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冬沢こたつの短歌と背景 part.2

はじめに

前回の記事はこちらです。

「わたしの目、しじみみたいで」…

「わたしの目、しじみみたいで」 しじみとはこんな可愛い生き物なのか

以前好きだった女の子が短歌の通り自虐していたのですが、その時にとっさに出た励ましの一言です。ちなみに大偏食のため、そのとき本当にしじみがなんなのかよくわかっていませんでした。
その子の目が本当に好きで、後になって調べてみてもいわゆる「シジミ目」でもないし、細くて可愛い目でした。どうしても似ている芸能人が思いつかず伝えられないのですが、その子のような細い目の女の子がとても好きです。

あんなにも共に過ごしたWi-Fiの…

あんなにも共に過ごしたWi-Fiの名前もパスも思い出せない

恋愛がテーマの短歌です。Wi-FiのSSIDとパスワードってだいたい初期設定のままだし、覚えていることないですよね。Wi-Fiってそれなしでは過ごせないくらい馴染み深い存在なのになあ、と思うと、なんだか示唆的だなあと思います。

誰しもが同じような喋り方…

誰しもが同じような喋り方 項垂れ窶れ枯れゆく向日葵

ひまわりって素敵なもの、それこそ地上の太陽みたいな感じで使われることが多いモチーフですが、僕はひまわり、正しくはひまわり畑がどうしても気持ち悪くて苦手です。夏っぽい曲をたくさん書く自分ですが、だからこそいつかは世の中のひまわりソングと真逆のそれを作りたいなあと思っています。
この短歌は、自分が思っているひまわりに対しての気持ち悪さがしっかり書けたと思っていてお気に入りです。また、ネットスラングや”ノリ”でみんなが同じような口調、文体になっていってしまうことがとても嫌で、そういった嫌悪感についても詠むことが多いです。

窓辺から見える緑が唯一の…

窓辺から見える緑が唯一の色だった日々 海は新緑

「大学」をテーマに作った連作のうちの一首です。
楽曲「CIDER GIRL」を作ったときなので、自分が確か大学二年生の頃です。基本的に大学の授業は疎外感があり特にやりたいことでもなかった(言語学がやりたかったけどコース選択前だったので関係ない授業をたくさん取らされていました)ため、ずっと心ここに在らずでした。ただ、教室の窓から見える木々の緑だけはすごく綺麗で、その光景がすごく印象に残っているんですよね。
あまり馴染めなかったとはいえサークルにもちょこちょこ顔を出したりはしていたので、本当に最悪な生活というわけでもなかったのですが、大学生活に関してはマイナスな印象が強いです。ただこの歌はネガティブな短歌ですが、綺麗に詠めたのでお気に入りです。

空きコマでふらっと向かう雑司が谷…

空きコマでふらっと向かう雑司が谷 いつ歩いても秋だった街

こちらも「大学」をテーマに作った連作のうちの一首です。
僕の母校は雑司が谷が近く、周りも閑静な住宅街だったため、散歩のし甲斐がありました。もしかしたら今の自分の散歩好きはあの環境のおかげなのかもしれません。
雑司が谷はずっと工事中の都電が通っていたり、変な名前のメロンパン屋さんがあったり、欅並木と公園が併設された神社があったり、すごく雰囲気のいいところです。あの安心感はなんなんだろうなあと思っていたのですが、今回はそれを「いつ歩いても秋だった街」と表現してみました。
夏は大勢、冬は1人、なので秋は2人の季節だと思っています。いつも一人で散歩する雑司が谷は少し物悲しく、でも少し温かく、大学での虚無感を紛らわせる場所でした。

おわりに

自分の思い出は自分だけのものですが、短歌(や曲など)を通して少しでも自分の綺麗だと思ったものを共有できたらいいなあと思っています。
あなたのお気に入りの短歌はありましたでしょうか。もしありましたら気軽に教えてくださいね。

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