見出し画像

最近読んだ本の話 vol.69

 「最近読んだ本の話」の第69弾です。昨日は気温が38℃を超えて、あっという間に梅雨明けしたと思ったらもう真夏なの?と、なかなかついていけませんが、体調に気をつけて猛暑を乗り切りたいと思います。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、朝井 まかて『ボタニカ』

ただひたすら植物を愛し、その採集と研究、分類に無我夢中。
莫大な借金、学界との軋轢も、なんのその。
すべては「なんとかなるろう! 」
――日本植物学の父、牧野富太郎。愛すべき天才の情熱と波乱の生涯!
「おまんの、まことの名ぁを知りたい」
明治初期の土佐・佐川の山中に、草花に話しかける少年がいた。名は牧野富太郎。
小学校中退ながらも独学で植物研究に没頭した富太郎は、「日本人の手で、日本の植物相(フロラ)を明らかにする」ことを志し、上京。
東京大学理学部植物学教室に出入りを許されて、新種の発見、研究雑誌の刊行など目覚ましい成果を上げるも、突如として大学を出入り禁止に。
私財を惜しみなく注ぎ込んで研究を継続するが、気がつけば莫大な借金に身動きが取れなくなっていた……。
貧苦にめげず、恋女房を支えに、不屈の魂で知の種(ボタニカ)を究め続けた稀代の植物学者を描く、感動の長編小説。          -Amazonより引用-

 牧野富太郎さんの子どもの頃からの物語です。お祖母さんが欲しいものは何でも買ってくれて、学校を辞めても何も言わない、こんなに理解がある人はなかなかいないなあ、と思っていたら、従妹と結婚させられて、家も継ぐことになりました。牧野さんはそれでも関係なく勉強を続けて、山野を駆け巡って植物を見つけて絵を描いて、掘り起こして持ち帰って標本を作り続けて、本を買いまくり、必要と思ったものはどんどん買って、東京に行って住み始めるし、印刷技術を学ぶために印刷会社の手伝いをしたり、すごいです。1人目の奥さんの猶さんも、2人目の奥さんの寿衛さんも、お金の工面に奮闘して、多額の借金を抱えて、寿衛さんは13人も子どもを産んでほんまにすごい。牧野さんは何十年も勉強、植物採集、標本作り、本の執筆・出版、雑誌の発行・論文執筆、講演会、全国の研究会や植物観察会などの参加、大学の講義、大学から頼まれた標本採集、本の編集など、朝から翌朝までいつ休んでるのかわからないような活動を続けてらっしゃって、超人です。圧倒されながら読みました。私ももうちょっと集中して色々やってみたいです。牧野さんみたいにはできっこないけど。


2、ブリット・ベネット『ひとりの双子』

自分らしくいるために嘘をついた。
それは、許されない罪なのか。
アメリカ南部、肌の色の薄い黒人ばかりが住む小さな町。
自由をもとめて、16歳の双子は都会をめざした。
より多くを望んだ姉のデジレーは、失意のうちに都会を離れ、
みなが自分を知る故郷に帰った。
妹のステラは、その何年も前に、デジレーのもとから姿を消していた。
いまは、誰も自分を知らない場所で、裕福に暮らしているという。
白人になりすまして。
いつもいっしょだった、よく似た2人は、分断された世界に生きる。
だが、切れたように見えたつながりが、ふいに彼女たちの人生を揺さぶる。人種、貧富、性差――社会の束縛のなかで懸命に生きる女性たちを描く感動⾧篇。                       -Amazonより引用-

 アメリカ南部、肌の色が薄い黒人ばかりが住む小さな町・マラードに生まれた双子の姉妹の物語です。16歳の時、2人は町を出ます。姉のデジレーは、肌の色の薄さにこだわる町の人たちに反発を感じていましたが故郷に戻ることを選択し、妹のステラは、白人になりすまして自分ではない自分の人生を選択をします。離れ離れになった2人は、また会うことができるのか?大学進学のためロサンゼルスに住み始めたデジレーの娘のジュードは、アルバイトで訪れた邸宅で、母にそっくりな人を見かけて…。そこから物語はさらに展開していきます。デジレーの娘のジュードはステラに似た性格で、ステラの娘のケネディはデジレーに似た性格です。ハラハラドキドキしながら読みました。2人の娘のジュードとケネディが仲良くなるのがよかったなあ。


3、小野寺 史宜『奇跡集』

同じ電車の同じ車両に、たまたま乗り合わせた見しらぬ男女たちがつなぐ、幸せのふしぎスイッチ。
第一話「青戸条哉(あおと・じょうや)の奇跡 竜を放つ」ーー満員の朝の快速電車。ぼくは過去最凶の腹痛に耐えていた。もうダメだと思い、その場にしゃがもうとした瞬間、隣に立つ同い年くらいの女性が、ぼくよりもわずかに早く、しゃがみこんだ。
第二話「大野柑奈(おおの・かんな)の奇跡 情を放つ」ーー大学時代、わたしは小劇団にのめり込んだが、結局就活をして、食品会社へ。通勤途中、具合が悪くて社内で声をかけた女性の様子が気になり、駅を一つ戻ってホームに降りると、そこには意外な先客がーー。
小さいけれど確かに人生を左右する(かもしれない)7つのミラクルを描く、連作短編小説!                    -Amazonより引用-

 同じ電車の同じ車両に乗り合わせた人たちの、7つの物語が収録されています。第一話は、電車の中でおなかが痛くなってしまい、必死にこらえる大学生の物語で、ありそうでないだろうと思うような奇跡の展開があります。どの話も予想できない展開で、終わり方も独特な感じです。第一話で描かれる場面が、第二話から第七話までにも繰り返し登場して、その物語の主人公の視点からそれぞれ語られます。同じできごとでも人によって色々なとらえ方がありますよね。面白いなあと思いました。


 「最近読んだ本の話」を書くことができました。なんとかギリギリ読み終わって間に合って書けた感じです。来週は間に合わないかなあ。最後までお読みくださってありがとうございました。

この記事が参加している募集

#推薦図書

42,508件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?