陣の「どっちもダメ」は目も当てられない

近年における三部門の推移を見るとこのようになる

2016年:17.3%(9位)/9.5%(12位)/7.8%(10位)
2017年:18.1%(9位)/7.6%(2位)/10.6%(8位)
2018年:17.4%(10位)/9.2%(8位)/8.2%(11位)
2019年:15.6%(12位)/9.1%(9位)/6.5%(12位)


これを見て気になった方もいるかと思いますが、実は2017年だけ与四球率が極端に良くなっているのが分かる。実はこのシーズン、ある試みが行われていた


2017年8月18日、日刊ゲンダイDIGITALに掲載された記事ですが、この中で当時一軍投手コーチだった土肥義弘はこのように語っている

土肥投手コーチは「秋季キャンプからやってきた四球対策が実を結んだ」とこう話す。
「ストライクゾーンを甘めに設定して投げさせたんです。メジャーではホームベースをタテに3つに割って、それぞれミドル(真ん中)、インナー(内角)、アウター(外角)と大ざっぱにゾーンを分ける。これを取り入れた。ギリギリのコースばかり狙っていては四球が増える。例えばカウント3ボール1ストライクのケースでも『甘く入ってもいいからゾーンで勝負してくれ』と。時には打たれることもあるが、意図した通りのボールなら問題ない」

日刊ゲンダイDIGITAL(2017年8月18日)


そして当時、ライオンズの先発ローテーションを任されていた野上亮磨もこのように語っている

「気持ちの面で(土肥コーチの指導は)大きいですね。歩かせるくらいなら打たれた方が……となれば強いボールも投げられる。ストライク先行でいけるので、ファウルでカウントも取りやすい」

日刊ゲンダイDIGITAL(2017年8月18日)


この試みによって与四球数は、524個から403個と大きく減らすことができた

個々の投手を見ても

※左から2016年(K%/BB%/K%-BB%)→2017年(K%/BB%/K%-BB%)
菊池雄星:
21.3%/11.3%/10.1%→
29.5%/6.7%/22.9%

野上亮磨:
13.1%/9.1%/4.0%→
19.6%/4.2%/15.4%

多和田真三郎:
21.0%/9.2%/11.8%→
18.0%/6.3%/11.7%

十亀剣:
12.2%/9.3%/3.0%→
16.6%/7.0%/9.6%

牧田和久:
13.8%/5.1%/8.7%→
14.1%/2.0%/12.1%

増田達至:
22.8%/6.5%/16.4%→
26.4%/5.9%/20.5%

このように与四球率と比例する形で奪三振率も低下し、結果横ばいになってしまった多和田真三郎を除き、概ねこの取り組みは成功したと言える

このシーズンはB.ウルフが先発ローテの一角を、B.シュリッターが勝ちパターンの中継ぎを務めており、どちらもストライクゾーンに動くボールを投げてゴロを打たせるタイプだったとはいえ、それを差し引いても絶大な効果が生まれた


実はこの取り組み、昨シーズン日本一になったスワローズでも高津臣吾監督、伊藤智仁一軍投手コーチの提案によって行われており、前年から
18.8%(10位)/8.6%(9位)/10.2%(10位)→
21.4%(2位)/6.9%(1位)/14.5%(1位)

と劇的に改善されました



ついでに言うと、ドラゴンズでも与田剛前監督も就任中、取り組んでいた


ドラゴンズの場合はバンテリンドームという投手に有利な球場で行われており、スワローズの場合も昨シーズンは東京五輪のため、夏の一番暑い期間に打者が有利の神宮球場を使用できなかった、というアシストがあったとはいえ、この取り組みは一定の、いやかなりの効果を生んでいると言えます

この案について最も大事なのは監督がこの方針に賛同しているかどうか。高津監督も与田前監督も自ら旗振り役となっていますが、辻監督は2017年に一度成功しているにも関わらず、投手コーチが変わった途端、この取り組みは自然消滅し、結果的に悪化の一途を辿っているのは不安です

投手が四球を出すことに関しては、プレーに関与できないこともあり、投手出身の監督より、野手出身の監督の方が嫌がる傾向にあるので、本来ならこの提案には前のめりになるはず

現役時代は「精密機械」として鳴らした豊田投手コーチには是非、この案を再度辻監督に提案してもらい、投手陣にこの意図を説明して、投手陣の改善に乗り出してもらいたいものです


まとめ


2022年のチームスローガンは「Change UP!」となりました

大きく変化をつける意味を込めてこのスローガンにしたそうですが、私は2022年のスローガンとして

「いつまでも いるとおもうな 骨と牙」

を掲げて貰いたいと思っています

2021年、38歳を迎える中村剛也が4番、栗山巧が5番とクリーンアップトリオの二枠を大ベテランに頼るというのは、頼もしい半面「いつまでこの二人に頼ってるんだ」という思いがありました

これは何度も書いていて「またかよ」と言われそうですが、辻監督が就任した2017年、それまで3番を任されていたキャプテン栗山巧、4番として君臨してきた主砲中村剛也をその座から外し、秋山翔吾と浅村栄斗に代替わりさせ、山川穂高や森友哉など通称「Newコアフォー」が台頭して、2018年、2019年のリーグ優勝につながりました

しかしその二人が相次いで移籍すると、「Newコアフォー」の面々がその重圧に耐えられなくなったのか揃って不振に陥り、一度隠居させたはずのベテラン二人を再び最前線に戻す有様

とは言え、このベテラン二人も40代になろうかという年齢でいつまでも頼っているわけにはいかないし、それとは逆に彼らがまだ動けるうちに日本一の喜びを味合わせてあげたい

そのリミットは今年、最悪でも来年か

その為にも今年、地に落ちたライオンを復活させるべく、大きな変化「Change UP!」を遂げてもらいたいと思います


では👋👋


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