見出し画像

ゲームをほぼやらない私がゲーム会社に入社してゲームを作る話

こんにちは、ふくもちです。
先日、「最新のゲーム機を持ってない人は、まずゲーム業界を目指すための最低限の準備すら出来ていない」というニュアンスのツイートがバズっているのを見て、私はヒヤヒヤしました……。

何を隠そう、所持していて今も動く家庭用ゲーム機はPS VitaNintendo Switchのみ。(昔はNintendoDS、ゲームキューブ、ゲームボーイアドバンスを持ってました)
最近流行りのゼルダ、FF16は未プレイ
なんなら、ポケモン、ドラクエ、モンハンなどの超有名ゲームの数々も未プレイです。
有名なプレイ済タイトルはマリオ系、桃鉄、パズル・脳トレ系、どうぶつの森あたりでしょうか。ゲーム会社に就職するにしてはライトなゲームばかりプレイしていたタイプです。

そんな人間がゲームを作ってるって嘘だろ…?と9割の人が思うでしょうけれど、本当なんです。
ではなぜ「ゲームをほぼやらない人間が、ゲーム会社に入ってゲームを作れているのか」についてお話ししたいと思います。

ゲームを作るつもりは全く無かった

私はもともと乙女ゲームが好きで、そこから派生してCDコンテンツなども嗜むタイプのただのオタクでした。
そもそもラジオ局のアナウンサーを目指し、普通の4年制大学で日本語学を勉強していたので、ゲーム作りとは無縁の生活を送っていました。
色々あってアナウンサーの道は諦めて「女性向けコンテンツに携わりたい」と思い、小売やメーカーを受けたという経緯があります。
しかし、コンテンツを生み出す0→1ではなく、1を広める宣伝や、1を大きくする二次展開に関わりたい気持ちのほうが大きく、就活の面接でもそのような話をしました。

入社後、初めは二次展開などを扱う部署に配属されたのですが、3か月ほどで新作ゲームの開発を行うチームに異動となります。

はじめてのゲーム開発

異動先では、コンシューマ向けのADVとスマホ向けのアクションADVの2本を作っていました。
私が担当した主な業務は、シナリオ周りとスクリプト演出です。

シナリオに関しては、誤字脱字や整合性のチェックと、ちょっとした分岐イベントも執筆しました。
高校時代にラジオドラマ制作をしていたのでシナリオを書いた経験は多少ありましたが、それでもほぼ未知の領域でかなり手直しが入ったのを思い出します。
ちなみに今でもシナリオのチェックは仕事にできますが、0から執筆するのは得意ではありません……。

スクリプト演出は簡易コマンドを使って背景や立ち絵、BGMなどを指定して実際のゲーム画面に仕立てていく作業です。
当時は右も左も分からず、何をしたら絵が出るのか、音が鳴るのかを、ひたすら試しながら覚えていきました。

開発タイトルがどちらもADVでプレイしたことがあるジャンルだったため、完成形がなんとなく想像できたことで乗り切れたように思います。

これまで担当した開発領域

これまでゲーム開発では下記の業務を担当してきました。
・企画立ち上げ(他社への企画営業や予算組み、パートナー選定)
・進行管理
・シナリオやイラストのチェック
・グラフィックの発注指示書作成
・ボイス収録同行
・スクリプト演出
・デバッグ

色々やりましたが、自分で企画やプロットを考えるなどの、本当に0から1を作る部分は担当したことがほぼありません。
別でディレクターがいて、ディレクターがやりたいことを汲み取って動く方が私の性には合っているかなと思っています。

なぜゲーム開発を続けられているのか

私が開発に関わったのが、ADV・ノベルゲームと呼ばれるタイプのものだけだからです。
RPGやアクション、カジュアルなどの他ジャンルは関わったことがありません。
「最新のゲーム機を持ってない人は、まずゲーム業界を目指すための最低限の準備すら出来ていない」という先日バズったツイートに少しリンクしますが、結局対象に関する知識が無いと良し悪しの議論はできませんし、良いものも作れないのです。

その点、私は乙女ゲームをプレイしていてADVゲームに関する知識やプレイヤーとしての感覚はありました。
だからADVゲームなら、他のチームメンバーとほぼ同じスタートラインに立てるのです。

これがRPGやらアクションやらになると、私は基礎知識を入れるところからスタートになります。
もしチームメンバーがそれらに精通していたら周回遅れも甚だしいですし、意見を求められても何も言えない、もしくは的外れなことを言ってしまい場を混乱させる可能性も否めません。
なので、ゲーム開発者を目指すなら、せめて作りたいゲームジャンルやハードの最新動向を追っておくのはマストかなと思います。

なお私の場合、会社の規模的にADVゲームがメインで、RPGやアクションで新作を開発するという選択肢がほぼ無かったので、本当に運良くこれまで仕事ができたという面があります。
もし様々なジャンルのゲームを作っている会社なら、ADVにのみ携わり続けるのは、人材育成等の兼ね合い等も絡んで非常に難しかったことでしょう。
ゲーム会社に入社したからといって、すぐに好きなジャンルやタイトルに関われるとは限らないため、やはり最新ハードやタイトルを満遍なく知っておく必要は大いにありそうですね。
あのツイートもこういうことが言いたかったのではなかろうかと思います。

あと個人的には、営業や宣伝職も、扱うタイトルと同ジャンルの別タイトルを知っていたほうがいいように思います。
別タイトルと比べてどの点で優劣があるのかを知ることで、売り込み文句も変わってきますからね。

最低でも自分に関わる領域に関しては、常にアンテナを張っておくことが大事かなと思います!
特にコンシューマの場合は、常に2~3年は先を見据えて企画・開発する必要がありますしね。
もしこのnoteを読んでいてゲーム業界に就職したいと考えている方は、ゲーム作りと無縁でもゲーム開発を仕事にできている私が参考になりましたら幸いです!

過去に投稿した仕事周りの記事はこちら。
仕事内容を詳しく紹介していますのでよろしければぜひ。


余談

①そもそもゲームプレイに向いてない

以前「流石に一度やってみるか」と3Dグラフィックを使った某有名RPGの体験版をプレイしたら、画面酔いして30分で限界がきてしまい……。
ですのでRPGを作れと言われたら何が何でも断ると思います(笑)

②なぜゲーム会社に就職できたのか

入社後、上司に「なぜ私を採用したのか」と聞いたことがありました。
曰く「ゲーム以外にも興味を持っているものがたくさんあったから」だそうです。
前述の通り、ゲームが好きでお金をかけてプレイするからこそ、自分が作るものに対して知識と経験を詰め込めるのですが、興味がゲームだけに留まっていると新しいアイディアが生まれにくくなりかねません。
上司はその点を考えて常に面接をするそうで、私の場合は舞台・ミュージカル、ライブ、ジャニーズといった趣味が多々あったことも決め手になったと言っていました。
まあその趣味がゲーム作りや他の仕事に生かされているのかは分かりませんが……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?