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UUUMの成長から読み解く個のエンパワーメント#マーケティングトレース

どうも、もちゃおです!!

突然ですが、皆さん、
これがなんの数字か分かりますか?

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2019年度最も稼いだYouTuber
ライアン・カジ君の年収です!

しかも、
もっと驚きなのが8歳であるということ。


一昔前だと、8歳の子が2桁億以上稼ぐのなんて誰も想像できなかったと思います。YouTuberがいかに夢のある職業であるか物語っていますね。

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今回は、そんな夢のある職業「YouTuber」の事務所 UUUMのマーケティングトレースをしていきたいと思います!!

ビジネスモデル 何で稼いでいるか?

まずは基本的な概要から説明します。

UUUMとは、インフルエンサーマーケティングの会社であり、商品やサービスを紹介して欲しい企業とYouTuberを繋げるプラットフォームビジネスを展開しています。

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UUUMの収入源は、大きく4つあります。

自社サービス(自社チャンネルやゲーム等)
クリエイターサポートその他
(グッズ、イベント、音楽等)
広告(企業とのタイアップ案件)
アドセンス(YouTubeからの収益)

利益の柱は、YouTubeからのアドセンス

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つまり、動画の再生数に応じて、得られる広告収入です。ジャンルやクリエイターによって単価は様々ですが、平均で1再生あたり、0.222円〜0.310円で推移しています。(UUUMの決算書参考)

例えば、1再生あたり0.25円を基準とすると、一つの動画が40万回再生されたら、クリエイターに広告収益として10万円が支払われます。

そして、UUUUMに加入しているクリエイターの場合、YouTuber:UUUM=8:2という収入分配なので、8万円がクリエイターの取り分ということになります。


次いでは、企業とのタイアップ案件です。
(YouTuberが広告主のの商品やサービスを紹介することで得られる収益)

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これがUUUMがプラットフォームとして得られる収益です。

紹介して欲しいサービス・商品がある企業を集めて、所属しているクリエイターが動画内で紹介する。

クリエイターがUUUM(事務所)に所属する一番のメリットは、企業のタイアップ案件を受けられるからに尽きると思います。

他には、イベントやグッズ販売、コンプライアンス研修やバディ(俗に言うマネージャー)によるサポートもありますが、芸能人がCMに出たがるのと同様に、企業案件は儲かります。


タイアップ案件の内訳に関しては、こんな感じです。

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動画内で違和感なくコラボできるゲームやアプリ系の割合が大きいです。

市場規模

日本のインフルエンサーの市場は約500億円。
日本でもようやく、個人がSNSを通してお金を稼ぐことが一般的になってきましたが、中国に比べると微々たるものです。

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日本のインフルエンサー市場はまだまだ伸び代がありそうですね。


業界のプレイヤー 

UUUM以外にもYouTuber事務所を展開している企業はありますが、

・GENESIS ONE
・VAZ

上場しているUUUMが頭一つ飛び抜けています。
所属事務所を脱退して、UUUMに鞍替えするクリエイターは大勢います。



▼UUUMと他2社の検索ボリューム▼

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月間の検索ボリュームも桁が一つ違います。

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クリエイターがYouTubeの動画内で、UUUMという言葉を頻繁に発するので、「YouTuber事務所といえばUUUM」という純粋想起が確立しています。

「UUUM大運動会」「UUUM忘年会」のようにYouTuberの横の繋がりを示すキーワードとなり「UUUM」のネームバリューは勝手に向上します。


”TVに出て面白いことをしたかった人は芸人となり吉本へ”から”SNSで面白いことをしたい人はYouTuberとなりUUUMへ”シフトしており、今後ますますこの流れは加速するでしょう。


UUUMの圧倒的強み

UUUMの強みは、何と言ってもトップYouTuberの多さ、そして、動画再生回数の多さにあります。

はじめしゃちょー、HIKAKINを筆頭に
UUUM所属のクリエイターは大勢います。

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UUUM成長の鍵

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ここで注目したいのは、2019年度の決算まで右肩上がりだったアドセンス収益が2020年度から頭打ちになってしまっている事実。

UUUMのアドセンス売上は、

1再生あたりの広告収入×再生回数 

で成り立っており、

「1再生あたりの広告収入」はUUUMがコントロールできません。大巨人Google傘下のYoutubeに依存しています。

例えば、キッズ向けのチャンネルに広告をつけないと、YouTubeが決定するとこれまで収益を得ていたチャンネルも一瞬にして吹き飛んでしまう可能性があるわけです。


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なので、UUUMはアドセンス売上を上げるためには、「再生回数」を上げるしかないわけです。


再生回数を上げるためには、いかにして人気なクリエイターに所属してもらうかが鍵となります。

そこで注目するのが、
YouTubeからの収益分配です。

YouTubeからのアドセンス収益は

クリエイター:UUUM=8:2

で分配され、

UUUMの粗利益率はわずか20%


一方で、クリエイター側はUUUMに所属しなくてもアドセンス収益を得られます。これが従来のTVタレントと決定的に異なる点です。

TVに出ようと思ったら、芸能事務所に所属するのが必須です。なぜなら芸能事務所とTV局は太いパイプで繋がれているからです。

YouTuberは事務所に所属せずとも生きていける。


そんな中、UUUMはトップYouTuberの収入から20%を手数料をもらい続けるだけの価値を提供することは相当ハードルが高いと考えられます。

YouTuberのパイオニアであるヒカキンさんが事務所を脱退することは、大株主のため考えられませんが、

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UUUM所属の旨みがなくなった瞬間、大物YouTuberが独立して、個人事務所を設立するトレンドも十分考えらえれます。

実際に、日本4位のチャンネル登録者数である、木下ゆうかさんもUUUM脱退を発表しており、今後この流れは加速するかもしれません。


次に、UUUMの行く末ですが、

UUUMの未来

決算説明資料にもあるように、「クリエイターサポートのインフラ」を目指しているようです。

UUUMはイベントやグッズ販売のサポートに留まらず、YouTuberが個人経済圏を確立するためのサポートをすると公言しています。

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個人的に面白いと思ったのは、自分たちが狙っている市場は、広告収入に限らないことを示唆していること。

CDを出してライブをする「音楽市場」
自分の商品を作って売る「EC市場」などなど

クリエイターが個人経済圏を確立できるように何でもサポートするよ、とのこと。

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そして、クリエイターを多く集め、個人経済圏を拡大させた後、自分たちのオリジナルコンテンツを更に提供していくようです。

今後、UUUMがYouTubeに依存するアドセンス収益だけでなく、いかに他の周辺領域で利益を稼ぐかを注目していきたいと思います。

小まとめ

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ここまでがUUUMについての分析でした。

最後に少しだけ、UUUM台頭の背景にある
「個のエンパワーメント」について触れます。

個のエンパワーメントの加速

これまでは、個人が露出をしようとすると、既得権益の権化のようなメディアに頼るしかありませんでした。(TV・映画・雑誌等)しかし、現代において、発信力を磨いた個人は、”メディア化”します。

従来:TVでテレビ番組を見る
現在:スマホやPCからもコンテンツを楽しむ

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みんなが同じコンテンツを視聴する時代から
趣味嗜好に合わせて異なったコンテンツを視聴する時代へ

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インターネットの発展やSNSの普及により、マネタイズの仕組みができ、発信する個人が増えた現代において、個人のエンパワーメントが進み、個の経済圏が成り立つ時代に突入しています。


昔は、やりたいことがあっても、
それをお金にできる場所は限られていました。


音楽で食べて生きたかったら、レーベル・事務所に所属する。人を笑わせたかったら、TVに出るために事務所に所属する。

これがこれまでのスタンダードでした。

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なぜ、これまでは夢を叶える場所が限られていたかというと、チャネル(販路)と面(露出)が制限されていたからです。

それが、SNSの普及によって制約が解放され、
マスに頼らずに個人がファンを獲得できるようになりました。

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そしてこれからは、「個人がメディア化する時代」から「個人が経済圏を形成する時代」へシフトしています。

要するに、コンテンツ発信することで広告収入を得るだけだった個人が自分で商品を作って、ECやイベントで売ったり、ファンからの直接課金でお金が稼げるようになっていくということです。

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何かを実現するために、会社や事務所に所属する必要はなくなり、個人が自らファンを獲得し、個人経済圏を確立する。

少し前までは考えられなかった時代を我々は生きているのです。


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最後まで読んで頂き、ありがとうございました!!

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