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冬沢こたつの短歌と背景 part.1

はじめに

短歌を作り始めて一ヶ月経ちましたが、Twitterというプラットフォームの特性上一度公開した短歌はネットの海に流れなかったことのようになってしまい、自分の短歌が大好きな自分としてはとても寂しく思います。
また、自分に短歌を作らせたその出来事、その気持ち、その瞬間を詳細に語る場面はなかなか訪れません。それほどまでに力を持った瞬間だったにも関わらず。
基本的に創作は受け手の受け取り方が全面的に尊重され、作者の解説などは野暮となっているように思います。でも、個人的に作者のセルフライナーノーツによって自分の中でその作品がさらに特別なものになった経験もあります。そして何より自分が残しておきたいと思ったので、こうして記事を書いています。

色々言いましたが、自分の作った短歌からお気に入りのものを5首ずつ紹介して、その短歌にまつわる話を添える試みです。ちなみにバンドのときの名前は「ジンくん」「ジヌくん」ですが、短歌を詠むときの名前は「冬沢こたつ」という名前です。
どんな受け取り方をしていただいでも結構ですが、よろしければお付き合いください。

折り紙は切っても切っても折り紙で…

折り紙は切っても切っても折り紙でいつからだって鶴になれるよ

peti petoという、折り紙を模したメガネ拭きがあります。たくさん種類があるのですが、その中でも真っ赤な折り鶴のメガネ拭きがあり、それを見ていた時に思いついた短歌です。
東京駅の売店(というには小洒落た、小売店)に売っていたのですが、現品限りだったため購入を見送り、それ以降探し歩いているのですが、ネットで買うと東京駅で見たときの価格よりも高くなってしまうこと、特にメガネ拭きがなくて困ったりしていないことから、いつまでも買えておりません。
折り紙はどんなサイズでも折り紙だし、ちぎっても紙に貼り付けたりすれば貼り絵になるし、いつからでもどんな状態でもやり直せるというような気持ちで詠みました。それは自分にとっての短歌でもあり、バンドでもあり、人生そのものでもあるはずです。折り鶴はBase Ball BearがCRAZY FOR YOUの季節で使っていたモチーフで(本当に少しですが)、自分にとってすごく印象的な存在です。

「波際が跳ねるうさぎの群れみたい」…

「波際が跳ねるうさぎの群れみたい」月の目をした君が言うには

神奈川の大切な友人と、初めて鎌倉で遊んだとき、なんとなく散歩をしていたら海に着きました。海のない県出身の自分からすると、こんな駅からぼんやり歩いていて海についてしまうなんて信じられなかったのですが、そのあたりに住んでいる人(その友人も)にとっては当たり前なんだなあと感心したのを覚えています。
彼女が海を見て、「波の先って白くてもこもこしてて、うさぎがぴょんぴょん跳ねてるみたいだよねえ」と言ったとき、僕は完全に恋に落ちてしまいました。その人は、柔らかく温かく、どんなものもすごくキラキラした感性でふんわり受け止める詩みたいな人で、今でも(後日告白してちゃんと振られました)たまに話を聞いてもらったりしています。未練などはなく、素敵で大切な友人です。

lovelyを読み間違える僕はただ…

lovelyを読み間違える僕はただ裏返しのままシャツ着るlonely

短歌を始めた日、というよりは短歌のアカウントを作った日に詠んだ短歌です。(実際にはたまに歌詞のアイデアメモのような形で、思いついた時に短歌を作っていました。)
シャツが裏表逆だった、なんてこと、女の子がやっていればかわいいなあと思うのですが、自分でやるとどうしても滑稽で虚しくて仕方がないんですよね。そういうときはひときわ孤独を感じます。
lovelyという字面を見てlonelyと読み間違えること、多分結構あることではあると思うのですが、その出来事がすごく自分を象徴しているような気がしてとてもお気に入りの一首です。ちなみに読み間違いきっかけで、シャツの件は空想です。

矯正を始めたあなたの口内に…

矯正を始めたあなたの口内に舌を入れること 最近の罪

矯正中は注意することが多いですよね。食べてはいけないものとか飲んではいけないものとか、色々あって大変そうだなあと思います。そういえば、矯正中にキスってしてもいいんだろうか?と気になって書いた短歌です。結論してもいいみたいなのですが(軽く検索しただけなので違ったらごめんなさい)自分がするとしたら気にしてしまうだろうなと思います。
文字数の都合でこういう書き方になっただけなのですが、「口内に舌を入れる」という回りくどい言い方をすると作業感が増して罪っぽくなりますよね。

くちばしをずらして首を前に出す…

くちばしをずらして首を前に出す それに応える 僕たちは鳩

綺麗な女の人がよくしている平たいマスク、わかりますか?多分小顔に見えるとか化粧が付きづらいとかそういうのだと思うんですが、あれってクチバシみたいですよね?
マスクをするのが当たり前になって、外でキスするときは(!?)お互いにマスクをずらしますよね。とても可愛らしい光景だなあと思い作った短歌です。
なかなか実感することは難しいですが、平和というのはそこらじゅうに転がっているものです。もしかしたらあなた自身も誰かにとっては平和の象徴なのかもしれません…というのは無理があるでしょうか。

おわりに

「冬沢こたつの短歌と背景」という名前で始めてみましたこちらの記事ですが、書いていてすごく楽しかったので文章を書く練習としても続けてみようかなと思っています。
もしお楽しみいただけたら、メッセージやスキ、Twitterのフォローやリプライなど反応いただけると嬉しいです。いつでも自分は自分の活動を通して人と交流することがいちばんのモチベーションなので、短歌を通してこれから出会える人や過ごせる時間をすごく楽しみに思っています。

P.S.
もちろんバンドもまたすぐ動かしますので、心配しないでね。

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