見出し画像

最近の経済状況について (2009-03-15)

※昔々の記事になります。記事の内容と現在の状況は異なりますのでご了承ください。

最近、結構国会中継を見る機会があり、ここでは常に最近の経済状況についての言及で与党、野党ともに「百年に1回の経済危機」という言葉が飛び交いあっている。
これはおそらくは20世紀初頭の大恐慌と比較して使われているのであるが、あの当時と同じ感覚で今回の経済状況を語るのはいかがなものであるんだろうか?
確かにここ数年は経済成長は各国ともマイナスとなることは大いにありうるし、決して安泰だ、なんぞと言いたい訳ではない。
しかしマスコミをはじめ皆さんヒステリックになりすぎてはいないだろうか?まあマスコミ的にはヒステリックに演出した方が報道の価値が高まるという観点もあるだろうからそうしたいのは分からないでもないが。
僕は昔企業の財務分析を仕事としていたこともあるんですが、財務諸表の分析ってバランスシート、損益計算書を個別で分析してもあんまり意味がないんですよ。バランスシート(以下BS)はストックだし、損益計算書(以下PL)はフローでしかない。両方を勘案して分析するのがまあ常識です。
ROEやROAはそういう観点から重視されているわけでしょう。
今の経済危機の議論ではストック面が全く語られていない。確かにフロー面だけを見れば大変悪いんですが、この80年間でのストック面の成長はすごい物があると思います。
前の大恐慌の時は、餓死者も出たでしょうし、電気、水道、ガス、通信、TV等の恩恵にあずかれない人だって世界規模で見たってたくさんいたはずです。
今回の日本の対策を見たってたとえば「高速料金の値下げ」って前の大恐慌時では考えられない施策でしょう。経済危機とは言え、人々はこれで旅行を楽しむ環境が整ったりするわけですからえらい違いです。
つまり僕が言いたいのは単純に大恐慌と比較するんではなく、前とは大きく変わったストック面の充実というところも認識するべきだと言うことです。歴史と言うのは堂々巡りをしているように見えつつもスパイラル的に上昇しているに違いないし、現象面で似ているという単純な比較では事実が正確に見えないと言うことです。
これは企業を見る上でも結構大事なことです。新興企業はPL面では素晴らしい数字を出してもBS面での蓄積が薄く少し環境が悪くなるとあっという間に危機に陥ることがあります。重厚長大と言われる企業は逆の側面を持っています。どちらが良い悪いという問題ではなくフロー・ストックの両面を合わせてみる見方が重要何であり、そうしないと本質が見えないんではないかと思っているわけです。
フロー面での立ち直りはさせなければいけませんが、ここ数年は今までのストックを少し食いつぶすぐらいの考え方で臨むぐらいの方が却って結果は早く良くなると言うことも世の中には良くあることです。
不必要に危機感をあおるよりもこのストック面のことを少し考えてみることも違う視点がでて良いのでは?と思う今日この頃です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?