瓶底ナトリウム 【前編】
小瓶に からい水が めいっぱい貯まったときに
出会えるいきものがいるらしい
あるところに、淋しがりやの女の子がいた。
女の子はひとり部屋の中で、さびしい、さびしい、でも緩やかな毎日を過ごしていた。
時々どうしても目からこぼれてしまう、しおからい水。
女の子は、ある時からその水を何となく小瓶に集めることにした。
それから暫くたった頃、小瓶は女の子から出てきたしおからい水でタプタプになっていた。
おそるおそる、ふたをあけた瞬間
手のひらサイズに収まってたはずのしおからい水は ずっとずっと背丈の大きなはずの女の子の体を
まるっと呑み込んでしまったのだ。
気が付くと 女の子は倒れていた。
そこは一面の銀世界だった。試しに雪を一口舐めてみたら、なんだかしょっぱかった。
どうやら女の子から生み出された、しおからくて寒い世界に来てしまったみたい。
さく さく さく さく
片栗粉みたいな雪の中を 淡々と進んでく
小さな掘っ建て小屋がある。トタンで作られた、小さな小屋。
とても小さな文字で
「ヤマンバのおうち」
と ガタガタの文字で書かれた看板が地面に差されていた。
そうして 扉を 開いてみるのだった。
後編につづく↓ (今日はもう寝たい)
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