マガジンのカバー画像

川柳と詩の中間のようなもの

16
なぜか575でも57577でもないリズムが私の中に存在しているようで。
運営しているクリエイター

#現代短歌

川柳と詩の中間のようなもの11

川柳と詩の中間のようなもの11

真剣に徘徊する大人がいる本屋

知らぬ人にそれおもしろいですよと念波する

戦利品を読み耽るうれしさが増す雨の日

川柳と詩の中間のようなもの10

川柳と詩の中間のようなもの10

ノートノートノーと言える日本人になりなさい

幼子かなたに生まれいずれ死にゆく

家族はいらぬ、帰る家は欲しい初春

川柳と詩の中間のようなもの7

川柳と詩の中間のようなもの7

波打つ心臓耳に抱いて今夜も眠る

この服を着て貴方の葬儀にいつか出る

夕日にすべて溶けていく公園の野球少年は

川柳と詩の中間のようなもの8

川柳と詩の中間のようなもの8

ぬくもりの抜け殻を運ぶ夜の回送

太陽を追いかけるふたりは阪急電車に乗って

木は森に人は人混みに隠せ柔軟に

川柳と詩の中間のようなもの6

川柳と詩の中間のようなもの6

愛される人愛されぬ人二人は同じ墓に入る

切り花はどういう気持ち地面から遠く離れて

川柳と詩の中間のようなもの5

川柳と詩の中間のようなもの5

美しいものを見ると哀しくなるのきっと一瞬は永遠だから

とけてしまえあなたの悲しみは永久凍土のように夏のロシア

脳も心も要らぬわたくしはくらげになりたい