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#小説
星の砂を片手に 【前編】
あるところに、奈帆(なほ)という少女がいた。
奈帆は生まれつき、髪の毛の色が青かった。その青色というのもただ青いのではなくて、海のような色をした美しい髪なのだ。
頭のテッペンは深海のようなコンコンとした深い青、髪の真ん中は青と水色のグラデーションが綺麗で、毛先は南国の海のような、明るいターコイズブルー。
くせっ毛で元々ウェーブ髪なのも相まって、奈帆の髪の毛はまさしく「波」だったのだ。
(い
スパイテディ【ぷち長話】
テディベアの首についてるリボンには、とある秘密があるってご存知?
これはもしかするとのお話なんだけど、テディベアってのは、サンタさんのスパイじゃないのかって、そういうお話。
某名探偵の蝶ネクタイが機械仕掛けなのだから、テディベアのリボンに何かしらの仕掛けがあってもよかろうよ。
でも、子供たちは鋭い。
カチンコチンのプラスチックのリボンじゃなく、クタクタの可愛い色した生地のおリボンで秘密を隠さな
お菊ちゃんの魔法【後編】
↑前編はこちらから。
お菊ちゃんは言った。
「あたしはヤマンバさまの一番弟子の立派な市松人形なの。それでね、ヤマンバさまから教わった、取っておきの飲み物を今からあなたに作ったげる。」
なんでもそれを飲めば一瞬で髪の毛が伸びるらしい。その名も「お菊ちゃんドリンク」。怪しい
さて、小さなお菊ちゃんがせかせかと動き回ってるうちに道具が揃ったようだ。
大釜、薪、マッチなどのグツグツの道具。
そ
お菊ちゃんの魔法【前編】
あるところに、美しくて長い髪の毛を持った人がいた。
ツヤツヤサラサラの髪の毛はどこへ行っても人に褒められるし、自分もお気に入りの自慢のチャームポイントだった。
しかし、その人はある日突然その長い髪の毛をバッサリ切りたくなったのだ。
「猛暑だもの。こんな長い髪してちゃあ暑苦しくてたまらない!!!」
というわけで毛刈りを始めたのだが、せっかくなら行けるところまで行っちゃおう!ということで
瓶底ナトリウム 【後編】
↑前編はこちらから。
さて、女の子が古い小屋を開くと ふうわりと潮の香りと湯気が漂ってきた。
とても粗末で、味気なくて、見てるだけでも寒いその小屋にひとつ、大きい鍋にたっぷりのスープ。それをかき混ぜる、背丈の高い後ろ姿。
なんだか、この小屋の持ち主のヤマンバはとっても毛深いようだ。というか そもそもヤマンバに見えない。なんか凄く毛むくじゃらだし、凄く獣臭するし、毛むくじゃらの癖して爪だけ立派
瓶底ナトリウム 【前編】
小瓶に からい水が めいっぱい貯まったときに
出会えるいきものがいるらしい
あるところに、淋しがりやの女の子がいた。
女の子はひとり部屋の中で、さびしい、さびしい、でも緩やかな毎日を過ごしていた。
時々どうしても目からこぼれてしまう、しおからい水。
女の子は、ある時からその水を何となく小瓶に集めることにした。
それから暫くたった頃、小瓶は女の子から出てきたしおからい水でタプタプになって