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適切な声を、広く世の中に届けるために

この記事の主張の前提となる価値観を説明した記事を、別で公開しています。
どうして”叩く”じゃだめなの? 【適切な声を、広く世の中に届けるために】
よろしければ、↑もご覧ください。

情報が、あふれかえっている。

相手を尊重した上で意見を述べる文章と、やみくもに相手を非難し貶める文章。
適切で誠実な文章と、不正確で不誠実な文章。

ごっちゃごちゃに、混ざっている。

このごちゃまぜの溢れかえりっぷりに、うんざりしたり、振り回されたりする人は、きっと多いのだろう。私もふくめて。

そんないろんな情報がごちゃまぜになってしまっている世界で、研究者や、私ら大学院の博士課程生にできること。

それは、「この人はちゃんとした専門家です。そしてこの記事はわかりやすく、適切な論かと思います」と、人に紹介して、無数の情報をふるいにかけるお手伝いをすることなんじゃないかな。

***

昨日の記事を書いた発端は、非専門家の方が不適切な説明をした記事が(件数は多くないとはいえ)他者に広がっている様を見たことだった。

そのお方には、直に指摘をさせていただいた。丁寧な返答が得られたけれど、その後のやりとりで気付いてしまった。

「この人、何ひとつ理解してないな」と。

自らの記事内で説明していた事柄すらも理解していない。
愕然とした。

不適切な説明は、「本質をわかりやすく伝えるため」だと、その方は言った。
わかっていないのに、わかっていないことすらわかっていないのに、どうして、本質が伝えられるのだろうか。


なんで、わかっていないのに、わかったふりをして、さらには人にまで説明しようと思うのだろう。しかも、この混乱の最中において。

そこまでして、うわべの称賛を、人は得たいのものなのか。
そんなにも、人は、弱いのだろうか。

そんな悲しい行動を、どうしたらなくせるのだろうか。


ここで、専門家でないのに「学問的なこと」を(不適切に)言っている人たちを責めても仕方ない。

私は、まだ人間的に未熟なようで、正直、そういうヤツらにすごく腹が立つ。
でも、そんな人を怒ったところで、何一つ事態は好転しない。ひとりに目くじらを立てて論破したところで、また別のヤツが出てくるだけだ。そんなもぐらたたきみたいなこと、したくなーい!

じゃあ、どうしたらいいか。

そういうヤツら全員に「情報を流そうという気持ち」を起こさせなければいい。
カタカナまじりで言ったら、「情報を流すインセンティブ」をなくせばいい

人を動かすには、人が動く動機(インセンティブ)を変化させればいいのだ。

それがいまの私、博士の学生として経済学を学んでいる私が考えつく案。
思いついた具体的な策が、「専門家のきちんとしたわかりやすい記事をもっと世の中に広める」。そうして、昨日の記事を書いた。

***

いろんな情報が、本当にたくさんあふれている。

受け手がひとりで逐一、信頼できるものを選ぶことは難しい。
選ぶ基準すら、わからないことばかり。私だって、専門外の生物学や医学のことは、何が信頼できるのかまったく見当がつかない。

だから、非専門家の信頼できない記事の出る幕がなくなるくらいに、出てきたとしても相手にされないくらいに、専門家によるわかりやすい情報を世の隅々まで届けたい。「こっちの人のが信頼できる」って、皆が専門家の方に耳をかたむける世の中であって欲しい。

でも、重ね重ね、専門外の人は、誰が信頼できるのかわからない。だから、学問的な事柄に関しては、各分野の研究者・大学院の博士課程生の出番

「この人はちゃんとした専門家です。そしてこの記事はわかりやすく、適切な論かと思います」と紹介して、その記事を広く届けるお手伝いをする。あふれかえる情報をふるいにかけるお手伝いをする。

その道で活躍する研究者は当然、自分で解説記事を書くほどの技量はまだない博士課程院生でも、そうした力はきっとある。
博士課程まできたら、その道の権威や”すごい人”が誰か、知っていたりするのです。

黙ってエセ専門家がはびこるのを見ていては、適切な説明をしている専門家が変に誤解されるかもしれない。問題の解決のための施策が機能しなくなるかもしれない。

将来、専門家の声が重視されなくなり、どれだけ適したことや問題の解決に役立つことを言っていても、無視されてしまうかもしれない。

そんな世の中は嫌だ!!(し、食いぶちがなくなってしまうので、個人レベルですごく困る話でもある)

専門家が常に正しいなんて、言わない。
けれど、学問的な見方をする際には、その道の専門家である研究者や学者が一番適していると思っている。そのためのトレーニングをいつだってしているのだから。

だから、学問的な物事については「エセ専門家が情報を発信する気をなくさせる」ための取り組みを考えていきたい。まずは、専門家の適した記事を紹介していくことから。

これにもいろんな問題があるなあ、と思っているけれど。

黙って見ていても、きっとなんにも解決しないから。腹を立てたって、なんにも状況は変わらないから。
いまできることを、やりたく思う。

適切な声が、世の中により広く届きますように。

そうして、人々の間でより意味のある議論がなされますように。


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