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最近読んだ本の話 vol.126

 「最近読んだ本の話」の第126弾です。もう3月です!暖かい日もあれば凍えそうに寒い日もあって、まだ春は遠そうです。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。

1、山本 冴里『世界中で言葉のかけらを』

言葉を知らなくても、言葉で通じる時がある
言葉を学ぶことで、広がる世界がある
「ぜんぶ英語でいいじゃない」という乱暴な意見に反論し、複言語能力の意義を訴え続けてきた日本語教師が、中国の雲南省、セルビア、フランス、ブルガリア、ハンガリー、エストニアなど、世界の各地を旅して慣れない言葉を使い、感心し、絶句し、立ち止まり、また歩き出す。あるいは日本語を教えていて、慣れない言葉を使う学生たちの日本語の魅力に気づく――そのような、言語を体験した驚きの瞬間とその記憶を読者の皆さんと共有したいという想いから綴られた、言葉をめぐる旅の記録。

Amazonより引用

 日本語教師の著者が、初めて語学留学をした頃の話や、外国で日本語教師として経験してきたことが綴られています。日本語を学ぶ外国人の方が発した印象に残る日本語を記録していて、本の中で紹介してくれたりもします。   著者のフランス語の学習方法が紹介されていて、カミュの『異邦人』のフランス語版の文庫本を読みながら、カミュ自身が朗読した『異邦人』のCDを繰り返し聴いて一章を丸ごと暗記したそうです。前提として『異邦人』の日本語版が頭に入ってないといけないので、読書好きの方に向いているかもしれません。そうして覚えた一章分の文章の中に重要な構文がほぼ含まれているそうで、それをアレンジして日常会話に使うそうです。他の言語にも応用できます。いつか挑戦してみたい!
 著者の語学留学での体験がすごいです。そんなことを経験したら旅に行かずにはいられなくなるだろうなあ。


2、伊与原 新『八月の銀の雪』

「お祈りメール」の不採用通知が届いた大学生は、焦りと不安に苛まれていた。
2歳の娘を抱えるシングルマザーは、「すみません」が口癖になった。
不動産会社の契約社員は、自分が何をしたいのか分からなくなっていた……。
辛くても、うまく喋れなくても、
否定されても邪慳にされても、
僕は、耳を澄ませていたい――地球の中心に静かに降り積もる銀色の雪に。深海に響くザトウクジラの歌に。見えない磁場に感応するハトの目に。珪藻の精緻で完璧な美しさに。高度一万メートルを吹き続ける偏西風の永遠に――。
科学の普遍的な知が、傷つき弱った心に光を射しこんでいく。表題作の他「海へ還る日」「アルノーと檸檬」「玻璃を拾う」「十万年の西風」の傑作五編。

Amazonより引用

 5篇の短篇が収録されています。1篇目の「八月の銀の雪」は、就活がうまくいっていない大学生が、近所のコンビニで働いている外国人の女性と言葉を交わすようになり、地震の研究をしている彼女から地殻の話を、そこに降ると言われている銀の雪の話を聞きます。2篇目の「海へ還る日」は、シングルマザーの主人公が、電車の中で出会った親切な女性からもらった博物館の展示の案内をきっかけに、クジラの生態についての講演を聴いたりして今までとは違った気持ちを持ったりします。ほんのちょっとのことがその人の何かを変えることがあるんだ、という5つの物語を読んで、自分にもそんなことが起こったら楽しいだろうなあ、と思いました。


3、町田 そのこ『夜明けのはざま』

自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。
地方都市の寂れた町にある、家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」。仕事のやりがいと結婚の間で揺れ動く中、親友の自死の知らせを受けた葬祭ディレクター、元夫の恋人の葬儀を手伝うことになった花屋、世界で一番会いたくなかった男に再会した葬儀社の新人社員、夫との関係に悩む中、元恋人の訃報を受け取った主婦……。
死を見つめることで、自分らしく生きることの葛藤と決意を力強く描き出す、『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこ、新たな代表作!

Amazonより引用

 高校時代からの友人の結婚式に出席している友人2人のテーブルから物語は始まります。新婦の楓子は高校生の頃から憧れの結婚式の話を2人にしていたのに、義父の介入で本人の希望が全く入っていない結婚式になっていることを嘆くサクマをなだめるなつめ。その2週間後に葬儀社で働くサクマの元になつめが亡くなったという知らせがあり、サクマは葬儀を執り行います。サクマは恋人から、結婚したら葬儀社の仕事を辞めてほしいと言われていて…。物語の中でいろんなことが起こって登場人物たちに起こったことも徐々に明かされていきます。こんなにも仕事にうち込むことができるのはすごいなと思いながら、自分の仕事への熱量の低さを考えてしまいました。


 あっという間に3月になりました。あと2週間くらいで桜が咲き始めるかな?今年はお花見もしたいし待ち遠しいです。最後までお読みくださってありがとうございました。

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