スパイテディ【ぷち長話】

テディベアの首についてるリボンには、とある秘密があるってご存知?

これはもしかするとのお話なんだけど、テディベアってのは、サンタさんのスパイじゃないのかって、そういうお話。

某名探偵の蝶ネクタイが機械仕掛けなのだから、テディベアのリボンに何かしらの仕掛けがあってもよかろうよ。
でも、子供たちは鋭い。
カチンコチンのプラスチックのリボンじゃなく、クタクタの可愛い色した生地のおリボンで秘密を隠さなくては。ひみつひみつ。

スパイを担当するテディベアは、当番制で毎年入れ替わるんだとか。
当番が回ってきたテディベアは、その年だけ「スパイテディ」になる。

スパイテディには、それぞれのおうちの子供たちの欲しがるクリスマスプレゼントをそれとなく自然に聞き出して、ボスのサンタさんに伝えることという重大ミッションが課せられる。

子供たちがどんな手段を使ってサンタさんにお願いするのか分からないから、スパイテディって難しいお仕事。
例えば、手紙とか短冊にお願いごとする物書きタイプの子供の場合、スパイテディは文字が読める位置にいる事と文字が読める事の両方が可能じゃなきゃいけない。
テディベアたちは、子供たちの力がないと移動ができない。だから子供たちのそばを離れると、何かと手厳しい。
会話の盗み聞きとかだって、肝心の子供たちがそばにいないと出来ないのだから。

そういうこともあり、1番良しとされてる方法は

「子供たちにとって最高の友達であること」

そりゃあもう、子供たちの性格にもよるけど、こっそり秘密を打ち明けてもらえるような人格(クマ格?)が重要なのは、人間のスパイもスパイテディも変わらない。
「パパにもママにも内緒だけど、サンタさんには〇〇を貰いたいんだよね〜。」って、夜な夜な秘密を聞き出せばもうこっちのもの。
あとはその子供たちの欲しいものを念じて、リボンに封じ込めて、伝書トナカイに渡してもらう。

そしてクリスマスが終われば、サンタさんからお礼状と、ご褒美のキャンディが送られてくる。
キャンディを渡されたその瞬間、スパイテディからただのテディベアに戻れるのだ。

(身に覚えのないキャンディの包み紙が部屋に落ちてることがある場合、それはスパイテディがサンタさんから貰ったキャンディのゴミの可能性があるかもしれませんね)


子供たちに悪いことをしてるわけではないけれど、何となく、裏でコソコソとしてる後ろめたい罪悪感で落ち込むテディベアも毎年いるようだ。

でも、テディベアたちのたくさんのお仕事の中でも、物理的な報酬が🍬🍭もらえるということで、スパイテディはそこそこ人気だったりする。

「モヤモヤ感は残るけど悪くはないよね、あの仕事。」と、毎年テディベアたちがコソコソ噂話している。

あなたの家の、おもちゃ箱でも。

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