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最近読んだ本の話 vol.55

 「最近読んだ本の話」の第55弾です。今日から少し暖かくなってきました。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、ジョン・ㇽ・カレ『シルバービュー荘にて』

英国の小さな海辺の町で書店を営むジュリアンは、町はずれのシルバービュー荘に住むエドワードと親しくなるが、ある日、エドワードから見知らぬ女に手紙を渡すよう頼まれる。一方、英国諜報部長は重大な機密漏洩の犯人を追ってシルバービュー荘を訪ねるが……-Amazonより引用-

 イギリスが舞台の小説です。始まりからものすごく不穏な空気が漂います。イギリスの情報機関で働いているプロクターのもとに、幼い子供を連れた若い女性が訪ねてきて、母から託されたという手紙を渡します。その手紙には重要なことが書かれていたらしく、プロクターは動き始めます。一方、ロンドンで凄腕トレーダーだったジュリアンは、仕事を辞めて小さな海辺の町で書店を開きますが、売り上げが伸びず困っています。ある日近所に住むエドワード・エイヴォンという男が店に現れて…。
 この2つの物語はどう絡まっていくんだろう?とドキドキしながら読み進みました。だんだんプロクターが迫ってきてハラハラしますが、最後の場面、エドワードの娘のリリーと私は同じ気持ちになりました。この作品は、著者の遺作となっていて、自分が亡くなった後にもし完成していなかったら頼む、と息子さんに託された作品だそうです。生前になぜ出版しなかったんだろう?と考えたら、少し理由がわかるような気がしました。生きている時には言えなかったこと、だけどどうしても伝えたかったことではないかと。


2、米澤 穂信『米澤屋書店』

いま最も次回作が待ち望まれるミステリ作家・米澤穂信。
次々と魅力的な謎を生み出す作家の頭の中はどうなっているのか? 米澤さんの頭の中を満たしてきたのはどんな本たちなのか。
作家生活20年の節目に、米澤さんの心を捉え、人気ミステリ作家を形作ってきた本を一気見せ。
米澤さんが20年にわたって、様々な媒体に書きためてきた書評やお勧め本、対談を一冊にまとめました。
「思うさまに大好きなミステリをお勧めしたい」という米澤さんの強い思いから、特別書き下ろし読書エッセイ「私の好きなミステリ」(120枚!)&オリジナルコメンタリー(180枚!)収録。        -Amazonより引用-

 米澤さんがどんな本を読んでいるのか、頭の中はどうなっているのか、めっちゃ知りたい!と思ってこの本を読みました。私はミステリをまだ少ししか読んだことがないのですが、米澤さんの紹介文を読んでいると、読みたい気持ちがムクムク沸き起こってきます。本を読んでいて、「この著者のことが好きだ!」と思うことがたまにあります。エッセイだと小説よりも著者の言葉で語られているので、惹かれ具合が増すというか、ますます惹かれることがあります。この本を読んでいて「米澤穂信さんが好きだ!」と思いました。これからこの本で紹介されている作品と、米澤さんの未読の作品を読んでいきたいです。


3、乗代 雄介『皆のあらばしり』

ぼくと中年男は、謎の本を探し求める。三島賞作家の受賞第一作。幻の書の新発見か、それとも偽書か――。高校の歴史研究部活動で城址を訪れたぼくは中年男に出会う。人を喰った大阪弁とは裏腹な深い学識で、男は旧家の好事家が蔵書目録に残した「謎の本」の存在を追い始めた。うさん臭さに警戒しつつも、ぼくは男の博識に惹かれていく。ラストの逆転劇が光る、良質のミステリのような注目作。           -Amazonより引用-

 乗代さんは、私にとって新刊が気になる作家さんです。今回はどんな作品なんだろう?と、期待しながら読みました。読み始めてすぐ、関西弁の怪しい男がまた出てきた!と、面白くて笑ってしまいました。
 高校の歴史研究部の活動をしている青年が、怪しいけれど博識な男と偶然出会い、二人は旧家の蔵書目録にある本を探し始めます。最後の青年の行動がまったく予想できず面白かったです。この2人、もしかしたら別の物語で再会するのかな?


 「最近読んだ本の話」を書くことができました。読みたい本がどんどん増えて「読みたい本リスト」が膨れ上がっています。ぼちぼち読んでいこう。最後までお読みくださってありがとうございました。

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